経営システムは、社長がすべてを決めなければなりません。 逆にいえば、経営システムをつくる人が社長なのです。社長が経営システムをつくり、社長が中心になって、従業員とともに力強く実行していくことになります。 その実行の結果が業績となり、貸借対照表( B/ S)と、損益計算書( P/ L)に、数字として出てきます。こう考えれば、経営システムづくりは「論理学」そのものといっていいでしょう。 古代ギリシャのソクラテスの弟子たちによって始められた、論理学の出発点は次の説明から始まります。 Aは Bに等しい。 Bは Cに等しい。ゆえに Aは Cに等しい。 というものです。 A = B B = C ゆえに A = C これを出発点にして応用範囲を広げたり、レベルを高めていくのが論理学です。 論理学で大事なことは、個人の好き嫌いで事実を曲げたり結論を変えたりしないことです。 経営システムは社長がつくるので、どのような経営システムができるかは社長の戦略実力の範囲内でしかできません。これを式で表わすと「社長の戦略実力 =経営システム」になります。 次に業績がどうなるかは、経営システムそのものと運営方法のよしあしによって決まります。 お客も従業員も、もちろん社長の思いどおりには動きません。しかしこの条件は競争相手も同じなので、これを式で表わすと「経営システムと運営方法 ≒業績」になります。 そしてこれらを整理すると、「社長の戦略実力 ≒業績」となるのですから、業績の「第 1原因」は社長の戦略実力になるのです。 今説明したものを公式化し、さらに図で表わすと次のようになります。
社長の戦略実力 =経営システムのレベル =業績 自分 1人か、せいぜい 3 ~ 4人の従業員を使って経営をしている社長の場合、このようにはっきりした経営システムはつくらずに、経営する人が多くなるでしょう。 しかし仮にそうであっても、社長の頭の中には、経営システムに近いものがイメージされており、それに従って経営をしているはずです。 このとき社長が身につけている商品戦略や地域戦略、営業戦略や顧客維持の戦略など、経営の大事なところの戦略実力が同業者よりも高ければ、経営を構成する大事な要因1つひとつに対して一貫性がある目標が定められ、レベルの高い経営システムをつくることができます。 しかも社長が必勝型以上の時間戦略を実行し、リーダーシップ力も高ければ、従業員は効果が高い仕事を、ヤル気を出して積極的に実行することになるので、結果として業績が良くなります。 反対に、社長の戦略実力が同業者よりも低ければ、目標に一貫性がなくなり、レベルが低い経営システムしかつくれません。その上、社長の仕事時間が短く、リーダーシップ力も弱ければ、従業員は効果が低い仕事を消極的にすることになるので、当然業績が悪くなります。 つまり業績が思わしくない場合、社長がつくった経営システムが同業者よりも悪いことと、社長の運営方法が悪いことの2つに原因があるのですから、この2つを改善してレベルを高めない限り業績は良くなりません。 ところが経営システムのつくり方のよしあしは、外見からではわかりませんし、経営システムをつくるときに最も大事になる戦略もはっきりしません。そのため、どこに本当の原因があるかわからないばかりか、社長自身の戦略実力が同業者の中で「どのレベル」にあるかも、全くつかめないのです。 さらに、社長になると良いことを言ってくれる人は何人もいるのに、社長の欠点や問題点を正面から言ってくれる人もいなくなるので、社長自身、自分の戦略実力がどのレベルにあるか、いよいよわからなくなります。こうなると多くの社長は、自分の戦略実力を実際よりもはるかに高く考えてしまいます。 もうだいぶ前になりますが、ある経済団体が社長に対して「あなたの戦略実力は同業者 100人中何番目くらいにあると思いますか」というアンケートをとったところ、何と 9割もの人が「 10番以内に入っている」と答えたそうです。いかに多くの社長が、自分の戦略実力を、実際より高く考えているかを示すデータです。 その結果、業績が悪い会社の社長は、自分の戦略実力に問題はないのだから、業績が悪くなった原因は、従業員の働きが悪いからだ、と考えてしまいます。 これをよく表わしているのが、中小企業の社長に対して行う「今年の重点経営課題は何ですか」というアンケート調査の結果です。 これによると製造業の場合、 1番目は新製品の開発です。しかし景気が特別に悪くなると、コストダウンが 1番目にきます。 2番目は営業力の強化で、 3番目は従業員教育になっています。 卸売業や業務用の販売業の場合、 1番目が営業力の強化で、 2番目は従業員教育になっています。この順序は、 40年も前からほとんど変わっていません。 経営システムは社長がつくります。そして、戦術係の人事や給料はもちろん、どのように教育するかを決めるのも社長です。だから、従業員 30人までは業績の 98%が社長 1人の戦略実力で決まり、従業員 30人 ~ 100人まででも業績の 96%が社長 1人の戦略実力で決まります。 そう考えれば、「今年の重点経営課題は何ですか」というアンケート調査に対しては「社長の私が経営戦略の研究に本気で取り組み、戦略実力を上位に高める」ことが、 1番目にこなければなりません。ところが残念ながら、これまでそんな回答を見たことがありません。 ただこれは、見方を変えれば大きなチャンスといえるでしょう。経営戦略を本気で研究しようとする社長が少ないということは、あなたが身を入れて経営戦略の研究に取り組めば、逆転の可能性が十分にあるということでもあるからです。
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