こうなった本当の原因は、社長の戦略実力の低さにあるのです。 経営における仮説検証法は、囲碁のゲームに似ています。 囲碁は 19 × 19の 361カ所のマス目に碁石を並べ、陣地の広さを競うゲームです。「布石」と呼ばれるところが終わり、さらにゲームが進行すると中盤に入っていきます。中盤にさしかかると両方の石が接近してきて、戦いが始まります。 ゲームをするからには誰だって勝ちたいと思っているので、自分に順番が回ってきたら、どこに石を打つと最も良い手になるかを考えます。つまり仮説を立てるのです。 しかし中盤における「最善の手」はたいがい 1カ所で、あったとしても 2カ所しかありません。これに対して価値が低い手や打つべきでない悪い手は数多くあります。 この中盤で、囲碁の高段者は多くの場合「最善の手」を打つため、ゲームに勝つことができます。一方、素人は、たまに最善の手を打つこともありますが、たいていは数多くある悪い手を打ってしまうので、結局ゲームに負けてしまうのです。 囲碁では、その人の実力以上の手は打てません。打てた場合は、まぐれです。 経営も全く同じで、「会社の業績を悪くして倒産し、ホームレスになろう」と考えて経営をしている社長は 1人もいません。誰だって業績を良くして立派な会社にしたいと考えているはずです。 ところが戦略実力の低い社長は、「最善の手」と考えて悪い手を打ち、墓穴を掘るのです。勝とう、勝とうとして、結局、会社を潰してしまうのです。 ここまで説明したことでわかるように、仮説検証法が業績向上に役立つのは、同業者 100人中 3番以内に入れるような、高い戦略実力を身につけている人に限られます。点数でいえば 80点以上になるでしょう。 では戦略実力が低い人は、どうすればよいのか。 それは 1章の学習成果の公式で説明したように、まず自社の経営規模と業種に合った良い戦略教材を準備し、次はこの教材を使って学習回数を特別多くします。こうして経営を進める上で欠かせない大事なところが、 70点以上取れるよう戦略実力を高めることが先決なのです。こうしたあとで実際の経営に応用してみるなど、体験知識を蓄積していくと、やがて 80点のラインに到達できるのです。 もしあなたが、自分の戦略実力に自信がないようなら、まず、戦略実力そのものを高めることを最優先に取り組んでください。そうしなければ、仮説検証法は意味がありません。
目次
コメント