●リスクとリターン 判断には、必ずリスクとリターンがある。例えば、東京から大阪へ行くのに、飛行機に乗るという判断をすれば、大阪により早く移動できるというリターンがあるが、極端な話、墜落するというリスクも考えられる。 あるいは、今日は行ったことのない A町に行ってみようという場合、新たな発見というリターンがあるかもしれないが、途中で道に迷ったり、知らない土地で事故に遭ったりするリスクも考えられる。極端な話に思えるかもしれないが、私は、こうしたリスクも大真面目に考えるようにしている。 何かを判断すれば、その判断によって急激に状況や環境が変化する可能性があるが、そのリスクは想定することができる。会社なら、人が辞める、顧客が怒る、売上が立たない、支払いが足りない、などのリスクが考えられる。 2つの選択肢から一方を選ぶ判断では、それぞれの選択肢でリターンとリスクがあるし、「やらない(どちらも選ばない)」という判断にも、当然リスクがある。急激なリスクの可能性は少ないかもしれないが、将来において大きなリスクを孕んでいる場合があるため、考慮しておかなくてはいけない。 私たちは普段、意識的・無意識的に無数の判断を下している。朝、目が覚めて、起きるか起きないかも判断だ。 どんな判断にもリスクとリターンがあり、そこには必ず目的がある。「もう少し寝ていよう」と判断するのは、休養を取るという目的があるのかもしれない。「起きよう」と判断するのは、仕事に遅れるリスクがあるからだ。 判断には責任が伴う。判断のリスクとリターンを常に考えることは、社長にとっては何よりも重要だ。そして、リスクを受け入れる場合には、自分のリスク許容度の範囲内であるかどうかを確認することも大切だ。 ●リスク許容度 すべての判断にはリスクとリターンが伴うと理解した上で、考えなければいけないのがリスク許容度だ。 リスクは、何がなんでも回避しなければいけないわけではない。大きな成果を得たければ、ある程度のリスクを承知でチャレンジすることも、時には必要だ。だが、「ある程度」とはどれくらいなのか。どの程度のリスクまでなら耐えられるのか、その範囲を理解しておかなくてはいけない。 そして、受け入れようとするリスクが常にそのリスク許容度の中でなくては、特に経営においては大変だ。自分のリスク許容度が 40なのに、大きなリターンに目がくらんで、 40を超えるリスク、例えば 60とか 70のリスクを負ってはいけない。 自分のリスク許容度が 40なのであれば、これを超えるリスクのものに手を出してはいけない。これはビジネスの鉄則だ。しかし、これで失敗する人は案外多い。 特に、すぐに判断をしなくてはいけないと焦っているときは、リスクが非常に大きくなっていることが多い。そして、リターンは大したことないのに、リスクの大きい判断をしてしまいがちだ。「判断をしなくては」という焦りに囚われてしまうからだ。 質の良い判断とは、リスクが小さくてリターンの大きい判断だ。何でもかんでも大きなリターンを取りに行くのではなく、リスクが大きい場合には「やらない」という判断も必要だ。そうすることで生き延びられるし、別の機会に、よりリスクが小さくリターンの大きい判断を下せるようになる。 世の中に溢れる儲け話は、多くの場合、リターンが小さくリスクが大きい。判断をするときは常に、自分のリスク許容度を意識した上で、リターンが見合うかどうかを見極めたい。
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