ある社長がわたしに「当社のお客さま満足度はほぼ一〇〇%です」と自慢げにおっしゃったので、「それは、ほとんどのお客さまは、御社のことを八〇点だと思っているということですよ」と説明しました。 どこの会社でも、「 CS( Customer Satisfaction =お客さま満足度)向上運動」をやっていることでしょうし、前の章でも書いたように、「お客さま満足度」を高めることはとても重要です。けれども実は、それだけでは十分ではありません。 お客さまが「満足」されているというのは、一〇〇点ではなく八〇点なのだと思います。少なくとも社内ではそう考えているべきです。 それでは一〇〇点をいただくにはどうすればよいか? それは、「感動」です。 CS運動を行う場合には、「満足」より上に「感動」があるということを認識しておくことです。そうでなければ、「満足」に自己満足する会社で終わってしまいます。 では、お客さまに感動してもらうにはどうしたらいいか? 感動は、期待していた以上のことが起こった場合に生じます。 「満足」は、ただ期待していたとおり、ということにすぎません。 あなたは感動したらどうしますか? わたしなら人に話したくなります。つまり、「リレーションシップ・マーケティング」で説明した「代弁者」になってもらえるわけです。 これに対し、満足しているお客さまは喜んで代金を払ってくれるし、継続して買ってくれるでしょうが、それではせいぜいうまくいって、「支持者」止まりです。 あなただって、単に満足しているだけでは人に話したりはしないと思います。いま、わたしはこの原稿を新幹線の中で書いていますが、時間どおり正確に運行して期待どおりの乗り心地でも、わざわざそれを人に話したりはしません。でも、隣の席に芸能人でも座っていたら、家に帰ってすぐに家族に話したくなるでしょう? こういう話をすると、「やっぱりマニュアルどおりのサービスはいけないんですね。マニュアルでは感動は起こせない」とおっしゃる方がいますが、必ずしもそうとはいえません。ディズニーランドはマニュアルどおり行われていますが、その徹底ぶりに、何度行っても感動します。 わたしは、海外出張する機会も多いのですが、滞在が比較的長くなったあとに、現地の空港で帰りの JAL便に搭乗する際、「お帰りなさいませ」と客室乗務員に言われて、「じ ーん」ときたことが何度もあります。マニュアルどおりの対応だと分かっていても。 適当につくったマニュアルを適当に実行しているのでは、お客さまは満足すら感じませんが、マニュアルも、お客さまの気持ちになって「ハート」できめ細やかにつくり、徹底させれば、感動を呼び起こせます。 お客さま志向を徹底するところから感動が生まれるのです。
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