わたしがダメな会社を見分ける方法は実に簡単。「お客さま志向」が徹底されているかどうかです。これだけです。このことは、電話一本かけてみれば分かります(この話は、いろいろなところで書いていますが、ほんとうに大事なことだと思いますので、何度でも書かせてください!)。 「会議中です」と平気で応対をしている会社、これはダメな会社です。 「そのどこが悪いのか?」と思った人は、「内部志向」にかなり洗脳されているといえます(いまからでも遅くないので、公務員にでもなったほうがよいでしょう)。どこが悪いって、「社内の事情でやっている会議が忙しくて、外からかかってきた電話に出ることができません」と言っているのは、役人と同じ発想です。お客さま志向ゼロ、外部志向ゼロです。 供給過剰のこの時代、敏感なお客さまは、そのような鈍感な社員のいる会社とのつき合いを控えることでしょう。敏感な人は鈍感な人とのつき合いを嫌います。お客さま志向の人や会社は、内部志向の人や会社とのつき合いを控えます。ダメなことをわざわざそのままにしているのを見るのもいやだからです。 お役所は、いわば「内部志向」の権化ですから、社会保険庁の例を出すまでもなく、国民無視もはなはだしいようなことが平気で起こります。役所なら徴税権があるからそれでもなんとかやっていけるでしょうが、企業の場合はそういうわけにはいきません。お客さまからいただく利益だけが、企業存続のための唯一の基盤だからです。 どんなにお金のある会社でも、どんなに優秀な人材が多くいる会社でも、お客さまから利益を得られなくなったら存続はむずかしい。お客さまに好かれなければ利益は出ません。当たり前のことなのに、忘れてしまう。 何度も言いますが、企業経営の根本は「お客さま第一」。これしかありません。 こんなふうに言うと、忘れてなんかいない、うちの会社の社是は、「お客さま第一です!」などとおっしゃる会社も多いのですが、そういう会社のなかにも、「会議中です」と社員に平気で答えさせていたりする会社が少なくないわけです(そういう会社は、社是を「社内第一」や「会議第一」に変えたほうがいいですね)。「お客さま第一」がほんとうに分かっている会社は少ないと感じます。 ちなみに、社内の会議なら、会議中であっても外からの電話は取り次いでもらうのが大原則です。でも、どうしても外せない会議や、ほかのお客さまとの商談中のこともあるでしょう。そういう場合には、どうするか? なんだか、マナーの本のようで、いまさらという気もしますが、そんなときは、「申し訳ありませんが、席を外しております。もし、よろしければ御用件を承ります」と答えるように社内で徹底させてください。 社内の会議なのに「接客中です」と答えるように指導しているところもあるようですが、それはよくないと思います。電話に出る人にウソをつかせているからです。「ウソも方便」といいますが、平気でウソをつかせているような会社では、働く人の意欲がどんどん失せていきます。 そして、小さなウソがエスカレートしていき、ウソが当たり前になり、かつての三菱自動車や船場吉兆のような会社になってしまいます。小さなウソを軽視してはいけません。 不祥事を起こす会社、自滅していく会社というのは、みんな内部志向です。外部志向でいる限り、会社はたいていうまくいきます。 内部志向に関連して、もうひとつ。あなたの会社では、社内の人だけの会議でも「お客さま」という言葉を使っているでしょうか。社内では「客」と言っていたりしないでしょうか。大切なお客さまを「さん」づけで呼んでいますか? 「クレーム処理」などと言っていませんか(クレームは「対応」するもので事務のように「処理」してはいけません)? 社員一人ひとりの、こうしたふだんの言葉遣いにまで神経を行き渡らせることも、会社をよくするためには非常に大切です。 よい会社は「きめ細かい」のです。よい人も「きめ細かい」のです。 経営とは、実は、このような細かいところにこそ注意を払うことが重要だとつくづく思います。これが会社の「基礎力」となるからです。
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