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利益性の原則を押さえ直す

 業績を良くするには、利益性のよしあしはどのような要因で決まるか、利益性の原則もはっきり押さえ直しておく必要があります。「コストダウンをする」「固定費を少なくする」「経費を減らす」など、いろいろな考えがあります。  もちろんこれらのことは間違いではありませんが、どれも部分的な対処法で、根本的な解決方法とはいえません。  これに解答を与えたのが、ランチェスター法則の応用研究から出てきた市場占有率の法則です。  ①県単位か営業活動エリアのどちらか広いほうで 1位になり、  ②市場占有率 26%以上を押さえ、  ③ 2位との間に 10対 6以上の差をつける  ――という「3つの条件」を確立すると、従業員 1人当たりの経常利益が業界平均の 2 ~ 4倍も多くなる。  これが、市場占有率の法則です。  この状態が何年か続くと自己資本比率が高くなり、従業員 1人当たりの自己資本も業界平均の 2倍以上になるので、資金繰りがとても楽になります。  全国各地に支店や営業所をいくつも出し、その結果、売上が増加しているような会社は、外見からではとても良く映ります。しかし1つひとつの支店や営業所の市場占有率が業界で中位か中以下にあるなら、粗利益に対する営業経費が割高につくので、従業員 1人当たりの経常利益は業界平均よりも少なくなります。  これでは自己資本比率が低くなり、しかも従業員 1人当たりの自己資本額も少なくなってしまいます。  この状態にありながら「売上を伸ばせば利益が多くなるはずだ」とばかりに支店や営業所を増やし続けると、どんなことになるでしょうか。  出先開設のために少なからぬ資金が出ていくばかりか、出先を出しても何年間かは赤字が続くので、ほどなく資金繰りが苦しくなって危ない会社になる

はずです。  私はかつて企業調査会社に勤め、中小企業の信用調査と倒産会社の取材をしていましたが、こういう会社が何社もありました。なぜこうなるのかといえば、それは、広い意味での営業経費が予想以上に多く出ていくからです。  例として、中小の卸会社における粗利益と、経費の関係について説明しましょう。  ある会社で、粗利益を 100万円つくったとします。この場合、経費はどのように出ていくのか?  営業パーソンの人件費、自動車の維持費や出張経費、販売促進費や交際費など「広い意味での営業経費」が 65万円 ~ 70万円も出ていきます。  この経費の中で最もウエイトが高くなるのは、営業パーソンがお客のところまで移動する移動時間のロスです。営業パーソンの移動時間が多くなると、本当の仕事といえる「お客活動時間」が少なくなります。つまり移動時間とお客活動時間の2つは「二律背反」の関係にあるのです。  このほか、内勤者の人件費や家賃、電気代、電話代や支払利息などを払うと、経常利益として残るのはわずか 7、 8万円になってしまいます。これから税金を払うと、会社に残るお金はほんのわずかです。黒字会社でも、こんなケースが多いのです。  では、どうすればよいのか?  そうした場合は、特定の地域に、競争相手よりも多くのお客をつくって、市場占有率を高める努力をすることです。 1位になれば、営業パーソンの移動時間が少なくなり、その分お客活動時間が多くなるので、多くの得意先が担当できたり、密度が濃い販売活動ができるようになります。その結果、営業経費が割安になる上、お客から支持されるようになり、業績が向上してきます。  そんなふうに、特定地域にお客を多くつくったことで市場占有率が高まり、これによって粗利益が 8万円多くなるか、営業経費が 8万円少なくなれば、それまで 8万円だった経常利益は倍の 16万円になります。  こうした経常利益の増え方は、電気代や電話代を節約するなどの、会計的な考え方による増え方とは根本的に異なります。これは、集中効果によって生み出されるプラス作用なのです。  この考え方は、「商品」や「業界」・「客層」でも同じように成立します。このことから、業績向上のための「強いものづくりや、 1位づくりの経営原則」が生まれたのです。  競争力がある強い商品が1つもなく、どれも負けている。  他社よりも広い地域で営業してはいるけれど、強い地域が 1カ所もなく、どこも負けている。  業界でも客層でも同じような状態になっているとすれば、従業員 1人当たりの粗利益が業界の平均より 2割も 3割も少なくなるでしょう。それで経常利益を多くしようとしても、どう考えても無理なはずです。  経営の目的を、「強いものづくりや、 1位づくり」に定めると、目先の利益に目がくらみ、自社の業種から見て手を出すべきでない商品に多角化することが防げるので、経営の安全度が高くなる、というメリットもあります。  この点が、通常のマーケティングやマネジメントにはない、ランチェスター経営の大きな特徴になるとともに、この原則を守ることは経営の大きな差別化にもなるのです。

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