会計・財務の章の最後に、銀行借入れについて少し話をしておきましょう。 銀行は、おもに企業の次の点を見て、融資の判断をします。 1 安全性 2 収益性 3 成長性 4 経営者 5 銀行の収益性 安全性とは、要するに、貸したお金を確実に返してもらえるかどうかということです。 先に説明した「自己資本比率」や「流動比率」などを参考にします。担保を設定する場合も多いです。銀行は、預金者の資金を一%程度のわずかな利ざやで融資しているわけですから、安全性をもっとも重視するのが当然ともいえるでしょう。 収益性、成長性も重要です。二期連続赤字だと、たいてい銀行のスタンスが大きく変わります。成長している企業や業界のほうが融資を行いやすいのは当然です。 さらに、経営者本人のことも注意深く見ているものです。特に中小企業にはそうです。設備投資のためにと貸した資金がベンツになったのではたいへんですから! ルーズな人よりはきっちりした人のほうが、独身者よりは家族持ちのほうが融資しやすいといいます。 最後に挙げた銀行の収益性は、銀行から見て儲かるかどうかです。銀行も儲からないことはやりたくない。だから、金利や手数料などをあまり値切ると、「他行に行ってくれ」ということにもなりかねません。あくまでも力関係を考えて交渉する必要があります。 と、ここまで、銀行との取引について説明しました。でも、いちばんよいのは、 銀行と関わる時間を短くすることです。 こんなことを書くと、「えっ」と思う人もいるかもしれません(実際に中小企業を経営している人なら必ず)が、企業の本質はファイナンスや会計ではありません! 特に、供給過剰の時代はそうです。右肩上がりの時代なら、お金を借りてでも他社と似た商品を提供すればなんとかやっていけたかもしれませんが、いまはそういう時代ではありません。銀行に目を向ける暇があったら、お客さまと向き合うことです。 ビジネスマンが会計や財務を学ぶうえでいちばん大切なことは、企業も、そしてあなた自身も、お客さま志向でなければならないということです。 どれだけ会計や財務の知識があったとしても、 お客さまに喜んでもらえる商品やサービスを提供することができなければ、 企業は生き残ることはできません。 ピーター・ドラッカーは、「企業が存続できる条件は、社会に貢献すること」、つまり、商品やサービスを提供し、それにより売上や利益を高め、雇用の維持や株主還元、さらには税金の支払いなどを行うことだと言っています。 会計や財務はあくまでもそれをサポートするものにすぎません。
まとめのチェックリスト □売上や利益が経営的にどういう意味かを答えられるか? □財務担当者と同じ知識と技術を持とうとしていないか? □「資金繰り第一」になっていないか? □キャッシュを稼いで貯め込むのが、キャッシュフロー経営と思っていないか? □借入れをしてでも投資するのが積極経営と思っていないか? □ ROEこそ経営上もっとも重要な指標だと思っていないか? □まず売上ありきで経営計画を立てていないか? □設備投資によって利益を拡大しようと思っていないか? □会計の数字算出に多大なエネルギーを注いでいないか? □銀行とのつき合いがいちばん大事だと思っていないか?
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