昔、会社がうまくいかないときに、廃墟のような学校で砂に押しつぶされる夢を見ました。印象的な夢だったので、私の友達で夢占いが得意な奴に電話をしました。「これってどういう夢なのかな」「えーっと調べてみるね。今、あなたが置かれている状況への深い悲しみ、絶望的な状態、死の前兆って書いてあるよ」 成功している人に、死の淵を覗いたことがあるか、絶望を味わったことがあるかを聞くとたいていの社長は「あのときは本当にもうダメだと思ったね」「自分がいかに大バカだったのか。本当に悔やまれるよ」という意見が帰ってきます。私自身、昔は月末が近くなるといつも鬱になりました。ある社長に「井上さんはいつも小銭入ればかり使っているよね。お札はどうしているの」と聞かれたことがあります。月末に私の財布にお札なんか 1枚もないのです。 あるとき、ずっと借金まみれで 20年も金策に走り続けている社長に同じ質問をしたことがあります。すると彼はこう答えました。「自分に絶望? そういうのはないな。俺は自分自身を信じているから」 私の友達で成田社長という人がいます。葬儀屋をはじめたもののうまくいかないため、さまざまなビジネスに手を出しました。しかし何をやっても失敗ばかりです。私もいろいろとアドバイスをするのですが、なかなか本気にはなりません。その後資金繰りに困り、多くの人に出資してもらいましたが、そのお金も尽きてしまいました。 万策尽きた彼に、私は「君はいつまでそんなことをしているつもりなの。葬儀屋だったら葬儀を本気でやりなさいよ。相手にされないかもしれないけれどお寺の手伝いをしたり、忙しい葬儀屋さんから仕事をもらったりして、少しずつお金と信用を貯めていきなよ。今のままだと誰からも相手にされなくなる。だから君を応援してくれた人、出資してくれた人には少しずつでもいいからお金を返していくべきだよ」。 彼は私の言葉を聞いてから、毎日 1日の休みもなく朝から晩まで働いています。好きなお酒もやめました。今では会社も大きくなり、素晴らしい葬儀屋になりました。出資してくれた人たちにも少しずつお金を返し、ついに払い終わったそうです。出資者はもちろん、周りの人からもあいつは信用できる男だと言われるようになりました。 推測ですが、成功しない人というのは、死ぬような思いをしたことがない人と言い換えることができるのではないでしょうか。なぜなら死ぬような辛い思いをする前に、借金を踏み倒してトンズラしてしまうからです。そして同じことを繰り返すのです。 明日までにお金を集めなければ倒産する。食べるお金さえない。誰も助けてくれない中でひとり立ちすくむ。こんな四面楚歌の中、たったひとりで立ち向かった人だけが成功するような気がします。ダメだったら倒産して自己破産しちゃえばいい。叔母さんからお金を借りればいいや、親父に頭を下げてお金を出してもらおうなんていう人は、何回会社を立ち上げたとしても成功することはないのです。
目次
コメント