お客さんと会社の接点を築いているか?一度、成功したビジネスで一生食っていけた。手にした職で一生食っていけた。そんな時代は終わってしまった。私たちは恐らく人類史上初めて、「一度手にした職業やビジネスで一生を過ごせない」という時代を迎えている。それは商品やサービスのライフサイクル(寿命)が、極端に短くなっているからだ。そんな時代の経営は、簡単ではない。なぜなら、たとえ成功するビジネスを構築することができたとしても、商品の大幅リニューアルや新しい商品のリリースという大きなリスクを、定期的に取らないといけなくなってしまったからだ。このリスクは大きい。新しく起業するのと変わらない。そう、私たち経営者は一生に数回は「起業」しなくてはいけないのだ。このリスクを少しでも小さくするには、お客さんとの接点を商品・サービスとだけで築くのではなく、【会社】とも築いておくことだ。お客さんが、あなたの会社のファンなら、新しい商品を受け入れてくれる可能性は高くなる。お客さんとの接点が商品とだけになっていないか?お客さんと会社の距離が遠くないか?お客さんと会社の関係も築いていこう。
おわりに子供のころ、父のようになりたかった。社長である父は、カッコよかった。私にとって、父はヒーローであり、スーパースターだった。「社長の仕事」を楽しそうにやっていた父は、私の自慢だった。日本の社会では、経営や商売をすることは否定的に捉えられていることも多い。そんな社会の文脈の中にあって、私が経営や商売を肯定的に捉えることができたのは、父のお陰だ。「噓はつくな。人に迷惑をかけるな。それさえ守っていれば、人生は自由なんだから、何をやっても良い。でも、社長が一番、やりがいがあるぞ」教師の道を歩みかけていた私が、導かれたように経営者に至ったのは、そう言われて育ったからだと思う。社長という仕事を選択して、本当に良かった。基準を高く求めれば、ラクな仕事ではない。楽しいだけじゃない、大変なことも多い。しかし、やりがいに満ちている。「社長の仕事」は、経営を通して社会の役に立ち、関わる人や社会により良い影響を与えられる素晴らしい仕事だ。これほど素晴らしい仕事は、なかなかないと思う。だから「一人でも多くの社長に、社長であり続けて欲しい」そう願って、本書を書き始めた。社長であり続けるためには、社長としての実力を高め続けなければならない。社長の実力を高める努力をし続けること、そうやって自分と向き合い続けること、それこそが「社長の仕事」なのだと思う。最後に、私の目の前で、「社長の仕事」に挑戦して、多くの成功と多くの失敗を遺してくれた、何千人という経営者すべてに、感謝したい。あなたが得た喜び、あなたが感じた苦悩、後悔。これから挑戦していく社長に少しは伝えられたと思う。きっと、その中から、それらを受け取って「社長の仕事」をまっとうし、素晴らしい経営を行う社長が生まれてくると思う。そういった社長が、これからも社会を変えていく。私も、一緒に、がんばりたい。あの日の、父を目指して。 2011年8月 8日 浜口隆則
【著者紹介】浜口 隆則(はまぐち・たかのり)会計事務所、経営コンサルティング会社を経て、大好きな起業家を支援するため、 1997年に「日本の開業率を 10%に引き上げます!」をミッションとする(株)ビジネスバンクを 20代で創業。起業家向けオフィス賃貸の「オープンオフィス」事業は、レンタルオフィスという新たな業界を生んだ。その後に自身の掲げるミッションへ更に近づくために「オープンオフィス」を事業譲渡。社名を(株)ビジネスバンクグループに変更。起業専門会計事務所、ベンチャーキャピタル会社、起業家教育事業など、起業支援サービスを提供する複数の会社を所有するビジネスオーナーで、アーリーステージの事業に投資する投資家(エンジェル)でもある。会社は第 2創業期を迎え成長を続けている。数千社という起業経営の現実を見てきた「起業の専門家」でもあり、その希有な経験から昇華されたアドバイスは多くの会社を〈成功と継続〉に導いている。主催する勉強会は全国に広がり、独自の経営理論がオーナー社長から若い起業家まで延べ 7000名以上に支持されている。著書に『戦わない経営』『仕事は味方』『誰かに話したくなる小さな会社』『 My Credoマイクレド』『起業の技術』(以上、かんき出版)『エレファントシンドローム』(フォレスト出版)など海外でもベストセラーに。横浜国立大学教育学部卒業、ニューヨーク州立大学経営学部卒業。 http:// hamaguchi. me本書の公式ウェブサイトはこちら www. kigyokashien. com/ books
社長の仕事発行日 2014年1月 24日著 者 浜口 隆則 発行者 齊藤 龍男発行所 株式会社かんき出版 〒 102‐ 0083 東京都千代田区麴町 4‐ 1‐ 4西脇ビル電 話 営業部‥ 03( 3262) 8011 ㈹ 編集部‥ 03( 3262) 8012 ㈹ FAX 03( 3234) 4421振 替 00100‐ 2‐ 62304 http:// www. kankidirect. com/ © Takanori Hamaguchi 2014
コメント