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経営システムをつくり直すにも何年もかかる

 しかし、学習して 2 ~ 5年かけて戦略実力を高めても、それですぐ業績が良くなるかというと、そう思いどおりにはならないところに経営のむずかしさがあります。  業績を良くするには社長の性格、過去の経験、自社の経営規模、競争相手との力関係または業界におけるランクの4つの条件を考えた上で、経営システムのつくり直しや改善に取り組み、同業者よりもレベルを高めなければなりません。  改善する 1番目は、商品です。製造業の場合は、商品の競争力が強くならないと良い経営はできません。競争力がある強い商品をつくる手順は、次のようになります。 1.「強いものにはより力を入れよ」の原則に従い、特徴がある商品を重点目標に定めます。 2.重点商品の改善に力を入れて、さらに強みを高めます。 3.重点商品の販売に、今までよりも多くの力を入れます。  この状態を 2年ほど続けていると、競争力がある強い商品ができる可能性が高くなります。  しかし、いくつも商品をつくってはいるが、これといった特徴がある商品が1つもない場合は、この4つの条件を考えた上で、その中のどれかを重点商品に決めなければなりません。決めたら、その重点商品の改善と販売活動にも力を入れます。  しかし限りある経営力でこれを実行するには、競争に負けていて将来性がないものや、衰退期に入っている商品は、思い切ってカットしなければなりません。カットして浮いた経営力を、重点商品に再配分します。これを 5年くらい続けていると、差別化力がある強い商品ができる可能性があるのです。  ところがいくつもある商品の中で、どの商品を重点商品にするか決心がつかず長引いた上に、負けている商品や衰退期に入っている商品から撤退する決断ができず、いつまでもグズグズしていると、いつまでたっても競争力がある強い商品はできません。  もし売上の中で、最もウエイトが高い主力商品のライフサイクルが衰退期に入っているようであれば、イチから新製品の開発に取り組まざるを得ません。しかし新製品の開発はとてもむずかしいので、開発の目途がつくまでには長い期間がかかります。  このとき累積赤字がたまっているなどの理由で資金繰りが苦しければ、社長は新製品の開発に集中できないので、新製品が完成する前に経営が行きづまる可能性が高くなります。 2代目が経営を引き継いだあと、こうなるケースが少なからずあります。いわば、 2代目の悲劇です。

 では、卸会社や業務用製品の販売会社の場合はどうか。  これらの会社は、商品の差別化がむずかしくなるので、その分、営業地域の差別化と販売戦術の差別化に力を入れなければなりません。  その手順は、次のようになります。 1.力がある営業パーソンが担当していたなどの理由で、自社が健闘している地域が何カ所かあったら、そこを、業界で 1位をめざす重点地域に決めます。 2.会社から近くて営業しやすかったり、強い競争相手がいないところを重点地域に決めます。 3.自社専用の販売マニュアルをつくり、営業パーソンの実力向上に取り組みます。  このときの作業手順は次のようになります。 ①どうすれば訪問面会件数を、同業者より 3割以上多くすることができるかを考えます。このとき、訪問面会件数の増加に障害となっているものがあれば、それを思い切って改善します。そのあと、訪問面会件数増加に向けて社内の仕組みをつくり直すとともに、それが増加する方法を文章にまとめます。 ②自社の営業パーソンにとっての「質」には、どんな項目があるかを考えます。 20項目 ~ 25項目が出てくるはずです。次はどうすればこの項目のレベルを高めることができるか、レベルの高め方を考えたあと、それを項目ごとに文章にまとめます。 ③訪問面会件数の高め方と質の高め方の2つをまとめます。すると、自社専用の販売マニュアルができ上がります。自社専用の販売マニュアルをつくっている会社は滅多にないので、良いものができれば販売戦術の差別化になるでしょう。 ④社長がインストラクターになり、このマニュアルを使って営業パーソンの教育と訓練に力を入れます。こうすると営業パーソンの実力が上がるばかりか、個人差も少なくなります。 ⑤重点地域内には、より多くの販売戦力を投入し、 1位の得意先づくりと新規開拓に力を入れます。すると、 2年 ~ 5年もすると 1位の地域ができてくるはずです。  ただ、あちこち広い地域で営業をしてはいるものの、自社が強い地域が 1カ所もない場合は、弱者の戦略原則に従って、思い切った手を打たなければなりません。  次のような方法です。 ①会社から近い地域か、海、山、川、それに鉄道や高速道路など、自然の障害物や人工の構築物によって地域が分断され、独立性が高くなっているところを重点地域に決め直します。その上で、会社から遠かったり強い競争相手がいるために占有率が低く、これが原因で赤字が続いている地域からは思い切って撤退します。撤退した地域の営業パーソンを、重点地域に再配分します。 ②自社専用のマニュアルをつくります。 ③社長がインストラクターになって営業パーソンを教育します。 ④重点地域内で、新規開拓に力を入れます。  この手順で進めるわけですが、継続取引型の場合、新規開拓に成功するには長い期間がかかるので、強い地域をつくるには、 5年程度は見ておかなければならないはずです。  もちろん、いくら時間がかかっても、生き残るためにはやらなければなりません。重点地域の決定に時間がかかり、重点地域を決めたあとも採算が悪い地域からの撤退に決心がつかず、いつまでも迷っているなら事態は何も変わらないので、 5年たっても 7年たっても業績が良くなる見込みはないのですから。  今説明したのは訪問型営業の場合でしたが、小売業や飲食業でも全く同じことが当てはまります。  社長が戦略実力を高め、経営システムのレベルを高め、それらを業績に結びつけるには、長い時間がかかることが理解できたでしょうか。だから社長は、

3年先や 5年先のことを考え、経営戦略の研究には早めに取り組む必要があるのです。

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