よく、「借金も財産だ」「借金は信用があるからできる」「信用がなければ借金ができない」と言われていました。 私もそう信じてきました。確かに、信用がなければ借金ができません。私は、初めて銀行から借り入れができたとき、とても嬉しかったことを覚えています。 いや、感動しました。これでようやく社会から認められたという喜びでした。 事業計画書を作成し、売り上げ計画、返済計画、支払い計画、そして資金使途を必死で作成し、他の場所でさんざん断られた後でしたから喜びは大きいものでした。 そして、会社の成長とともに銀行借り入れも増えていきます。そのうちに、私は大きな勘違いをしていきました。会社の通帳に数千万円、数億円という借入金が印字されたことにより、気持ちが大きくなったのです。 なぜ、気持ちが大きくなるのでしょうか? 人は大金を手にすると、誰もが同じ気持ちになるのでしょうか? 借金をする場合の「信用」とは、融資先のリスク回避が中心となり、借り入れした人からの確実な回収が見込めるかどうかが判定基準となります。もし、借り主が返済できない状況に陥ってしまった場合は、確実にその資金を回収しなければなりません。 そのためには、第三者の公的保証機関(保証協会等)、第三者人的保証、物的保証(土地や建物、有価証券等)を差し入れねばなりません。もちろん、
現在の売り上げ状況や取引先企業などもその評価の対象となります。 しかし、社長はそれを自らの信用と勘違いしてしまうのです。借入金は、どのような会社であってもリスク回避ができる条件が整えられれば、誰もが借り入れできるものなのです。私が特別な者でなくても借り入れはできるものなのです。 人は不思議なもので、「明日からどうしよう」「もう経営ができない」「倒産するかもしれない」「お金が足りない」 などの状況に陥ると、まるで大きな病にかかったように落ち込みます。 お金の不足は恐ろしいものです。借金による自殺者も後を絶ちません。 しかし、長い苦しみが一瞬で回復できるのもお金の魔力の一つです。 あれだけ悩み、苦しんできた者が、借金をすることで息を吹き返すのです。 しかし、それは一時的な処方で、またお金が足りなくなれば同じ症状となり、繰り返します。まるでお金とは麻薬のようなものです。「確かに、設備投資することにより、人件費を抑え、利益率や作業効率がよくなるための借金は必要だと思います。借金は悪ではないし、病気の根源でもありません。問題は、その借金は決して自分のお金ではない、資産ではないということです。 つまり、それを利用する社長の考え方に問題があるのです。ほとんどの人が借金をして、その恐怖心もわからずに仕事や生活を送っていますが、借金しなければならないビジネスは、大手企業でない限り、これからの時代にはそぐわないでしょう。 私の場合も、借金は怖いものだという意識が麻痺してしまっていました。借金は自分のお金ではありませんが、自分のお金で責任を取るものです。自分の責任で取れない者は、借金をしてはいけないのです」 という社長さんの言葉を肝に銘ずるべきでしょう。 借金をする、それはお金が足りないから行うわけです。 お金があれば、当然のことながら借金をする必要がありません。 仕事で売り上げを確保することは大変な努力が強いられます。 借金で資金を調達することは、その場しのぎの甘えになります。保証、保全関係がしっかりすれば誰にでも簡単に借り入れができるわけですから、売り上げを上げるほどの努力はありません。 つまり、複数のお客様からの収入ではなく、一本釣りの借入先であるからです。そして、なによりもその場しのぎの経営となり、実態が掴みにくくなります。病を加速するお金の病、お金の扱い方を誤ると麻薬になるのです。
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