いうまでもありませんが、メインバンクとよい関係性を築き、保っていくことは、経営の基盤を堅固にするためにも欠かせません。
だからといって、メインバンク 1行に取引を集約してしまい、 1行としかつき合っていないのは危険です。
ところが中小企業には、この 1行取引が多いのです。
1社のみとのつき合いでは、競争原理が働かないために金利は高いし、担保もたくさんとる傾向が見られます。
言い方は悪いですが、銀行が優位に立っていいたいことを押し付けてくる可能性も大きいのです。
こんなとき、他の銀行との取引がないとなるとほかに選択肢がなく、不条理だと思いながらも銀行のいうままに従うほかはない、ということになりがちです。
❖地銀合併の流れは今後も進んでいくことを頭に入れておく『社長の基本』でもふれましたが、地方銀行の再編はさらに加速するだろうと見込まれています。
地銀とつき合う場合には、2つか3つの銀行を合併させて 1行にするという流れはもはや止めることはできないという考えをおろそかにしてはいけません。
この再編問題は非常に重要な問題であり、多くの地方企業に深刻な影響を与えかねないことも意識しておく必要があります。
合併が行われた場合、取引銀行が吸収する側ならまだしも、吸収される側だった場合、新体制のもとではそれまでメインバンクだった銀行は力を失い、引き続きスムーズに融資を受けるのがむずかしくなる可能性はけっして小さくありません。
最近はむしろ「わが行 1行に取引を集約してほしい」と迫ってくる銀行が増えるという流れもあります。
そうすれば、「支払いサイトを長くできますよ」とか「増額借入も可能かもしれません」などと、一見、得に見える条件をちらつかせて迫ってくるのです。
その背景には、銀行の苦しさが垣間見えます。
少子高齢化で人口が減り、それに伴い市場が縮小し、企業数がどんどん減っているという厳しい現実があるのです。
企業数が減れば、銀行の取引先も減る。
その結果、貸出先が減ることになり、銀行の収益基盤はどんどんやせていく。
こうした現状から、既存貸付の集約を図ってシェアを伸ばそう。
さらには 1行取引にもっていって、銀行側が有利な態勢をつくろうと必死になっているわけです。
銀行はつぶれないという神話はとっくに崩壊しています。
銀行もそれぞれ 1個の企業である以上、破たん、つまり倒産のリスクを内蔵しています。
もし、取引銀行が破たんしたらどうするか。
社長は常に、最悪の事態を想定し、そのためのリスクヘッジを考えておくべきです。
❖銀行とのつき合いにも競争原理を働かせる 経営者の多くは、金融機関を特別な存在だと考える傾向が強いようです。
私は常々、そしてこれまでの著書でも、「銀行はビジネスパートナーの1つ」だといってきました。
銀行も取引先の1つ。
つき合う場合のスタンスはあくまでも等位置。
イコールパートナーです。
銀行がえらいわけではないし、お金を借りているからといって、こちらが下手に出なければならない関係でもありません。
たとえば、納入業者とつき合うときには 2、 3の取引先に声をかけ、相見積もりをとるなど競争原理を働かせ、より有利な取引をしているでしょう。
金融機関とのつき合いも同じです。
複数行とつき合っていれば、必然的に銀行間に競争する意識が生まれます。
銀行とつき合う場合も融資の条件などにも競争原理を働かせ、有利な条件を提示した銀行を選ぶなど、フェアな関係性を取り入れるのです。
そうして、おたがいにウィンウィンの関係を築いていく。
これが金融機関とのベストなつき合い方だという認識をもつこと。
これが重要です。
❖銀行によって、あるいは支店長の方針によって会社の見方が変わることがある 貸付先を選ぶとき、銀行が判断の基準にするのは決算書です。
決算書を見て、「利益が出ている」「将来も見込みがある」と判断できれば、銀行はむしろ積極的に融資の拡大をもちかけてきます。
ただし、これはあくまでも原則です。
どの銀行も審査方法は一律ではなく、銀行によって、あるいは支店長の方針などで審査方法が変わることもよくあります。
支店長が変わったタイミングには、それまでの担当者などに「今度の支店長はどんなタイプ?」とか「新支店長の趣味は何ですか?」などと話を振ってみましょう。
「今度の支店長は積極的な人ですよ。
前任地でも新規融資、特に地場産業に力を入れて融資を拡大した実績が高く評価されたようです。
で、ワンランク上のこの支店のトップに抜擢されたんです」などという話が聞ければ、こちらからのアプローチ戦略も違ってくるでしょう。
飲食店をチェーン展開しているある顧問先にこんな例があります。
前任の支店長は非常に細かく、融資に対しても慎重なタイプで、積極的なビジネス展開を進められずに困っていました。
どんなふうにもちかけても、マイナス要因ばかり指摘してきて、どうにもならなかったのです。
しかし、新支店長は融資に積極的で、新事業もポジティブに理解を示し、「支援しますから、どんどん出店してください」という。
同じ銀行なのに、支店長しだいで対応が 180度変わったのです。
お陰で、この飲食店は賞味期限の切れかかった店舗を閉鎖し、発展性のあるビジネスモデルにつくり替えるなどスクラップ&ビルドを実現できました。
業態変換のタイミングを逸することなく、新しいスタイルの店舗にシフトできたので、低迷していた会社は息を吹き返し、いまでは売上も利益も大きく改善したと笑顔を弾けさせています。
▼必ず複数の銀行とつき合うこと。
また、銀行は取引先の1つだと考え、それぞれとイコールパートナーとして向き合い、ウィンウィンの関係を築いていく。
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