はじめてリーダーになった人が犯しがちな大きな間違いのひとつ、それが、組織を「和気あいあい」にしようとすることです。たくさんの企業を実際に見てきて、そう思います。もちろん、組織のチームワークがとれて仲がよいのは悪いことではありません。けれども、「和気あいあいでがんばろう」などと言っていると、組織はどんどん力が出なくなります。なぜなら、和気あいあいを優先すると、 もっとも実力のない人に組織のペースを合わせることになるからです。家族なら和気あいあいがいいでしょう。子どもやお年寄りのペースで動けばいい。けれども、組織は、役所でもない限りパフォーマンスを出してこそ維持できるのです。 さらに、和気あいあいの組織がよくないのは、意見が出なくなることです。どうしてもほかの構成員の顔色を見ることになります。お客さまや組織全体のために建設的な意見であっても、「言わないほうが無難」ということで対立を避けようとしがちです。そうやってだんだん、言わなければならないことも言わなくなります。つまり、全体が「内部志向」になってしまうのです。 また、社員のだれかが勉強しようと思ったときにも弊害となります。自分は仕事が終わったあと勉強しようと思っても、和気あいあいの組織では、「飲みに行こう」という誘いを断りにくい。優先順位が内部だからどうしても「出る杭は打たれる」的風潮が広まることもあります。 さらに、こうした風潮がさらに進むと、お客さま無視ともなりかねません。内部を重視するあまり、お客さまの声を無視したり、「これを伝えるとだれかが困る」と思って、クレームを握りつぶしてしまったりするのです(役所ってそうですよね)。実際、そういう「いい人」たちが会社をおかしくしている例をたくさん見てきました。 こういう会社に共通するのは、実力のない人が管理職になっていることです。実力のないリーダーは組織を和気あいあいにしたがるのです。対立を処理する能力がないし、自分の無能力を和気あいあいでカムフラージュしようとするからです。実力のない人にとって、和気あいあいは楽だからです。 リーダーだけでなく、実力のない一般社員も和気あいあいを好みます。仕事ができなくてものけ者にされないですむし、そのほうが楽だからです。みんなが必死で働くような職場では、実力のなさが露呈し、居場所がなくなるでしょうから。 みなが足を引っ張り合うのがよい職場だと言っているのではありません。それは最悪の組織です。みなが協力するのはよいことです。でも、その協力の仕方は、 「和気あいあい」ではなく、「切磋琢磨」なのです。つまり、「あの人もがんばっているから自分もがんばろう」ということです。それが正しい社風だと思います。 お客さまや会社、さらに社会、そしてもちろん自分のために、お互いに刺激し合って、さらに向上していくという機運に満ちた会社です。 もし、あなたの会社が和気あいあいに傾いていたらどうするか? 「お客さま第一」で、いまやっていることを見直すことです。そうすれば、自然に、外部志向になります。外部志向の会社では、お互いの顔色をうかがっている暇はありません。求心力が「お客さま」にあるからです。社内のだれかにあるのではないからです。 足を引っ張り合うのもお客さまのためにならないことだと分かります。お客さまを求心力にし、切磋琢磨の社風をつくり上げると、自然にチームワークも芽生えます。 ここまで会社を育て上げるのは並大抵のことではありませんし、その状態を維持し続けるのも、むずかしいものです。経営者のたゆまぬ努力が必要です。しかし、経済情勢が厳しいときでも業績が安定しているのは、こういう社風を持った会社です。
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