23素直な心で見分ける何が正しいかを素直な心で見分ける。そして相手を上手に説得する。策を弄する必要はないのだ。 ――中国古典や歴史書ではよく、権謀術数に長けた人物がライバルや敵を倒して権力を握る話が出てきますが、指導者にはやはり権謀術数が必要なのでしょうか。松下 権謀術数は要りませんな。そんな策を弄するようなことはしません。 やっぱり、経営といい、政治といい、本来はきわめて正直でないと……。私がほんとうに考えているのは、素直にものを見る人間を育てることですな。素直な心になれば、実相が分かる。実相が分かれば、どういうことがいいか悪いかは分かりますしね。それを決断をもってやっていく、そういう信念をつくらないといかん。まあ、そういっても、多少の説得力は要りますわな。しかし、指導者としての大切な基本の力は、何が正しいかを見分けることです。そして相手を上手に説得する。それが第二の力ですね。指導者たるものは、まず第一の力を先に養成しないといかん。第二の力は、教わるというより会得する。そういうことですな。あとはもう、実践でいかないとしょうがないですわ。〔一九七八〕
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