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お客様の購買意欲をかき立たせろニーズ、ウォンツでは人は動かない

 昔のマーケティングの本には「お客様のニーズを探れ」「お客様のウォンツは何か」と書かれていることが多かったと思います。しかし今ではお客様にニーズはなく、ウォンツも満たされてしまいました。では、もう何も売れないのかというと、そういうことではありません。   10年ほど前、税理士と一緒に相続のセミナーを行ったことがあります。親が高齢になる前に、今のうちから相続税の対策、節税を行いましょうというセミナーです。  当初はこうした「ニーズ」があると思い、全国で無料の相続対策セミナーを行いました。個別に質問したい人は年間 3万円の有料会員になれば何回でも相談していい、というリーズナブルな価格を設定しました。無料セミナーの集客は順調で毎回 20名以上の人が受講されました。質疑応答の時間にもさまざまな質問が飛び交い大盛況です。  ところがセミナー終了後、有料会員になってくれる人はひとりもいませんでした。まぁこういうこともあるのかなと次の会場へ。ここでもセミナーは好評でしたが、会員になる人はやはりひとりもいません。  年間 3万円というのは個人には価格が高いのかなと思い、次のセミナーからは年間 1万円に値下げしました。ところがそれでも誰も入会してくれません。ええーい、もうこうなったら一生有効で 1万円だ!  と価格を下げました。  結局、全国でセミナーを行ったものの入会してくれた人は誰もいませんでした。ニーズはあったんです。参加者も多かったですし、アンケートでも「知らなかった」「勉強になった」というものがほとんどでした。しかし、入会はしないのです。  そこで頭を切り替えて、将来の相続に備えるためのセミナーから、現実的に今困っている人をターゲットにしたセミナーに切り替えました。セミナータイトルは「 3カ月以内になんとかしなければならない、本当に困っている人のための相続セミナー」という長いもの。個別相談料は無料ではなく、 1回 3万円です。高いからダメかなと思いましたが、意に反して多くの「本当に困っている人」が相続の相談にやってきました。  人間というのは、将来必ずくることであっても、未来のために「今」はお金を使いません。ギリギリ切羽詰まったときにはじめて動きだします。  水道トラブルの会社の磁石つきの小さなカードがよくポストに入っていますよね。水道が止まらないなどの緊急事態の場合、ネットでゆっくり見積もりを比較検討している場合ではありません。そのときに冷蔵庫のわきに貼ってあるこの小さなカードを見て電話するのです。価格は二の次です。  結局、ニーズやウォンツではなく、悩み、苦しみ、緊急のレベルにまで昇華してはじめて行動するのが人間なのです。  もし「夏休みの宿題を代わりにやります」というサービスを作ったら、夏休みの前半に申し込みは全然こないでしょう。中盤にも申し込みはほとんどきません。しかし夏休みの最後の 1週間に集中して申し込みが殺到する気がします。悩みが深ければ深いほど、お客様はそれを解決するためにお金を払います。  痛みも同様です。電車の中でお腹が猛烈に痛くなった。耐えきれないほどの痛み。もしこのときに「この薬を飲めばすぐに治りますよ。ただ値段は 1万円ですけどね。へっへっへ」と言われたらあなたはどうしますか。普段ケチな私でさえ、その怪しげな薬を「買います!」と言ってしまうと思います。  これと同様に、「この健康食品を毎日飲めば腰痛になりにくいですよ」という商品より、「今しか効きませんがこれを飲めば腰痛はすぐ治りますよ」という商品のほうが売れるのです。  あなたの会社で、みんなが抱えている悩み、苦しみを解決する商品やサービスを一度考えてみたらどうでしょうか。悩みや苦しみと言うと人生相談みたいなビジネスになってしまいそうですが、難しく考える必要はありません。大嫌いな部下をクビにしたい、売れる営業社員を雇わないと来月倒産する、担当者が突然辞めて請求も売掛金もわからなくなってしまった。こういうことも深刻な「悩み」「苦しみ」なのです。

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