会社を経営する人たちなら、誰もが一度は目指すのが株式公開です。創業者であればキャピタルゲインもありますし、周りの会社からも一目置かれる存在になるでしょう。何より社長の目標としては一番明確です。このようにいいことばかりのように聞こえる株式公開ですが、それを維持することはなかなか難しいのです。私の周りでも、株式公開をした後に苦しんでいる社長がたくさんいます。 ある創業社長は起業して 20年ほどで株式公開を果たしました。高級なホテルで今までお世話になったお客様や関係者をお呼びして、盛大なパーティも開きました。創業してからずっと苦労してきた社長は感動で少し涙ぐんでいます。本社を名古屋から東京品川の新しいビル群の中に構え「ここからがスタートです」と意気込んでいました。 そして彼の快進撃がはじまりました! ……と書きたいところなんですが、その後この会社は株式公開時の年商数十億円から徐々に売上が減っていき、ついに売上は半分以下になってしまいました。株式公開後マジョリティを失った彼は株主から会社を追い出され、今は細々と零細企業を営んでいます。 株式公開は毎年、どれだけ売上や利益を伸ばせるかが勝負になっていきます。 1年間という非常に短いスパンで周りから評価されるわけです。いくら素晴らしいことを言っても、決算書だけで会社が評価されます。株式公開後はベンチャーキャピタルからの後押しもありません。完全に会社自身の力で戦っていかなければならないのです。 蛇足ですが、「井上さんの会社もそろそろ株式公開されたらどうですか」と多くの人に言われます。おかげさまで売上も利益もずっと右肩上がりです。ただ私には無理なんです。私の得意とする経営手法は未来から逆算し、長期的な視点で斬新な新製品を生み出していくことです。公開企業のように 1年で結果を出せと言われても、正直言って自信がありません。私が株式公開しない理由はこの辺にあります。 株式公開するかどうかは、次の世代の人たちに任せたいと思います。
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