お金の流れが悪くなり、会社のお金がうまく回らなくなると「毎月の返済額がもう少し少なければ」という考えが頭をよぎることもあるでしょう。
そんな虫のよい話が……といいたくなりますが、毎月の返済額を減額する方法はあります。
しかし、返済額を減額しようとすれば、必然的に返済期間が長くなります。
いわゆるリスケ(リスケジューリング = rescheduling)です。
ほとんどの社長はリスケは初めての経験であるはずで、リスケはどうやって銀行と交渉すればいいのか、どのように進めるのか、不安でしょう。
もちろん、自由にリスケできるわけではなく、銀行に「経済合理性がある」と判断されることが大前提です。
リスケは以下の手順で進められます。
多くの場合、リスケは借り手から申し出ます。
申し出があると銀行は金融庁の監督方針や検査マニュアルに基づき、「経営改善計画書」を作成するように求めてきます。
「経営改善計画書」はおおむね 3 ~ 5年以内に債務超過を解消して黒字化にもっていくための改善計画書ですが、よく見るとたいてい、内容はただの借入金返済計画にすぎず、実のところは「銀行にリスケを認めてもらうための数字合わせ」です。
これを見て、自社の将来はこうなると安堵するのは間違いです。
計画どおりいく企業はごくごくマレです。
❖認定業者は机上の改善計画しかつくれないと考える「経営改善計画書」はたいてい銀行指定の認定業者に依頼して作成します。
認定業者は銀行の OB等の中小企業診断士や大手のコンサルタント会社や税理士・会計士であることが多く、数字のうえだけの改善計画で、いわば机上の改善計画にすぎません。
彼らの多くは経営の体験がなく、指導者、つまり先生という意識をもっているため、借金に苦労している中小企業の経営者を「経営能力が足りないんだ」とどこかで軽く見ていることも少なくありません(本当に寄り添って親身になってくれる方もいますが)。
ですから、やむを得ず、リスケを申し出る場合も、「経営改善計画書」は社長が主体になって考え、本当に将来、会社が発展していくための計画書をつくるようにすべきです。
もともと、本来はその会社のことがよくわかっている銀行員と社長が命がけで作成すべきものです。
外部に任せて短期間で作成し、それで経営を改善できるなら、とっくに改善できているはずではありませんか。
なお、リスケをするときには準備手続きの一環として、以下のことも注意しておく必要があります。
◆無担保物件などは追加担保を求めてくる。
◆追加保証人を求めてくる(役員になっている親族など)。
◆定期預金も担保に入れるようにいってくる。
◆会社で掛けている経営者保険の質権設定(質権設定とは、経営者が保険等に加入すると、万が一のとき、社長が死んだら会社に保険金が入ります〈普通はこれを退職金にします〉。
その保険金の受け取りを質権設定することで銀行が受取人になるのです)を求めてくる。
◆その他リスケ後の再生が成功しなかったときの対応策を講じておく必要がある。
厳しい言い方になりますが、これを直前になってするようでは、銀行の理解は得られないでしょう。
少なくとも、リスケをする半年ぐらい前から準備をしておく必要があると心得ておくことが必須です。
❖リスケした中小企業のほとんどが再生していない リスケをすれば、元金の返済額が減額されるので、たしかに一時的には経営は楽になります。
そのため、経営が厳しくなると、リスケを考える中小企業の経営者が増えているわけです。
しかし、リスケすると、 ◆リスケ期間中は新たな融資が受けられない。
◆リスケした経営者は、「不良債権(破たん企業)候補」とみられる。
というハンディを背負うことになります。
多くの場合、リスケをしてから期間延長をするときに、銀行は自宅を担保にしてほしいとか、信用保証協会付融資の保証料を引き上げるなどといってくる可能性があります。
その結果、リスケした企業はかえって窮地に追い込まれていきます。
リスケから立ち直れないのは、リスケで浮いた資金をすべて銀行が返済原資に回し、企業として新規投資もできない状況になってしまうからで、結局、打開策がなくなってしまうためです。
同時に、リストラや経費削減策を強要され、日増しに体力が弱ってきてしまいます。
したがって、リスケをした企業のほとんどが正常債権に戻ることはないのです。
考えようによっては、リスケをするなら、万一のことを考えて、その後の生きる道を考えておかないと、いつまでもしんどい状態から抜け出せません。
本来、企業再生するには新たな資金が必要です。
会社構造改革をするべきですが、ただ経費削減やリストラばかりの策しかさせてもらえないのがほとんどです。
▼「リスケ」は窮余の策。
デメリットもある。
安易なリスケは自ら首をしめる結果になることが多い。
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