倒産という恐怖 社長になると誰もが恐れる言葉、それは「倒産」です。 確かに、「倒産」という言葉の響きには恐ろしさがあります。 しかし、「倒産したらどうしよう」と考えつつも、実際にその場面に遭遇する者は少ないといえるでしょう。 よく、「戦う前に、負ける話をするな」といわれるように、「倒産」という言葉は不吉なもので、誰もが恐ろしいことと考えてしまいます。しかし、「戦う前に、負ける話をする」ことも、社長としての必要な心構えです。 会社が倒産するすべての理由は「資金不足」です。 資金があれば倒産はありません。売り上げの減少、融資の打ち切りなどとさまざまな要素がありますが、最大の問題は、社長自身の心が折れてしまうことにあります。「もう、無理だ」「これ以上は不可能だ」「お金が準備できない」「戦えない、戦う力がない」「どうしたらいいのかわからない」「生き残る道がない」 倒産する会社の社長さんたちは、みなこのような言葉を口にします。 しかし、実際に「倒産」した場合はどうなるのでしょうか。「なにも変わらない」と言ったら驚くでしょうか。ただ、倒産前、倒産後の社長のほとんどが心のバランスを失っているため、なかなか実態を把握することができず、恐怖心のかたまりとなってしまいます。「倒産」した場合、まず債権者が現れます。 債権者とは取引先のすべて、銀行関係等も含まれます。 つまり、支払うべき相手先が債権者になります。倒産した者は「債務者」になります。 倒産の定義は、小切手または手形の不渡りが起こることです。したがって、それらを発行していない者は、会社更生法の認可や自己破産をしない限りは
倒産にはなりません。 倒産を確定させるためには、すべての債権者に「倒産する」「倒産した」と公表することが必要になります。 そのため、手形、小切手等の不渡りか、会社更生法の適用、自己破産等の行為がない場合は、倒産ではなく、継続と見なされます。「倒産」で一番恐れられることは、「債権者」との折衝です。 お金を払うときは恵比須顔、払えなければ鬼と化す債権者たちですから、当然のことでしょう。 債権者の方々も生活しているわけですから、鬼にならざるを得ません。 しかし、倒産状態によって対処方法が異なる場合がありますが、大切なことは、恐れずに事情を説明することです。「そんなことが簡単にできたら楽だよ。できるわけがない」 と言う人も多くいますが、誠意を持って状況説明することができれば、意外と思っていた恐怖心とは違う展開になる場合があります。 逆に、債権者の前に一切姿を見せずに、逃げてしまったり、第三者に任せきりにしたり、弁護士に依頼する場合がありますが、それだけで解決することはありません。 それは、自分の心の中の恐怖が、さらに恐怖心を呼び起こしてしまうからです。人は心が逃げてしまえば、さらに追われ続けるような錯覚に襲われるものです。 以下、三人の倒産した人たちの意見です。「私は、倒産したことで多くの人に迷惑をおかけし、申し訳ないという一念だけでした。この罪をどう償えばいいのだろう。私は、怖さで逃げてしまいました。しかし、逃げてもなにも解決しません。町を歩けば、誰かに見られているのではないか、追われているのではないか、探しているのではないか、家族に危害を加えられるのではないかとの恐怖にさいなまれ、いまは、夜さえも怖い状態です」「私は自己破産を選びました。もうこれ以上は責任が取れませんし、新たに人生をやり直すためにも、恥ずかしながら自己破産しました。債権者のみなさまには、直接お詫びはできませんでしたが、裁判所から破産宣告通知を債権者に送ってもらい、周知してもらいました。自己破産することによって、債権者のみなさまは納得していただいたと信じています。私はもう一度、やり直しを考えています」「私は会社更生法の届けをして、現在会社を継続しています。債権者の方々には大変なご迷惑をおかけしていますが、なんとか会社を再興させて、恩返しをさせていただく予定です」 夜逃げ、自己破産、会社更生法と倒産の姿はさまざまです。どの選択がよいとか、悪いとかはありませんが、それぞれの責任の取り方でした。
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