●対極 対極とは、名前のとおり、対になるものを指す。これも、ビジネスにおいて非常に大事な考え方だ。ある課題について判断するとき、一方の立場から検討したら、その反対側の立場からも同じように検討するのだ。 具体的にいえば、新しいサービスを始めるとき、最小限のリソースで始める前提だとしても、あえて最大限のリソースを費やしたらどうなるかを考えてみる。「最小」と「最大」という対極だ。 このように考えることで、多面的に物事を見ることができ、一方向からのみ見て判断するよりも、より広い視点を持つことができる。最小限の場合しか考えていなかったときには見えなかったものが見えてくるのだ。それが、最終的に判断を下すために重要になる。 MECEや 5 W 1 Hなどと同じように、「見えていない部分をなくす」ために、また、それによる安易な失敗を防ぐために、あえて正反対のものを見る癖をつけておくと、より良い判断を下せるようになる。その他の対極の例として、上下、左右、高低、多少、広い狭い、高い安い、善悪……など様々なものが考えられる。 また、市場分析などのリサーチをする際にも、この対極の考え方は役に立つ。ひとつのデータを調べたら、その対極も調べることで、そこに思いがけないチャンスを見出すこともある。 例えば、ブライダル関係のビジネスでは婚姻件数を調べるだろうが、そのときに、対極である離婚件数も確認してみる、という具合だ。すると、そのデータから、再婚する人たちへのビジネスの構想が生まれるかもしれない。 反対側から見ることによって、ビジネスや業界への見方も変わってくるのだ。常に対極を意識することで、より幅広い視野を持てるようになる。 意見や見解についても同様で、何らかの主張がある場合は、その対極に位置する、真逆の主張についても深く理解することに努める。特に重要な最終判断をする際は、心を決める前に、その真逆の判断をしっかりと検討するようにしたい。 そうすると、すべての判断が自分の認識できている幅の中に収まり、それらすべての判断の結果も想定の範囲内に入ってくる。そう、対極というフレームワークを使えば、すべてが「想定内」になるのだ。
●相対 判断する際に、「相対」という概念は欠かせない。「何かと比べる」という考え方を常に持つようにするのだ。 例えば、「投資をするなら積み立てがいい」と聞けば、他と比べて何がいいのか、他と比べたときのメリット・デメリットは何なのか、他と比べた場合の積み立ての特徴は何なのか、といったことを確認してみる。 すると、自分には積み立てよりも一括購入のほうがいいかもしれない、投資信託よりもデイトレードのほうが合っているかもしれない、といった方向性が見えてくる。その結果、冷静に判断することができるのだ。 多くの人は、「ビットコインが良いらしい」と聞けば、他の何かと比べることなく、そのものの利点・欠点だけを見てしまう。それで判断を下すのは、結局、主観に頼るか、他人の意見に乗っかることになる。 しかし、相対的に他のものと比較してみれば、もっと客観的な判断を下せるようになる。それによって、自分の目的にとっては、それほど魅力的ではないと気づくかもしれない。もしくは、もっと良い選択肢が見つかることもあるだろう。 ビットコインは、株式と比べてどうだろうか。債券と比べるとどうだろう。 F Xに比べると、ゴールドに比べると、不動産に比べると、絵画に比べると……という具合に比較してみる。そうやって比べてみないとわからないメリットやデメリットもあるものだ。 私の場合、何かをやるかどうか判断するときには、まず「やること」と「やらないこと」を比較する(それは「対極で考える」ということでもある)。その上で、やると判断するのであれば、他のものはどうか、と何かと比較することを必ず行う。 どんな判断であれ、そこには必ずメリットとデメリットがある。だが、本当にそれが自分の求めるメリットなのかどうかは、他と比較してみなくてはわからない。だから、それを知る必要があるのだ。 ●マクロとミクロ これも、物事を異なる視点から捉えるためのフレームワークだ。「マクロ」とは全体を大きく捉え、大局的に物を見ること、そして「ミクロ」とは最小、非常に小さな範囲で物を見ることである。 対極の一例とも言えるし、相対の一例とも言える。あるいは、「虫の目・鳥の目・魚の目」のうちの前の2つだと思った人もいるだろう。 その名前は何でもいいし、どんなフレームワークの中でも構わないが、とにかく、大局的・俯瞰的に見ることと局所的・部分的に見ること、その両方を忘れないようにしてほしい、という意味を込めて、あえて別項目とした。 ●時系列(時間軸) これがいわゆる「魚の目」となる。ビジネスにおいては、考えるべきタイムラインがある。時間は常に流れている。タイムラインを意識し、それに対してお金がいくら出入りするのかを考えることは、ビジネスにおいて欠かせない要素だ。 言い換えると、時間軸を意識して ROIを考える、ということだ。今の時点でどうかということだけでなく、時間経過の中での資金繰りを意識する必要がある。 例えば、利回り 20%を謳う投資話があったとして、その利回りは 1日なのか、 1か月なのか、それとも 10年で 20%になるという話なのか。それによって、判断は全く異なる。 どんなに魅力的な儲け話でも、入金が 1年後になるのであれば、それまでの 1年間は売上ゼロということだ。その間の家賃や人件費はどう工面するのか。 ビジネスでは様々な固定費がかかるため、売上ゼロでも経費はかかる。何の活動もしなくても、会社が存続しているだけでお金は出ていく。それを超える ROIを時間軸の中で出さなくてはいけないのだ。 時間軸の視点は、経営において極めて重要である。何かの判断をするときには、時間あたりの ROIを把握するように心がけてほしい。
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