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二択の答えは2つじゃない

 選択肢がいくつあっても、最もミニマムな形で、 Aか Bか、白か黒か、やるかやらないか……と二者択一をする、それが判断だ。  ただこのとき、「両方を選ぶ」「どちらも選ばない」「今は決定しない」というのも、実は判断になる。さらには、「第 3の案を選択する」という選択肢もあり得る。つまり、選択肢は2つに絞られているものの、判断の結果としては6つのパターンがあるということだ。  ①選択肢 Aを選ぶ  ②選択肢 Bを選ぶ  ③両方を選ぶ  ④どちらも選ばない  ⑤今は判断しない  ⑥第 3の案を作る  多くの人は、目の前の選択肢から1つを必ず選ばなければいけないと思っている。そして、判断とは二択だと聞けば、「そのうちのどちらを選ぶか」しか選択肢がないと考えてしまう。だが、そうではない。  先ほどの勝ち残りトーナメントの場合でも、「最終的に1つに絞られる」とは書いたものの、実際には、その先に「最終決戦」とでも呼ぶべきステージが待っており、「その選択肢を選ぶか、否か」を判断することになる。  そして、そこで「選ばない」という判断を下すこともできるのだ。一旦保留にしてもいいし、もう一度、最初に戻って検討し直してもいい。  もっと言えば、「先に判断しておく」という道もある。前の章でクレーム対応について述べたときに触れた内容だ。あらかじめ判断の基準を設け、ルールやマニュアルに定めておけば、個々の場面でその都度、難しい判断に迫られることもない。  会社は、社長の判断によって前に進んでいく。必要十分な準備なしに安易な判断を下せば、会社が横道に逸れてしまうかもしれない。そうならないために、判断は必ずしも目の前にある選択肢から1つを選ぶことではない、と肝に銘じてほしい。  私もかつては、その場で Aか Bを選ぶか、もしくは判断を先延ばすか、という選択肢しか持っていなかった。まだ確証が取れていないのに顧客に「できます」と言ってしまったり、「 Aでお願いします」と答えた後で新たな Cという選択肢に気づいて悔しい思いをしたり。  社長として常に判断を迫られる中で、「決められない社長」と思われることを避けようとするあまり、早まった判断を下していたのだ。  だが、時間をかければあらゆる選択肢に目が行き届き、完璧な判断を下せるのかと言えば、そんなことはない。それに、社長の判断には慎重さが求められるとは言っても、いつまでも判断を先延ばしにはできないのも事実だ。  だから、フレームワークを使うのだ。フレームワークを活用することで、自分自身では気づけなかった可能性に気づいたり、見落としていた点が明らかになったり、時には新たな選択肢が見えてくることもある。  より良い判断を下すには、あらゆる確度から多角的に分析することが重要だが、それを手助けしてくれるのがフレームワークであり、様々なフレームワークを通すことで、結果的に、おのずと答えが導き出される。  フレームワークは言ってみれば、社長の唯一の仕事である判断をサポートしてくれる、特別に有能なツールだ。私自身もフレームワークを使い始めたことで、想定できるすべての選択肢の中からベストを選ぶことが可能になり、失敗が格段に減った。  そこから学んだのは、判断は即断即決である必要はない、ということだ。わからないときは正直に「わからない」と言うことも、時には重要だ。そして、すぐに判断できないのであれば「今は判断をしない」という判断を下し、その理由を明確にすることが大切だ。

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