判断とは、自分の頭で考えてするものではない。環境分析によってデータ・情報を集め、資源出しによってあらゆる可能性を発掘したら、それらを一堂に並べ、順にフレームワークに当てはめていく。 考えうるすべてのチャンス(もちろんリスクも)を公平に見比べ、自分の目的と目標に応じて精査し、二者択一を繰り返していくことで、最適解が導き出される。言ってみれば、判断とは非常に機械的な作業なのだ。 たしかに、環境分析や資源出しには時間がかかるし、ひとつずつフレームワークに当てはめて考えるのも慣れが必要だ。だが、このような思考をすることで、もう「悩む」ことから解放される。「この依頼は受けたほうがいいのだろうか」「そろそろ新規ビジネスを考えたほうがいいのだろうか」「もっと従業員の給料を上げたほうがいいのだろうか」「明日は出勤すべきか否か」「一体どうすればいいのだろう」…… こうしたあらゆる判断を、あなたの代わりに、フレームワークが下してくれる。フレームワークを存分に活用しているからこそ、私は、悩むことに時間やエネルギーを使うことなく、より質の高い判断をたくさん下すことができ、それによってビジネスを成長させられている。 慣れてくれば、どんな問題にはどのフレームワークで考えればいいか、すぐに判断できるようになる。それは、経験によってデータを集積させられたからとも言える。 環境分析を繰り返せば手元のデータは増えるし、そのうち調べる要領もつかめてくるので、より短時間で済ませられるようになる。資源リストは随時アップデートしておくといいが、これも慣れると、すぐに思考をめぐらせられるようになる。 とはいえ、最初のうちは、いくつかの、自分が使いやすいフレームワークに当てはめてみるのでもいい。 例えば、 MECEや 5 W 1 Hといった、全体を把握することができるフレームワークをまずは活用する。その上で、詳細を知るために、代表値や標準偏差のデータを確認する。そして、対極や時系列などで死角を埋めていく、といった具合だ。 こうやっていろいろなフレームワークに当てはめていくと、フレームワークによって出てくる解が異なる場合も、当然ある。 そのとき、どの答えを採用するかは、その判断を下す目的によって決めればいい。売上を伸ばすことなのか、損失を減らすことなのか、顧客満足のためなのか、従業員満足を優先させるのか。そのときの目的に照らし合わせれば、その判断は難しくない。 もちろん、すべてのフレームワークを使わなくても構わない。まずはできそうなものから使ってみればいい。 フレームワークを活用することの目的は、より早く、より適切な判断を、再現性を持って下せるようになることだ。そのために、より広い視野を持つ。そのツールとして、フレームワークを使うのだ。 そのため、他の方法で多面的な視点を持ち、それによって素早く適切な判断を下せるのであれば、無理にフレームワークを使う必要はない。フレームワークを使うことが目的になっては意味がない。 ただ、小さな判断から大きな判断まで、会社経営も、そして人生も、判断の連続だ。判断をせずに立ち止まっていたら、どこにも向かえない。課題に向き合ったとき、まずフレームワークに当てはめる、という癖をつけておくことは、ストレス軽減にもつながるはずだ。 判断は自分で考えてするものではない。フレームワークを大いに活用し、「悩まない社長」になっていただきたい。
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