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ランチェスターの法則を研究する

 では、実際にはどのようなやり方をすると正しい「社長の経営術」になるのか?  この難問に解答を与えたのが、ランチェスターの法則です。  ランチェスターはイギリス人で、 27歳のときにイギリスでは最初にガソリンエンジンの自動車をつくったあと、 28歳 ~ 40歳までの 12年間、自動車会社の経営をしていました。そして 40歳で会社を売却し、技術コンサルタントになりました。   1914年7月 28日、第 1次世界大戦が勃発しておよそ 2カ月後の 10月 2日、戦闘における力関係は、どのような条件で決まるかについて、自分の研究室で考えていたとき、ピタゴラスの定理にヒントを得て、次の2つの法則を発表しました(日本では「ランチェスターは第 1次世界大戦における空中戦のデータを分析しているうちに法則を考えた」と説明されていますが、ランチェスター自身が法則について書いた原書を読むと、これは間違いであることがわかります)。  第 1法則は、  攻撃力 =兵力数 ×武器性能(質)  です。  もし双方の武器性能や兵士の技能に差がなければ、攻撃力は兵力数に比例することになります。この第 1法則について、ランチェスターは、質が「コンスタントの場合は」と表現しています。第 1法則は、刀や槍など戦闘範囲がごく狭い兵器を使い、敵と味方が接近し、 1対 1の戦いをしたときだけ成立するので、第 1法則のことを接近戦、一騎打戦の法則とも呼んでいます。  第 2法則は、  攻撃力 =兵力数の 2乗 ×武器性能(質)  です。  もし双方( A・ B)の武器性能と兵士の技能に差がなければ、攻撃力 =兵力数の 2乗に比例するということです。  この場合の試算式は、 = A軍の残存数になるので、 A軍の損害量は初期兵力数から残存数を差し引いたものになります。  ちなみに攻撃力が兵力数の 2乗になる根拠は、確率の法則にあります。  この第 2法則は、ライフル銃や機関銃など射程距離が長い兵器を使い、双方が離れて戦ったときだけ成立するので、第 2法則のことを間隔戦、確率戦の法則とも呼んでいます。  では第 1法則と第 2法則の2つの公式を使って、簡単なシミュレーションをしてみましょう。  まず、兵士の数の比が 1対 0・ 5のケースです。劣勢側が 2分の 1の力関係にある場合に、劣勢側が第 1法則で戦いをすると本当の力関係は、やはり 1対 0・ 5になり変化はありません。つまり効率は「 1・ 0」になるので、この場合損も得もありません。  次に 1対 0・ 33と、劣勢側が 3分の 1の力関係にあるケースです。この場合、第 1法則の条件で戦いをすると、本当の力関係は、やはり 1対 0・ 33になり変化はありません。この場合の効率も「 1・ 0」になります。  では第 2法則で戦いをした場合はどうなるでしょうか。  兵士の数の比が 1対 0・ 5と、劣勢側が 2分の 1の力関係にある場合に、劣勢側が第 2法則の条件で戦いをすると本当の力関係はこの 2乗に比例するので、 1対 0・ 25になってしまいます。  この場合、劣勢側の効率は 50%も低下してしまいます。  次に 1対 0・ 33と、劣勢側が 3分の 1の力関係にある場合、第 2法則の条件で戦いをすると本当の力関係は、この 2乗に比例するので 1対 0・ 11になってしまいます。  この場合、劣勢側の効率は 67%も低下してしまいます。これでは劣勢側は、ひどい結果になってしまうのははっきりしています。  この原則を知らずに戦争をし、 210万人もの戦死者を出したのが旧日本軍です。  会社経営でも、多くの競争相手がいる場合、会社と会社の本当の力関係は「ある局面」に投入される戦術力の 2乗に比例します。そのために競争条件が不利な会社が「特別な対策」をとらないで経営をすると、強いほうから 2乗作用の圧迫を受けるのでひどい結果になってしまうのです。  以上2つのシミュレーションから、次の結論が出てきます。   1番目の結論は、競争条件が最も有利な会社が目標を定めて運営するときは、ランチェスターの第 2法則を応用すべきだということです。  そうすれば、下位の会社に 2乗作用の圧迫を与えることができるので、より有利に戦いを進めることができます。これが、「強者の経営戦略」です。   2番目の結論は、競争条件が不利な会社が目標を定めて運営するときは、ランチェスターの第 1法則を応用すべきだということです。  そうすれば、たとえ競争条件が不利であったとしても、それ以上不利にはならないので、第 2法則を応用して戦う場合よりはるかに有利になります。努力すれば努力するほど、結果を出せるのです。これが、「弱者の経営戦略」です。

 以下に、強者の戦略と弱者の戦略について、もう少し詳しく説明しましょう。

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