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8「投資拡大」よりも「増し分」

 「増し分」という言葉を聞いたことがありますか?  定員二五〇人の劇場に入場客が二〇〇人いるとします。その劇場に三〇人追加でお客さまが入っても経費はほとんど増加しませんが、利益は大幅に増えます。それが「増し分」です。それを、あと一〇〇人追加で集客できそうだと思って劇場を増築するとなると、実際に一〇〇人増客できたとしても、増築分が高くつくと儲かるかどうかは分かりません。  会計的に説明すると、  固定費が増加しないで変動費だけが増加する場合が「増し分」です。  固定費を増加させてしまうと、売上増が利益に結びつかないか、場合によっては損を出してしまう可能性もあります。まあ、言われてみれば当たり前ですね。  そこで、ビジネスのコツのひとつが、増し分で儲けること。当たり前のことのようですが、これを上手に行うには、ちょっとした工夫が必要です。ある運送会社で聞いた増し分についての工夫の話をしましょう。  トラックのチャーター契約というのがあります。荷主が一社だけで、その荷主の荷物を決められた時間に積み込み、決められた時間に目的地に届けるというものです。  しかし、チャーターでも空きスペースがかなりある場合もあります。そこで契約の際、荷主に、「チャーターだから積み地も目的地も、そして到着時刻も荷主の指図どおりに実行するが、もし、空きスペースがあった場合そこに他社の荷物を載せることを許諾してくれれば、チャーター代金を一割下げる」と言うのだそうです。  すると、たいていの荷主は OKします。同じサービスを得られて一割安くなるからです。運送会社のほうも、他社の荷物を積めれば、チャーター代金を一割値引きしても、結局は元の料金よりも多くの収入を得ることができます。  こうして、固定費は増やさずに売上だけを増やす「増し分」を生じさせている、というわけです。  大きな設備投資をして儲けるのはかっこういいが、実は、こうした地道な増し分をコツコツ積み重ねることで、利益は格段に改善します。  また、こうした工夫をすることが企業を筋肉質にします。  投資に頼るのでなく、工夫に頼る会社になるからです。  会社をつぶした社長(正確には元社長)を何人か知っていますが、みな、「明るく、元気、大雑把、見栄っ張り」です。明るくて元気なのはよいことですが、大雑把で見栄っ張りだと、増し分の工夫などせずに、お金を借りてでも格好のよい設備投資などを行ってしまうからです。お金に頼ると知恵が出なくなります。

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