中小企業活性化協議会の実態 中小企業活性化協議会は、中小企業の活性化を支援する公的機関として、すべての都道府県に設置されており、各地の商工会議所などが運営しています。前身は中小企業再生支援協議会で、 2022年に今の組織になりました。 活性化協議会に再生を依頼すると、 2カ月ほどで事業再生計画を立ててくれます。この計画書を銀行が承認すると、返済のスケジュールや金額を見直すリスケが行なわれます。 事業再生計画は、「経営再建のため」と謳いながら、実際は「借金返済のため」の計画です。なぜなら、初めから経営再建を目指すのではなく、借金の回収しか考えていないとしか思えない計画だからです。 再生計画が承認されると、銀行は引当金を設定します。これによって、最終的に破産してしまったとしてもリスクがヘッジできるのです。 再生計画に則って進めたにもかかわらず、 3年で黒字化の目処が立たないと「破産も考えたほうがいいんじゃないですか」と言われる場合があります。 3年経ってたとえ黒字にしても、返済するのに 30年以上かかるようでは、銀行としても支援しにくくなります。 銀行にしてみれば、計画をつくったのは外部であって、自分たちではない。計画が失敗して破産したとしても責任がないのです。他人事のように対応する銀行員には腹が立ちます。政府が目指す活性協議会のあり方と現実の乖離 正常債権に戻るまで、基本的には金融機関が融資をしてくれません。借入を組み直し、返済を長期にして、正常債権化できればいいですが、リスケして、正常債権の戻る会社はレアのレアですから、金融機関はもう復活しないと思っているので、最大限の回収を考えていきます。 政府は、活性協議会を活用して、債権カットなどをして中小企業の再生を図るとしていますが、ほど遠いのが現実です。 霞が関の役人が考えていることが、現場でスムーズにはいかない。現場を知っている人がつくっていなので、使い勝手も悪いし、柔軟性もありません。 余談ですが、活性化協議会に計画書を依頼するのにもお金がかかります。 企業が負担するのは 3分の 1ですが、東京では 800万円もかかった企業もあります。資金繰りが苦しくて、経営がうまくいかなくて助けてほしいと泣きついているのに、法外な金額です。なお、地方では半分以下で同じようなことをしてくれた企業もあります。地域によって大きな差があるのも不思議です。活性化協議会に頼んでも、債権カットが実現しない理由 実際に債権カットの協議になった場合、多くの信用金庫が反対して成立しません。調整にも長い時間がかかります。実現できればいいですが、体力のない信用金庫は債権カットしないことが多いのが現実です。 返済が長い期間かかろうが、それでもいいと思っています。当然、その間、企業は融資が受けられない状況ですから、前向きなことは何もできません。時間が経つにつれて、会社が劣化していきます。 私の顧問先の会社は、親父の会社はもう期限の利益を喪失しているのに、親父がなくなると、後継者として借金を継承させて、少しずつ回収していた悪徳信金がありました。この社長を救うために、考えられない再生スキームを構築して再生しました。破産もせずに、借金も引き継がず、立派に事業をしています。 活性化協議会に頼んでも債権カットが実現しないのは、職員の多くが地元の金融機関の出身だからという裏の事情もあります。 自分が所属していた金融機関に借金カットしてくれとは言いづらいわけです。本当に協議会の担当者次第です。格差がひどいと思います。 最終的に債権カットができた企業がありますが、 5年もかかり、その間に資金ショートしそうでした。金融機関も活性協議会も「自助努力してください」としかいいません。そのときは、私の顧問先の支援を受けて、つなぎ融資をして切り抜けました。 債権カットした後、なかなか傷つけた金融機関は、融資をしてくれない状況です。そのために、せっかく債権カットしても、前に進めない企業が多いのです。これはすごく問題です。黒字なのに、せっかく再生の入口に立ったのに、資金繰りがうまくいかず二次破綻になりかねません。保証協会はカットした企業にはほぼ融資しようとしません。日本政策金融公庫を含めて銀行はほぼ融資に消極的で、再生できません。完全復活できないのが日本の金融制度です。日本の中小企業の再生制度は、本当に情けない限りです。こういう情けない再生の実態を、政治家や役人はわかっていないと思います。 仮に、どうしても活性化協議会に行かざるを得ない状況になったときは、守りたい資産や資材を事前に守る方法を考えて、リスクヘッジしておくべきです。経営者は最悪のことを考えて、最善の策を講じておくことが必要です。
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