普通、会社というのは社長のやりたいこと、社長のビジネスに合った人を雇うのが普通です。しかし、どうもそれだけではないようです。 昔、複写機販売会社の社長に「今のビジネスの延長線上で、こういうビジネスを追加したら売上が伸びるんじゃないですか」と進言したことがあります。我ながらいい提案だと思ったのですが、その社長は「井上さん、それは難しい。当社の社員は言われたことだけ、マニュアルに書いてあることだけしか喋れないんです。そういう社員しか当社にはいないんです」。ちなみにこの社長は原子力研究所で研究員として働いていたことがあるすごく頭のいい人です。 そんなことはないだろうと私がビジネスの陣頭指揮を執り、新しい商材の販売を開始しました。しかし、その社長の言うとおり社員は言われたことだけしかできません。トークはもちろん、お客様からのさまざまな質問に対する回答集も作りましたが、覚えることができません。結局、新規商材の販売は中止しました。 この社長は自社の社員ができること、できないことを明確に理解していたのです。 その後も、この会社は簡単なことだけを、繰り返し繰り返し電話で喋り続けるビジネスだけを続け、社員が 100人以上の大きな会社に成長しました。 頭の悪い社員に無理をさせるのではなく、背伸びをせずに自社の社員のレベルに合った商売だけをひたすらやり続けるというビジネス手法もあるんだなと感じました。ビジネスというのは本当に奥が深いです。
目次
コメント