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自分と、たくさんの人たちを、幸せにできる仕事

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。  本書では、自分の感情を変えることで、最速で結果に結びつくという、「感情と結果の法則」を地で行くエピソードを 21本、ご紹介しました。  社長さんが「自分の正しさ」 =「思い込み」を手放して、フラットな感情になることが、さまざまな問題をなくし、会社の器が大きくなる結果につながるということ、伝わりましたでしょうか。  この「自分の正しさを手放すこと」は、もっとも楽に生きるための考え方でもあります。立つ鳥跡を濁さず  最後に、私にとっては、もっとも近い存在だった「社長」である、父の話をもう1つだけすることをお許しください。  それは、父が、「自分が育てた会社」を、私の夫に「心から託すこと」を決めたときの話です。  父は、代表権を夫に譲ったあと、 3年間くらいは会長職をしていました。  会社を創業したのは父で、得意先にとっては「会社の顔」でもありましたから、それなりの存在理由があったのです。  しかし、父のなかでは、社長を譲ってから 1 ~ 2年が経つ頃から、「もう、そろそろ、本当に会社を託してよいかな」という思いがあったようなのです。  父の心のなかに、そんな思いが芽生えていたとは、私はまったく気がついていませんでした。  そんなある日。私が感情コンサルの仕事で 2日間ほど会社に行かなかったことがありました。土日にセミナーを終え月曜日に出社した私は、目を疑いました。  会社にあった父の私物が、きれいさっぱりなくなっていたんです。  どうやら、父が 2日間で自分に関するものを全部、自宅に運んでしまったようなのです。  きれいになった社長室に、父がいました。  私が「あれっ?  どうしたの?」と声をかけると、父は、静かな、でも、しっかりとした声で言ったんです。「俺はもう、これから、会社にこないようにするから」「いやいや、いいよ、きたっていいよ」  驚いて私が言うと、「いや、もうこないから。立つ鳥跡を濁さずだ。全部、きれいにしたから」  そうキッパリと言うと、自分のスリッパを持って去っていったんです。  私は、その後ろ姿を見て、涙が止まりませんでした。  あとから、この少し前に、父が妹に弱音を吐くような電話をしていたことがわかりました。長女の私と夫は会社の人間なので、会社とは関係のない妹に本音を漏らしたのでしょう。  電話口で父は、泣きながらこう言っていたそうです。「俺が作って、俺が育てた会社なのに、去らなきゃいけない……。せつないな」経営者にとって、「最後の仕事」「生涯現役」がモットーだった父にとって、会社から身を引くのは、辛い決断だったと思います。  でも、自分がいつまでもいては、 2代目社長の夫がやりにくいと思ったのでしょうか。父は、自分の心に「けじめ」をつけて、会社を去る決断をしたのだと思います。  私が、このときの父の思いを聞くことができたのは、それからずいぶん経ってから、父が病で入院した病室でのことです。「あのさ。会社に未練はなかったの?」  私の問いに対する父の答えは、今もはっきり覚えています。  父はこう言ったんです。「そりゃ、未練はあったさ。でも、社長室で独り、自分のものを整理していたら、だんだんと心のなかも整理されてきたんだ。だから、最後に社長室を出て行くときは、もう、未練はなくなって、すっきりしていたんだよ」  社長という、辛くて厳しい時間における、「最後の仕事」。  それは、会社を去るとき、たとえ、志が半ばだったとしても、自分の思いに、きっちりと「けじめ」をつけることなのかもしれません。  蛇足ではありますが、父は、人生の最後の時期、密かにコツコツと『秘剣』というタイトルの時代小説を書いていました。それが、偶然、かんき出版編集部の方の目にとまり、出版に至りました。  父は世を去るそのとき、できあがった本を抱きしめるようにして亡くなりました。  父の本を出版してくださった、かんき出版さんには感謝しかありません。  同じ出版社から、今回、このような、社長さんの悩みに応える本を出すことができ、なにか運命のようなものを感じています。  もしかしたら、社長として苦労が絶えなかった父が導いてくれたのかもしれない、とそんなふうに思っています。自分を認めることが、すべてを変える第一歩  社長という仕事は、たくさんの人たちを幸せにできる仕事です。

そして、選ばれた人にしかできない、影響力の大きい、素晴らしい仕事です。  しかし、この「多くの人たちを幸せにしなければ」という使命感が強すぎると、プレッシャーから苦しくなってしまいます。  どうか、「頑張る」のをやめてください。「社長なのに」なんて、自分を責めないで、「ダメな自分のままでいい」「プライドや見栄があったっていい」と、自分を認めてあげてください。  人は、まず、自分を認めて、安心しないと、フラットな気持ちで、自分を変えることができません。「まず、自分の感情が幸せになることで、自然と周りを幸せにすることができる」という、「感情と結果の法則」を思い出してください。  事業は、自分のハートが喜ぶことが第一です。  結果として、周りの人たちの幸せにつながればいい。  そして、そうなれば、お金はあとからついてきます。  大丈夫。  悩んでいる社長さんは、自分だけではありません。  そして、どうか、今の自分が温かい気持ちで、幸せだなと思える、そんな生き方をしてください。「あなたは、明日死んでも、後悔しないですか?」  私は、このひと言に出会って、自分の生き方が変わりました。  人生の時間には限りがあります。  勇気を持って、今、幸せに生きることを選択することが、人生において大切なことです。  時代は「風の時代」に入ったと言われています。  これまでの「地の時代」は、目に見えるものに価値があり、地に足をつけて頑張って、みなと同じことをしていれば、なんとかなった時代です。  しかし、これからの「風の時代」は、自分の感情や信念、信頼や感謝など、目に見えないものが大事になります。  そんな時代では、心の一番深いところにある、自分の「想い」を誰よりも自分が知り、ちゃんとわかっていることが重要です。その「想い」が結果につながるからです。  頑張って、どこにでもある結果を作る時代から、溢れる「想い」で、自分にしかできない結果を作る時代へ。  そんな時代の最大のキーワードは「感情」です。

●参考文献『未来の私は笑っていますか?一瞬で心が軽くなる感情セラピー』(押野満里子著ヴォイス)

【著者紹介】押野  満里子(おしの・まりこ) ◉──「感情コンサル メソッド」開発者。一般社団法人感情セラピー協会代表理事。二光光学株式会社取締役(サファイアガラス加工会社)。 ◉──信州長野の中小企業の跡取りとして生まれ、後継者としての苦悩を数々経験。そんなある日、得意先から突然の契約打ち切りを宣告され経営が暗転。「解決策」を求め、さまざまなセミナーに参加し、悶々とした日々を過ごす。あるとき、「感情を無視して頑張っても、成果が出ない。結果的に幸せになれない」ことを痛感し、「頑張る」とは真逆の、「感情こそ結果を出す鍵である」ことに気づき、 3000回以上にわたり感情との対話を続ける。 ◉──その結果、会社を創業 50年以上続く優良企業に育て上げることに成功し、「経営上のほぼすべての問題は、経営者の感情のなかにある」ことを確信。「感情を丁寧に扱うことで、楽に、早く結果が出て幸せになる」感情コンサル メソッドが誕生。その後、 500人以上の経営者・社長にのべ 1000件以上の感情コンサルを行い、「経営者の感情」を変えただけで「本当に結果が出る」ことを実証。評判が口コミで広がる。現在は、頑張らずに成果を出し、使命を果たしていく「感情コンサル メソッド」の普及に使命と情熱を感じている。 ◉──著書に『未来の私は笑っていますか?  一瞬で心が軽くなる感情セラピー』(ヴォイス)がある。 ★一般社団法人感情セラピー協会   https:// ecm. ac/

社長はメンタルが 9割発行日     2021年 7月 14日  第 1刷発行著  者    押野  満里子発行者    齊藤  龍男発行所    株式会社かんき出版           〒 102‐ 0083          東京都千代田区麴町 4‐ 1‐ 4西脇ビル電  話    営業部: 03( 3262) 8011 ㈹          編集部: 03( 3262) 8012 ㈹ FAX     03( 3234) 4421振  替     00100‐ 2‐ 62304           http:// www. kanki-pub. co. jp      © Mariko Oshino 2021

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