私が判断を特に意識し始めたのは、建築会社の社長になった頃だ。どんな建設現場でも、作業の工程表を作る。その際、基本的には、天候が晴れになることを想定してスケジュールを組むが、雨が降ってほとんど作業ができないこともある。 だが、職人を現場に送っていれば、作業をしたかどうかにかかわらず、日当を支給しなくてはいけない。雨で作業ができなければ余分な日当を支払うことになり、利益が減る。また、雨の日が続くと工程表どおりに作業が進まず、工期が延び、一日あたりの利益が減る。それが積み重なると、大きな損害にもなりかねない。 こうした経験から、私は、「人が一日動くといくらになるのか」という、いわば日給感覚が身についた。そして、社長である自分が何も判断しないでいると、お金と時間を垂れ流すことになる、と気づいたのだ。まさにタイム・イズ・マネー。社長の判断が利益に直結することを、日々実感していた。 判断すべき人、つまり社長が判断をするメリットは、会社の目的に早く近づける、ということだ。もっと端的に言えば、社長が良い判断をすれば、利益が上がる。 反対に、社長が適切な判断を下さなければ、会社は利益を伸ばすことができず、それが損益分岐点を下回ったら、会社は潰れる。会社として得たい結果(目的と目標)を得られずに倒産してしまう。 したがって、判断をするには、まず、得たい結果である目的と目標を決めることが前提となる。なぜなら、目的・目標をしっかりと理解した上で判断をしないと、基準がないせいで、そもそも判断にならないからだ。 どんな判断を下すにせよ、そこには何らかの基準が必要だ。基準がないと道に迷ってしまう。無限に選択肢があるように思え、どうしたら良いのかわからなくなりがちだ。しかし、基準さえあれば、それが指標になる。そして、それはビジネスを成功させるのに欠かせないものと言える。 では、社長の判断における基準とは何だろうか。それは、会社の目的であり、目標だ。会社の目的や目標がそのまま、判断する際の「基準」になるのだ。
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