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35  相手に損をさせない

35相手に損をさせない厳しい取引先であるけれども、むちゃくちゃなことまではしない。「厳しいがいい会社である」と言わせる会社にしているだろうか。松下  商売というものは、売るほうも買うほうも、双方が喜ばなければいかんものです。買った人は、こういうものが買えてよかった、たいへん便利だとか、豊かになったとか、そういう喜びをもつ。売った者も、その喜びを感じてもらうと同時に、利益も残ったというふうにね。  値切られて、薄口銭で飯も食えんようになるという商売はいけません。双方に喜びが残り、味わえるような商売のあり方を、政府は奨励しなければいかんでしょう。安かったらそれでいい、ということではない。政治の方向で、全体に安くすることはできます。その際、値を下げても儲けが多少とも残ればいいが、今は値を上げても儲からない状態に追い込まれている。そこに問題があるわけです。  ぼくは、最小の商売からやってきたでしょう。初めは仕入係も、製造係も、販売係も自分一人でやったわけです。仕入れに行く、当然値切って買うでしょう。  しかし、そのときにですな、「きみのところはそれで儲かるのか」と、必ず聞いてみたんです。そうしたら、「多少は儲かっているからご安心ください」という答えが来た。「それなら結構や。ぼくも値切ることは値切ったが、きみに損をさせたり、儲からないようにはしたくない。そんなことしたら、長続きせんからな」  まあこういうことで、みんな喜んでくれたんです。  仕入れ、販売は厳しいけれど、むちゃくちゃなことはしない、多少の余韻を残してくれる、だから松下はいいということになってね。相手も安く売りながら、教えられたということもあったと思います。〝ああいう調子でやらないといかん〟とね。精神的な喜びがあったんです。成功したといえば、そこに成功の秘訣があったと思いますね。〔一九七六〕

 飛躍の章

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