社長は、借入金の重圧から毎晩眠れないようになり、結果的にお金に依存してしまいがちです。それは、商売がうまくいっていても起こるものです。 でも「やめられる」「やめてもいいんだ」という思考に切り替えスイッチが入ると、ものごとの捉え方がずいぶん変わります。目の前の景色が違って見えてくるのです。まず視界が広がります。 常識はただの思い込みにすぎません。私たちは幼いころから、「こうでなくてはならない」「こうしなければならない」という常識によって「思い込み」を作り出しています。 一度、常識を疑うことで、「思い込み」を外すことができるのです。 すると、目の前のお金に対する不安ではなく、自分の思い込みが自分自身を不安にさせていたのだとわかります。 事業がうまくいかない、お金のことで始終悩む、お金がなくて苦しい。だからこそ、「やめるべき」ということを「やめたい」理由にしてしまいがちですが、果たしてそれは正しい選択なのでしょうか。 ほとんどの社長が、言葉ではやめたいと言っても、本当は社長をやめたいとは思ってはいないものです。 やはりそこには経営上の苦しさがあり、背負う心の重圧から逃れたいという思いが存在するわけです。この苦しさや重圧といったものがなかったら、「やめたい」とは思わないでしょう。 でも、その苦しさも自らの「思い込み」が作っていたとしたら、その苦しさを取り外すことができれば、「やめたい」とは思わないかもしれません。 病気や年齢、体力の問題を抱えている人が限界を感じたら、やめるべきだとは思いますが、借入金があるからやめられないのは「思い込み」の一つかもしれません。 借入金を返済しなければいけないと思うから、怖いし、苦しいのです。仮に五年返済で借りているお金があれば、十年返済にすればいいのです。このように返済方法を変えるだけで、毎月の返済額は半分になります。 事業資金の返済は五年から十年です。短くて五年、長くて十年なのです。返済期限が二十年、三十年というのはないと言われていますが、実際には交渉次第で借金の解決は可能になります。しばらくは返済金を最小にし、数年後に大きくするというような返済金の調整相談も可能です。 しかし、人間にはプライドがあります。借入金は当初の約束通りに返済しなければならないという「思い込み」もあります。 銀行も金融会社も筋を通して、事業計画をしっかりしておけば、返済期限の変更は可能なのですが、「思い込み」が邪魔をすることがあります。ただ単に、相手に頭を下げるのが嫌だとか、返済方法を変えることで馬鹿にされるのではないか、笑われるのではないか、軽蔑されるのではないか、はたまた信用を失うのではないか、などです。 これは支払いについても同様です。約束通りに支払わなければならないのが当然のことだと考えてしまいます。「今月の支払いは待ってもらえませんか?」 こう言いたいときもあります。しかし、ただ待ってもらいたいというのは駄目です。いつまでにこういうふうにしたいとか、三回、あるいは四回払いにしてもらいたいというように、具体的な方法を伝える必要があります。 しかし、それを伝えたら信用がなくなってしまう、嘲笑されるのではないか、付き合いをしてもらえなくなるのではないか、と不安になってしまいます。 でも、心から真剣に、その相手に話をすれば、伝わらないわけがないのです。こうした心理も「思い込み」の一つです。 会社を維持、運営していく上で大事なことは、予防、防衛を始めとした危機管理にあります。私たちの健康を護るための体調管理と同様に、いま目の前にはないが、もしかしたら起こり得るかもしれないことについて、常に念頭に入れておく必要があるでしょう。 身を護るということを心がけていれば、会社は社長、社員、その家族に害を及ぼすことはないはずです。
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