社長の資産形成というと、まるで私腹をこやしているような印象をもつ人もいるかもしれません。
しかし、一本筋が通った経営をしている社長ならばそれなりの利益を確保できるはずですし、そのビジネスを長く続けられることになり、必然的にある程度の資産形成はできていくものです。
そして、その資産は万が一のとき、会社を守るためのリスクヘッジとしても有用です。
ただし、資産形成はあくまでも「結果」です。
最初からお金儲けが目的で事業展開している社長は、最終的には失敗に終わることが多いようです。
以前、相談にのったことがある社長はその典型だといえる人でした。
儲かればいいと何にでも手を出すのです。
本業は内装業と解体事業で、どちらも利幅が大きい仕事です。
取引先も大手が主。
そのまま真面目にやっていれば相当の利益が出るはずで、資産形成もできたでしょう。
ところがこの社長はさらに資産をふくらませようと、おいしい(と聞こえる)新ビジネスの話があるとすぐに身を乗り出し、事業を拡大していったのです。
こういう人のまわりには、いろんな人が寄ってきます。
この社長の場合も例外ではなく、次々、いかにも儲かりそうな話をもち込む人が寄ってくるようになりました。
すると、この社長は次々、それに乗ってしまう……。
なかには最初からおかしな話もあり、損を出すことも一度や二度ではなかったようです。
しかし、この社長は、本業が儲かっていたから、なんとかなると思っていたのでしょう。
いっこうに懲りる様子もなく、相変わらず、次々大きなお金を投資し続けていました。
ところが本業でトラブルがあり、取引が減り、売上がガタ落ちに。
当然、利益も減ってしまい、拡大した事業の赤字をカバーできなくなってしまったのです。
そこで、これまで投資した不動産を売却しようとしたのですが、地方の不動産は現在、どんどん値下がりしている時代です。
結局、売却しても大幅な赤字を計上しただけに終わり、まだねばればなんとかなったのに、苦しみから逃げたい一心で破産しました。
すごく後悔されています。
❖不動産は即、換金できる物件を買う 資産といえば不動産だと思い込んでいる人はまだ少なくないようです。
不動産といわれるように、土地や建物は〝不動の価値〟をもつものという神話が長く続いてきたからでしょう。
しかし、人口減少で土地や建物の価値は総体的に低下傾向に向かうと予測されています。
もちろん、需要と供給の関係で、人気が集中するエリアや場所であれば、逆にどんどん値上がりするだろうと予測できる物件もたくさんあります。
いずれにしても、一般的に、長く寝かせておくことはリスクの方が大きいと考えるべきで、不動産を購入する場合は、必ず、即換金できる物件を選ぶようにしましょう。
すぐに売れない物件、すぐにテナントが入らない物件は、価値がないと思うべきです。
また、大きなビルを 1棟もつのではなく、小さいビルやマンションの 1室などを数か所購入するなどしてリスク分散しておくことも、不動産資産を考えるうえでは重要なポイントです。
単に見せかけの利回りだけで判断して投資するものではありません。
❖不動産賃貸業の盲点 少しお金に余裕ができたから、「ビルを買って貸そうと思う」といって相談に見える方もよくおられます。
私が貸しビル業を手広く営み、他社よりも利回りを上げ、なおかつ 97%以上の入居率を確保してきた実績を知ってのことでしょう。
しかし、不動産賃貸には外から見ているだけではわからないリスクもあります。
安易に、「副業に貸しビル業でも……」と乗り出すと後で痛い目にあうことが多いものです。
不動産賃貸業の最大のリスクの1つは「家賃を支払わない人にどう対処するか」です。
契約書から家賃の徴収まで仲介業者に丸投げする人が多いようですが、仲介業者は家賃の滞納があっても傍観しているだけ。
必死に回収しようとはしません。
保証会社に委託すれば高い経費がかかり、賃貸業を営むうまみをその業者に渡しているのと同じです。
自分の不動産を自分で管理できないようでは、不動産賃貸業のうまみを知ることはできず、収益も減ってしまいます。
不動産は年を経て中古になるほど家賃は下がり、補修コストなどもかかってきます。
つまり、リスクは年々高くなっていく、ということも知っておかなければいけません。
賃貸用の不動産であっても、買うときには「売るときのことを考えて購入すること」。
これを肝に銘じておいてください。
私の顧問先のある社長は、本業以外には絶対に手を出さないと決めてコツコツと貯めめてきたお金が数億円になったといいます。
私は相続対策のためにもと、不動産の購入をすすめました。
同時に小さな物件をいくつか購入するようにとの助言も行ったところ、素直にそれを聞き入れ、信頼できる業者の情報を 1軒 1軒、自分の目で見て納得のいったところだけ購入するという手堅い方法で、いまでは着実に資産価値を増やしています。
▼社長の資産はいざというとき、会社を守る。
大きくまとめて投資するより、分散投資してリスクも分散しておく。
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