14みずからの運命を知る自分というものの特質を知る。天から与えられた「運命」を知る。虚心坦懐に、自分というものをじっと見つめてみなければ、それは分からない。松下 やっぱり人間は、ある程度のものが天から与えられている。この人にはこういうものを与えよう、この人にはこう、ということが決まっている。それはいいかえると、一つの運命というてもいいわけです。それぞれもっている運命は違うんやから、運命以外のことをやろうとしてもあかんのや、早くいえばね。その運命を知るかどうかということが問題ですわ。これがむずかしい。(笑)これはやはり虚心坦懐に、自分というものをじっと見てみなければ分からないですよね。いろいろな欲望があるとなかなか分からないです。 後藤新平という人がありますな。あの人は東京の市長もやったし、しまいには国務大臣になった。あの人はお医者さんですわな。それで衛生局長なんかやっておったんですね。四十歳前後になって初めて、自分は政治家として適性があると、ようやく悟ったというんですね。それで政治家として立とうとなって、やったわけです。 後藤新平というのは相当偉い人です。それでも四十歳になってようやく自分というものの特質というか、運命というか、長所を知ったわけですわな。それほどむずかしいものだということですね。けれども、それを知るということはやっぱり大事ですな。 だから、私は知っているというわけやないけど、どうも自分は電器屋の範囲を出ていないと思うから、電器屋をやっとるんや。(笑)〔一九六二〕
信念の章
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