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その ⑨ 社員が言うことを聞かない会社の社長

 ある会社から「当社のシステムをカスタマイズして販売したい。自社でも使いたい」という話がありました。社長は信頼できる人だったので、コストは当社が全額を負担し、システムを開発することにしました。  社長は社員を集めて何回も議論をかわしました。今までどおりやりたいと変革を嫌がる担当者とは、ときに怒鳴り合い、机を叩きながら議論しました。そして 3カ月後システムは完成し、ようやくスタートにこぎつけました。  ところがスタートして数カ月経過しても一度も利用された形跡がありません。社長に聞くとそんなことはない。みんな納得して導入を決めたんだという答えです。私は先方の担当者に連絡しましたがいつも不在、返答もありません。  結局どうなったかというと社長から電話があり、システムの導入は行わないとのこと。社長は私に申し訳ないと謝ってくれました。しかし社長の言うことを聞かない社員が罰せられることはありませんでした。使わないからという理由で開発費も払ってもらえませんでした。  社員が社長をバカにしている会社というのは少なくありません。社長が社員を見るよりも、社員は社長のことをよく見ています。この人は仕事ができるかな、この人の言うことは正しいのか。そして社員はジャッジを下すのです「うちの社長はやっぱりバカだな」。  こういう会社の場合、社員は社長の言うことを聞いたふりをするだけで指示には従いません。いろいろな言い訳をして逃れます。  社長も現場をよくわかっていないので、結局は社員の言うことを聞きます。社員は社長が怒ったとしても自分がクビにならないことを知っています。なぜなら自分がいなくなったら会社の仕事が回らないからです。社長もそれをよく知っています。  こういう会社と取引をすると痛い目にあいます。  社長がやると言っても社員がやるかどうかはわかりません。最終的にあなたがひとり相撲をとることになってしまいます。怖い社長、カリスマ性がある社長だからといって社員が言うことを聞くとはかぎりません。  私はアライアンスを組む場合、社員任せにせず、社長自身がある程度までやるという意志がない場合にはお断りするようにしています。  もし他社と協業するのであれば、相手の会社の社員が社長の言うことをちゃんと聞く会社なのかどうかをよく調べたほうがいいでしょう。社長が陰でバカにされているような会社だと、あなたがいくらがんばっても結局は徒労に終わってしまいます。

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