世の中には、偶然の成功でうまくいったケースも多い。だが、再現性を持って何度も成功できるかどうかは、環境分析をすることによって見えてくる。その意味でも、できる限り網羅的に調べ尽くしたほうがいい。 もしも、しっかりとフレームワークを活用したにもかかわらず、判断ミスにつながってしまった場合、それはおそらく、適切な判断に必要なデータ・情報を十分に集められていなかったことが要因だ。要するに、環境分析が足りなかったのだ。 環境分析という作業に慣れるまでは、ある程度の様子がなんとなく見えてきたところで、「もう判断できる」と思ってしまいがちだ。しかし、多くのビジネス上の失敗は、環境分析が足りないことによる判断ミスという側面があることを、覚えておいてほしい。 経営における判断は、たったひとつのミスで、取り返しのつかない事態を招くことも少なくない。それを防ぐには、あらゆる状況を把握した上で判断を下す必要がある。そのために、「とことん調べ尽くす」という気概で環境分析を行うことが重要なのだ。 ただ、そう考えると、調べる範囲は限りなく広く、やってもやっても切りがないようにも思えるかもしれない。だが、フレームワークを使えば、切りはある。 では、どこまで調べれば「十分に調べた」と言えるのか。その答えは、「 S字曲線」のクリッピングポイントだ。 「S字曲線」とは、横軸に時間、縦軸に成長度合いを示した成長曲線の典型で、最初はごく緩やかにしか成長しないが、ある時点で一気に急成長し、限界近くまで達する。その後は再び停滞し、ほとんど成長は見られなくなる。その転換点を「クリッピングポイント」という。
つまり、調べても調べても、もう同じようなデータしか出てこなくなったら、「もう十分に調べ尽くした」と判断していい。なお、私はあらゆる場面で、この S字をガイドラインとして活用している。 環境分析は、最初は慣れないだろうから、じっくりと時間をかけて行うことを意識してほしい。たしかに時間はかかるが、一度やっておくことで、その後のあらゆる判断がスムーズに行えるようになり、結果的に ROI(費用対効果)が高くなるのだ。また、判断の再現性も高まる。 判断の回数が増えれば増えるほど、原因と結果の結びつきが強くなり、あらゆる物事を予測しやすくなる。環境分析を行うことで、より良い判断の再現性を高められるというわけだ。
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