わたしは自分の仕事が大好きです。経営コンサルタントという仕事を通じて、お客さまの企業が発展し、そこで働く人が幸せになるのを見るのが好きだからです。 きれいごとを言っているのではありません。お客さまがよくなれば、その結果、当然のこととして、わたしの会社もわたし自身も経済的によくなるし、社会的評価も高まります。この仕事はわたしにとって天職だとさえ思っています。わたしには、仕事なしで自己実現はできません。 だから、わたしは仕事を大切にしています。そのためには、そして、そうであるからこそ、自分の人生観や価値観に合わないことはやりたくないし、社員にもやらせません。不当な手段で利益を得ることや、自分たちだけがよければそれでよいといった類のことです。そういう人は嫌いですし、頼まれてもそういう会社とはおつき合いしません。成功しないのが明らかだからです。正しい考え方を持った人や会社のほうが結果的にうまくいっているのを知っているからです。 わたしにとっても、そして、いま、この本を読んでくださっている読者のみなさんにとっても、ビジネスは人生の一部のはずです。そして、ビジネスとは、「幸せ」になるための道具です。だからこそ、その方法にはこだわるのです。 それでは、「正しい」人生観とは何なのか? 神ならぬ人間である以上、絶対に「正しい」ということを見つけだすのはむずかしい。わたしは、それを、『論語』や『仏教聖典』、『聖書』など、古代から読み継がれてきた本に求めることがよくあります。古代から読み継がれてきたものには、多くの英知があると思います。多くの人が判断基準としてきた「正しさ」がそこにはあると思うのです。 リーダーは、そういう本を何度も繰り返して読むことが必要でしょう(詳しくは、『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』(ディスカヴァー刊)に書いています)。 ひとりよがりの「正しさ」でなく、多くの人が長い間「正しい」と信じてきたことを、自分の人生観に織り込むことができればすばらしい。たいした勉強もしないで自分の考えだけが絶対と猛進する独善的なリーダーほど部下に迷惑をかけるものはありません。 人生のひとつの、しかし大きくて大切な部分としてビジネスがある、と思います。 「ビジネスは金儲けの手段で、人生とは別」とは決して思わないし、そう思っていないほうが結果的にうまくいくと考えます。 本書の最後にあたって、藤本老師から教えていただいた言葉のひとつをお教えしましょう。老師曰く、「お金を追うな、仕事を追え」 お金ばかりを追っても、お金はやってきません。よい仕事をすれば、お金は自然についてきます。お金は、結果です。逆に言えば、お金がついてくるくらいのよい仕事をやり続けることが大切だ、ということなのでしょう。 そういうふうにみんなが考えれば、ビジネス(働くこと)を通じて、働く人も社会もきっとよくなる、と信じています。
まとめのチェックリスト □多くのことをいっぺんにやらせようとしていないか? □部下が仕事ができないのは気合いが足りないからだと思っていないか? □身体を張るのは部下の仕事と思っていないか? □社長たるもの、話すことが聞くことより大切だと思っていないか? □最近の若い人には、あまり厳しくしてはいけないと思っていないか? □社長なら遊びも社会勉強と思っていないか? □自分流のやり方にこだわって成功できると思っていないか? □肩書で人が動いているのを自分が偉いと勘違いしていないか? □常にプラス思考だけで、逆境を忘れていないか? □オーナー社長だから、会社のお金は自分のお金と思っていないか? □よいリーダーには「自己犠牲」が必要だと思っていないあとがき ビジネスの世界に入って三十年近く経ちますが、ビジネスってほんとうにすばらしいものだと思います。経営コンサルタントの仕事をしてきて、ほんとうによかったと思っています。 ビジネスとは、お客さまに喜んでいただける商品やサービスを提供することによって、お客さまが幸せになり、それにより会社や働く人が潤い、仕入れ先さんや株主さん、さらには、税の支払いを通して社会が潤うものだからです。 しかし、ビジネスを単なる「金儲け」だと考えると少し違ってきます。自分たちが金儲けするためにビジネスがあるとすると、ビジネスがいやらしくなり、仕事そのものが荒れてしまうことになりかねません。弱肉強食にもなりかねません。 私利私欲に走ることが、結局、社会にとってはもちろん、本人にとっても決してよい結果をもたらさないことは、現在起こっている経済危機をみればお分かりでしょう。 よい商品やサービスを提供するという気持ちを持つか持たないかで、社会貢献か単なる金儲けかが決まります。 これは、公務員でも議員でも同じです。国民のために仕事をすれば、仕事が社会貢献になりますが、自分たちの利権や名誉のために行えば、単なる私利私欲です。 松下幸之助さんが、「私利私欲」を持ってビジネスをしてはいけないとおっしゃっているのを CDで聞いたことがありますが、日本有数の金持ちとなった松下さんが、よい仕事をして、「結果として」お金が儲かることが「私利私欲」でなかったとお考えだったことは興味深いことです。 よい仕事をすることを目的とするか、あるいは金儲けを目的とするかで、同じことをやっていても、実質は違ってくるのです。そして、よい仕事をすると考えていたほうが、結果として「儲かる」ともいえます。 しかし、それはあくまでも結果です。実は「お客さま第一」というのは、こういうことを言っているのだと、わたしは思っています。 本書を参考にし、「よい仕事」をする会社づくりをされ、読者のみなさんが繁栄されることを心より祈っています。わたしのアドバイスが参考になり、みなさんの会社が繁栄し、みなさんが幸せになられることが、経営コンサルタントとしてのわたしにとって、何よりも誇りになることです。二〇〇九年 三月小宮一慶
か? □人生とビジネスはまた別のこと、と考えていないか?
どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座 2009年 3月 18日 初版第 1刷発行 2009年 12月 20日 電子書籍版発行著者小宮一慶書籍装丁遠藤陽一( DESIGNWORKSHOP JIN, Inc.) 長坂勇司(フォーマット)イラストムーブ(本文図版)発行者干場弓子発行所株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン 〒 102-0093東京都千代田区平河町 2-16-1 平河町森タワー 11 F TEL 03-3237-8321(代表) FAX 03-3237-8323 http:// www. d 21. co. jpディスカヴァーデジタルブックストア http:// store. d 21. co. jp公式ツイッターアカウント http:// twitter. com/ hoshibay(干場弓子) http:// twitter. com/ discover 21(ディスカヴァー・トゥエンティワン社長室)本書の無断転載・複写・複製は、著作権法上の例外を除き禁じられています。 ISBN 978-4-88759-697-9 (C) 2009 Kazuyoshi Komiya
コメント