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会社をつぶさずに、お金を回せる社長は、お金を小出しにではなく、ここぞというときにドカンと使っている。

中小企業では使えるお金にはおのずと限界があるのが普通です。成功にもっていけない経営者は、そのお金をチマチマと全体的に使う傾向が見られます。それでは大手の攻勢には太刀打ちできません。

私は、いつも「お金はメリハリをつけて使いなさい」といっています。

社員が、「この予算は 100万円かかります」といってきたら、「ここは勝負どころだから 100万、 200万じゃなくて、思いきって 300万ぐらいいっておけ!」 このくらいの気合で、社員の背中をドンと押す。その気合に社員は勇気づけられ、勝負に立ち向かう勇気を奮い立たせるのです。

ところが、多くの経営者はその逆を行きます。

経営改革を仕掛けるときは、たいてい事業がうまくいかない、あるいは多少陰りが出てきたなど、金回りが厳しくなってきたタイミングに当たっています。

だから、社員が「 100万円の予算を」といってくると、「なんとか 50万円で収まらないのか」などとむしろ、予算をケチってしまうのです。これでは効果は期待できません。思いきったことができないからです。

予算が潤沢でないならなおさら、お金はチマチマ使ってはいけません。

こういうときこそ、勝算があると思ったのなら肚を決めて、思いきってお金はまとめて使うべきです。

❖毎年、同じような予算編成では時代から遠ざかっていくだけ

不思議でたまらないのは新年度の予算を考えるとき、前年の予算をもとにして、各予算を増減していく社長が多いことです。

この方式は官公庁の予算編成と同じです。

前年度の予算が余ると次の年の予算を減らされてしまうので、年度末になると突然道路工事が増える、などというウワサがもれ聞こえてくる、あの方式です。

しかし、親方日の丸の官公庁と違って、中小企業でこれをやったら、 1、 2年で必ず倒産の危機が訪れるでしょう。前年度、予算が余ったら、その予算は不要だったわけですから、次の年は大ナタをふるって削減すればいいはずです。それに気づこうともしないで、漫然と予算を組んで、ダラダラチョボチョボと使っている。

これでは事業の陰りを払拭するどころか、陰りはいっそう濃くなり、会社はどんどん悪くなっていくだけです。

そうではなく、予算が足りなかった、つまり伸びている分野に、次の年はドンと大きな予算をつけていくほうがずっと効果的です。

限られた予算ならば、なおのこと、伸びていく勢いがある分野、成長する分野に予算を集中的につけるべきです。

❖手元の予算を全額投入。

うどん屋に転向して成功した京名産食品卸業者の例 顧問先に京都の老舗料理問屋があります。

京漬物や昆布佃煮などの京名産品を、職人技にこだわって製造していたので、かつては多くの得意先をもち、十分儲かり、かなりの資産ももっていました。

しかし、漬物などの京の名産食品市場は縮小の一途。いまや市場規模は最盛期の半分近くまで縮小しているのです。そのうえ、原材料も品薄になり、値が上がり続けています。

漬物用の京野菜は、京都の山間部などでほそぼそと栽培されているのが現状。昆布などの佃煮の材料も品薄になる一方。当然、材料費は上がり続けています。気がつくと赤字体質に転落。

それでも先祖からの資産を食いつぶしながら、代々続けてきた家業を自分の代でやめるわけにはいかないとふんばり続けています。

そうした状況を見かねた私はついに社長に決断を迫りました。

「このままだったら、じきに残った資産を食いつぶし、何も残らずに破産してしまいますよ。そのほうがよっぽどご先祖さまに申し訳が立たないんじゃありませんか」とあえて冷たく厳しいことをいったのです。

それから 2年。工場だったところを大金をかけて改装し、現在は京うどんを提供する店になっています。

販売スペースだったところのいかにも老舗らしい雰囲気を残した店内はインスタ映えすると若い女性の間で人気になり、その投稿を見て外国人旅行者も続々訪れる、京都に行ったらぜひ立ち寄りたい店のリストにものるようになっています。

事業の改変に向かうとき、私は2つの条件を口をすっぱくして言い続けました。

1つは、「とにかく利益が出せる事業を選ぶこと」。

もう1つは「自分たちにしかできない、そして自分たちもこれならやりたい」という事業を選ぶこと、さらに、とにかく思いきって勝負すること。

お金も最大限投入しなさいとも言い続けました。中途半端なイノベーションで成功した例はないのです。

社長と先代社長の会長は 1年間悩み続け、さらに 1年かけて、京の味の老舗企業だからできること、そして儲かる事業は何だろうと考えぬき、ついに、食品製造卸という代々の家業ののれんを下ろす決断を下しました。

そして、最大限のお金を投じて、京うどん屋として新たな伝統づくりに勇気ある一歩を踏み出したのです。その結果、この会社は確実に復活の道を歩み始めています。会社の生死の分かれ目は、経営者が思いきったお金の使い方ができるかどうかにかかっているということです。

▼お金はホームランを打つために集中的に使う。小出し資金ではヒットも打てない。

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