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理想の自分と今の自分と対話する時間をつくる

 漢字の中に座るという字があります。この字の大本は、「坐」といわれています。  この坐という字は、神様がいる神殿の正面の地面に罪を犯した人と、この人を取り調べたり裁きをしたりする人が、向き合って地面に座っている様子を

表わしているそうです。  やがてこれが変化し、理想的な自分と現在の自分とが向き合って座り、人生設計など自分にとって本当に大事なことを考えるときに使うという、特別な意味をもつようになったそうです。  ではこのやり方を応用して、理想の自分と現在の自分とで、経営問答をしてみましょう。この経営問答は、神様の前に座って行われているということを忘れないでください。理想の自分  君は現在社長をしているが、社長としての素質はどのレベルにあると思いますか。現在の自分  ハイ、法人設立年数による従業員 1人当たりの自己資本額やここ数年間の従業員 1人当たりの純利益から見て、社長としての素質は中の下か下のクラスにあると思います。理想の自分  君は 1年間に何千時間仕事をしていますか。現在の自分   1年の仕事時間は 2600時間程度になっていると思います。理想の自分  中小企業の社長は 3200 ~ 3700時間仕事をすべきですが、それだと 1年間に 600時間 ~ 1100時間不足しています。それでは実行力が弱くなるので、業績を良くすることはできないはずです。現在の自分  ハイ。仕事時間が少ないことはよくわかりましたので、さっそく 3200時間以上働くように計画を立てます。理想の自分  業績を良くするには、粗利益をつくるときに直接関係する、商品、営業地域、業界・客層のどれかで強くなったり、 1位になることが欠かせません。今経営している会社に、強いものか 1位になっているものは何がありますか。現在の自分  残念ながら1つもありません。理想の自分  国語の成績のよしあしによって経営戦略の学習方法が変わりますが、君の中学時代と高校生時代の国語の成績はどのレベルにありましたか。現在の自分  ハイ。中か中の下にありました。理想の自分  多くの競争相手がいる中では、社長の戦略実力を同業者 100人中 5番以内に高める必要があります。君の場合は、経営規模と業種に合った、レベルが高い CDや DVDなどを教材に使って学習することが欠かせません。君は今、どんな教材を揃えていますか。現在の自分  経営戦略に関する教材は本を何冊か持っているだけで、 CDや DVDの教材は特に持っていません。理想の自分  君は、今経営している会社を、どのようにしたいと考えているのですか。現在の自分  ハイ。従業員 1人当たりの純利益を業界平均の 2倍以上出して、仕入先や同業者から注目される良い会社にしたいと考えています。理想の自分  君は社長としての素質が中の下にあり、会社にも強いものが1つもありません。無から有が生じることは決してないように、今考えていることを実現するには、本気で学習するしかないのです。その覚悟はありますか。現在の自分  ハイ。あります。必ずこれを実行して今の会社を良い会社にします。  このような問答ができれば、あなたの会社は必ず変わってくるでしょう。  社長になると、自分の問題点を正面から直言してくれる人がいなくなるので、油断すると自分の戦略実力を 10倍以上高く考えてしまいます。これが社長の向上心を失わせ、マンネリ経営に陥る大きな原因になっています。そんな状態が何年か続けば、いずれ業績が悪くなり、資金繰りが回らなくなってくるはずです。  厳しい経済環境が続く中、そうなってしまってから「何とかしよう」としても、たいていは間に合いません。  こうなることを防ぐためには、 1年に何回か自宅と会社から少し離れた静かなところで、理想の自分と今の自分が向き合い、時間をかけて経営の大事なところについて話し合う必要があるのです。  もちろん初めの 3 ~ 4回は良い結果は出ないでしょうが、続けていると徐々に集中力が高まって、はっきりした成果が出てくるでしょう。  これに似たことを、毎週日曜日に数時間をかけて行っているのがユダヤ人です。  ユダヤ教では日曜日は汗を流すような労働をしてはならないのはもちろん、旅行もしてはならないと定めています。そしてまず自分自身と向き合い、自分にとって最も大事な物事を決めたり、前に決めていた物事を再確認したりするのです。  世界の中で、商売が最も上手な民族はユダヤ人といわれる最も大きな理由は、毎週 1回、自分と向き合って対話をするルールをかたくなに守っているからかもしれません。  これに対して日本人のほとんどは、日曜日をバカンスの日にしています。月曜からは仕事をするのですが、これでは社長自身の戦略実力を高めるための計画時間も、会社の長期計画や短期計画を立てる時間もつくれません。  結局目先の利益を追い求めたり、日々発生する突発的な雑用に追われて走り回ったりすることになるので経営効率が悪くなり、ほどなくバタビン(バタバタ貧乏)経営に陥ってしまうのです。  そんなふうにならないために、「坐」の字源とユダヤ人のやり方に習い、毎週とまではいかなくても、毎月第 1日曜日と第 3日曜日の 2日間を、自分自身と向き合い経営について計画を立てる日に決めましょう。  そしてその日に、まず社長自身の人生計画や学習計画を立て、次に会社の経営計画を検討して経営の実行状況をチェックし、場合によって修正を加えたりするのです。  そうしていると、自分を客観的に見ることができるようになるばかりか、進む方向も正しくなるので、必ず業績は向上してくることでしょう。

おわりに  ここまで、社長の差別化学習法というテーマについて説明してきました。  この本の目的は、差別化力がある学習法によって社長の潜在能力を開発し、従業員や仕入先から尊敬される立派な社長になることと、会社の業績を良くして安全度が高い会社にすることの2つにあります。  会社の業績を良くするとき、多くの社長が実行するのが経営計画書の作成です。経営計画書をつくるときは、社長の性格、過去の経験、競争相手との力関係、または業界における自社のランクの4つを考えた上で、次の項目についてまとめていきます。  まず必要な売上高、必要な粗利益、必要な経常利益を決めます。  このあとこれを実現するときに大本となる、商品、営業地域、業界と客層の、「どこに力を入れて強くするか」「どこに力を入れて将来 1位になることをめざすか」の重点目標と最大範囲を決めます。  その上で、全社的な営業方法、販売戦術、顧客維持の方法など、経営を構成する大事な要因1つひとつに対して、強者の戦略か弱者の戦略ルールをもとにして計画を立てたあと、これをまとめていきます。  競争条件が不利な会社が業績を良くするには、これらの大事なところを、強い会社と思い切った差別化をするとともに、革新も加えなければなりません。不利な会社の業績は、経営を構成する大事な要因がどれくらい差別化されていて、どれくらい革新が加えられているかによって決まるのですから、これらの作業には時間をかけてしっかりと取り組まなければなりません。  しかし、経営を構成する大事な要因の差別化や革新は、しょせん、社長の戦略実力の範囲内でしかできません。だからまず必要なのは、社長自身の戦略実力を高めるための「学習計画」なのです。  しかも従業員 100人以下の場合は、業績の 96%以上が社長の戦略実力で決まるのですから、社長の学習計画には、ページ数をたっぷりとっておかなければなりません。  もっとも、これをやろうとするとどうしても、改めて社長自身の素質のなさや欠点に面と向き合う必要が出てきます。社長にとっては決して楽しいことではないので、できればやりたくないはずです。  しかし、「むずかしいことには、それと同等かそれ以上の良いことが隠されている」という教訓もあります。あえてこの作業を行うことで、やがて事態が大きく変わってくるはずです。  この教訓を信じて、戦略の学習計画を立てられることを願っています。   2013年9月吉日竹田陽一

竹田陽一の戦略教材紹介コーナー  ランチェスター経営株式会社では従業員 100人以下の会社の社長を対象にして、実戦的な戦略教材をつくっています。関心がある方は FAXかメールで問い合わせてください。カタログを送ります。 1.実践・社長の経営戦略   CD  ランチェスター法則によって社長の戦略実力を高め、従業員 1人当たりの経常利益を業界平均の 2倍に高める方法を紹介しています。 CD 1巻。 72分。テキスト付。 2.経営計画入門――経営計画それ自体の計画   CD  経営計画のほとんどは「会計中心」になっています。経営計画は本来どのような考え方で立てるべきか、前例にとらわれない革新的な説明をしています。 CD 1巻。 72分。テキスト付。 3.従業員 20人まで用の経営計画の立て方   CD  従業員 20人以下の社長は何かと雑用が多いので、 1年間の計画では途中で実行が止まってしまいます。これを改善したのが、 3カ月ごとに計画を立てる「超・短期の計画」です。これを採用すると実行力がグンと高まります。   CD 3巻。 3時間 32分。テキスト付。 4.ランチェスター法則による新規開拓の進め方   DVD  営業経験が浅い人でも、厳しい断りを受けずに新規開拓が実行できるめずらしい営業方法を紹介。社内研修用に最適な教材です。 DVD 2巻。 1時間 37分。テキスト付。   TEL 092― 535― 3311   FAX 092― 535― 3200   H P http:// www. lanchest. com/※カタログの請求者に対しては、中小企業 188業種の従業員 1人当たりの純利益データをプレゼントします。

著者紹介竹田陽一(たけだ・よういち)ランチェスター経営(株)代表で、従業員 100人以下の会社を専門にする経営コンサルタント。久留米市出身。福岡大学経済学部卒業。建材メーカーで経理と営業を担当したあと、 28歳のときに企業調査会社に転職し、中小企業の信用調査と倒産会社取材を担当。 34歳のとき講演を始め、 35歳のときにランチェスター法則と出会う。同法則が趣味にしていたラジオ組立の電気の法則と同じだったので、一気に傾倒して研究を始める。 44歳のときランチェスター経営を創業。その後経営戦略の CDを 200巻、 DVDを 130巻フルラインで制作。講演回数は 4, 300回になる。これまでランチェスター氏の墓参りのため 5回訪英し、ランチェスター法則の原書を手に入れて翻訳。主な著書に、『 1枚のはがきで売上げを伸ばす法』『プロ ☆社長』(いずれも中経出版)、『小さな会社 ☆社長のルール』『なぜ、「会社の数字」は達成されないのか?』(いずれもフォレスト出版)などがある。 ●事務所   〒 810-0012  福岡市中央区白金 1丁目 1-8の 301   TEL: 092-535-3311   FAX : 092-535-3200   HPは、 http:// www. lanchest. com/オビイラスト/ © Visty-Fotolia. comカバーデザイン/冨澤崇( EBranch)

社長のためのランチェスター式学習法発行日   2022年 3月 31日著  者  竹田  陽一(たけだ・よういち)発行者  佐藤  和夫発行所  株式会社あさ出版         〒 171-0022東京都豊島区        南池袋 2-9-9        第一池袋ホワイトビル 6 F電  話   03( 3983) 3225(販売)         03( 3983) 3227(編集) FAX   03( 3983) 3226 URL   http:// www. asa 21. com/ E-mail   info@ asa 21. com note http:// note. com/ asapublishing/ facebook http:// www. facebook. com/ asapublishing twitter http:// twitter. com/ asapublishing © Yoichi Takeda 2022  本電子書籍は下記にもとづいて制作いたしました株式会社あさ出版『社長のためのランチェスター式学習法』 2013年 10月 13日第 1刷発行本書を無断で複写複製(電子化を含む)することは、著作権法上の例外を除き、禁じられています。また、本書を代行業者等の第三者に依頼してスキャンやデジタル化することは、たとえ個人や家庭内の利用であっても一切認められていません。

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