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6  社員と対話する方法

方法時間の許すかぎり、会いに行く。聞きに行く。全員の意見を聞くことはできないが、その心持ちを大事にする。心の耳で聞いて、自然に分かる。そんな社長でいるだろうか。

――現代のような競争時代、他社に先駆けてビジネスチャンスを得るには、迅速な意思決定がますます求められています。

そのためには、経営者はある意味でワンマンにならないといけないと思うのですが、その際に心がけなければならないことは何だとお考えでしょうか。

松下  いろいろありますが、やっぱり衆知を集めるということですね。

ワンマンでもいろいろあります。しかし、かたちはワンマンであっても、その人がいつも国民なら国民、社員なら社員の心、考えを絶えず吸収していればいいわけです。

私も小さい会社ながら、社長をやってきましたが、決して自分の気ままにはやりませんでした。創業者だし、一見ワンマンのようだけれども、常に社員の衆知を集めて、やってきたわけです。たとえきょう入った人の言葉でも耳に入るようにしていますから、みんなの心をもっている。

つまり、私の場合は、ワンマンにしてワンマンにあらず、というようなことで、これまでやってきたわけですよ。

もちろん、数が多いですから、話しあうということは実際はできませんね。

一方的に私が話をするということになります。

しかし、そういう人たちの話を聞かなければならないという心持ちは常にもっているわけです。

かたちは一方的に話をしていても、心持ちとしては対話をしているということです。

そういう心持ちをもっているだけでいい。

きわめて自然にやっているんです。

だから、情報を集めるということにとらわれたらいけません。

それでは、かえって情報は入らない。入ったら間違いだと思いますね。やはり、自然に分かるものです。

天の声といいますか、地の声といいますか、そういうものをいわば心の耳で聞いて判断するわけです。そのために、どんな人間とも私は会うんです。

時間の許すかぎり、きょう入った人とも会って、常に聞いています。それで判断するんです。

自分の独断は独断にあらず、全員の思いも一緒だと、こういう考えをもっているわけです。

自分が偉いからワンマンになるというのではなく、自分は何も知らないから、みんなの声を聞いて決めるということですね。決めるのは自分でも、いろいろな人に意見を聞いて決定するのだ、と。

もちろん、実際に全員の意見を聞くことはできませんが、そういう気持ちでやるわけです。そして、それがやっぱり通じるんですね。だから、経営者はみんなの声を聞いて、初めて一流になれると私は考えています。

〔一九七八〕

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