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会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は どんなことがあっても生き残る、 と腹を決めてじる

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まえがき

「あ、地震だ!」

あれから20年以上たっているというのに、私はいまでも時々、ちょっとした地震にもおびえて飛び起きることがあります。

20年以上前、神戸・三宮一帯で手広く不動産賃貸業と飲食業を営んでいた私は、未明に襲った阪神・淡路大震災で運用不動産に被害総額40億円以上という大打撃を受けたのです。

しかも、その再建途上で、北海道拓殖銀行・山一證券から始まった金融機関の倒産、それに続く史上まれに見るデフレ不況に直面。ピーク時には140億円という巨大な負債(借金)を背負っていました。

すべてはあの地震からだつた― 私がいまも地震におびえるのはそのためです。

そこからの再生は、まさに「地獄からの生還」そのものでした。何度も倒産の危機に瀕し、「もう、終わりだ!」と思ったことも1度や2度ではありません。

文字どおり、身も心もボロボロになり、血尿を出しながらもあきらめず前を向いて進んでいきました。

その結果、私は、140億円の借金を倒産せず、自己破産もせずに自力再生し、ついに完済したのです。

気がつくと、8年の歳月が流れていました。

人生には何ひとつムダはない。誰がいったのか、この言葉は至言です。

いま、私はこの貴重な経験を生かして、主に中小企業経営者を対象に、経営アドバイザーとして活動しています。

具体的には、全国から訪ねてこられる多くの相談者の悩みに寄り添い、助言すること。

これまで相談にのってきた経営者は1000人を超えます。

さらには、セミナーや講演会のために全国を飛び回っています。講演・セミナーでは

こんな話は聞いたことがないと感動され、相談にこられる経営者も後をたちません。

「ああ、救われました。まだ、生き延びる方法があったのですね」

目の前の相談者の顔が、相談前と相談後では別人のように変わっています。相談前は、思いつめ、どこか引きつったような表情だったのに、私と話した後は、よほどほっとしたのでしょう。表情がゆるみ、かすかに笑みさえ浮かべる余裕もよみがえっています。

「この顔を見たいがために、日々、飛び回っているんだ」

いま、私が心から仕事をする喜びを感じるのはこうした瞬間です。

私がコンサルティングをするとき、絶対に貫くぞと決意しているのは、「倒産(破産)させないこと」です。倒産(破産)は会社の″死″です。

上場企業の場合は、倒産しても、経営者の個人資産をなくすことはありません。しかし、中小企業の場合、会社の死はそのまま経営者の社会的″死″を意味します。

企業の借金に対して金融機関は経営者の個人保証を求めます。ですから、破産すれば、会社はもちろん、経営者の個人資産も何もかも根こそぎもっていかれます。その日から家族も路頭に迷うことになってしまうのです。さらに、その後約10年間、金融機関から借入はできず、実質的に経営を再開することはできません。

私が最後の最後まで自力再生にこだわり抜いたのも家族を守りたい一心からでした。

こうした経験から、私は、「真の事業再生は会社と家族を守ることだ」をポリシーに掲げ、実際に「会社がつぶれない」ためにできることを、最後の最後まで相談者と一緒に探します。

昔もいまも中小企業の経営環境は厳しく苛烈で、起業した会社の約85%は5年で廃業しているといわれています。言葉を変えれば、ルーズな経営をしていたら、中小企業は5年ともたないということです。

140億円の負債を返済し終えるまでに、私はありとあらゆる経験をしました。経営の裏も表も、光の当たる部分も奈落の底に突き落とされるような経験も。

特に銀行との取引では悪戦苦闘。その結果、百戦錬磨になったのです。私ほど、その手の内や実情を知り抜いている人間はいないだろうと自負しています。

実際、現在、多くの経営者が私を頼って相談に見えるのは、私の実体験に裏付けられた、現場で本当に役に立つアドバイスを求めてのことでしょう。

「銀行ってそんなところだったのか」「そんな方法もあったのか」「こういう交渉をすればいいのか」。多くの経営者がこういわれ、会社の存続のために新たな希望をもち、がんばり始めます。

経営とは、日々、企業活動の現場で起こるさまざまなことに対応していくことです。

いくら立派な学歴があろうと、留学し、MBAを取得してこようと、実際に企業経営をしたことのない経営コンサルタントでは、ご立派なアドバイスのように見えて、実際には役に立たないク絵に描いた餅″のようなコンサルテイングしかできません。

中小企業経営者が抱えている悩みは資金難だけでなく、事業の将来設計、次代への事業継承など、多種多様です。私はその会社の社長になったらどうするかをいつも考えて指導しています。厳しい会社経営、140億円の借入実績、そこからの自力再生の経験が大きな財産になっているのです。

私は、こうした問題に関しても、実情に根差した問題解決を考えていきます。ときには、相談に見えた経営者を叱ることもめずらしくありません。

企業存続のために、あえて事業縮小も辞さないという助言もします。会社がつぶれてしまつたら万事休す。規模を縮小しても、会社が存続していれば、いつか復活する可能性は残ります。

1000人を超す経営者と真剣に向き合ってきた経験から、私は「成功する経営者」と「失敗する経営者」はどこが違うか、がはっきりわかるようになりました。

なかには経営者として知っていなければいけない、ごく基本的なことさえわかっていない方が少なくないのです。

そこで、本書では、事業を成功させたいなら、経営者としてこれだけは心得ていなけ

ればいけないということを52項目にまとめて、成功する経営者になるための原理原則をわかりやすく説明しました。

「成功する会社は成功するようにやっているからだ」これは経営の神様。松下幸之助翁の言葉です。

成功のための原理原則は基本的にシンプルです。ですから、なかには、「こんなことくらいわかつていますよ」といいたい方もいるでしよう。

でも、「知っている」「わかっている」ことと、「実行している」ことは天と地ほど違います。「わかっちゃいる」けど実行していない、実行できないという経営者は驚くほど多いのです。

私が、本書で目指しているのは、

「知らなかった」ことを「知っている」ことに、「知っている」ことを「実行している」ことに変える、ことです。成功への道はそこから始まります。

さらに、経営者にとって命綱である金融機関との、とっておきのつき合い方もお教えします。

現在、悩みを抱えた経営者だけでなく、いまは経営が順調な方も、ぜひ、本書をお読みになってください。これから先も安定した経営を続けていくためには、いま何が必要なのかがよくわかっていただけるでしょう。

本書があなたにとって、少しでもお役に立てるならば、著者としてこれ以上の喜びはありません。

2017年12月 三條慶八

会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は どんなことがあっても生き残る、 と腹を決めてじる

経営者にとって一番大事なことは、「どんなことがあっても会社はつぶさない」と腹を決めていることです。

しつこいようですが、中小企業経営者にとって、会社がつぶれることはイコール人生の終わりだからです。会社を経営することは、それだけのリスクを背負うということもしっかり認識してください。

私のところに相談にこられる方の10人に1人くらいは、かなり切羽詰まった状況であるにもかかわらず、それほど深刻な様子ではないのです。

「このままでは1、2年で行き詰まりますよ」と指摘すると、「最後は自己破産すればいい、と腹はくくっています」などとあっけらかんとした表情でいう方さえいます。

こういう方には、自己破産は「借金を返さなくてもよくなる、ありがたい方法だ」と思い違いをしているのでは、といいたくなります。

自己破産に関するサイトを見ると、「裁判所に自己破産を認められれば、返済する必要がなくなる債務手続きの最終手段です」とあり、自己破産のデメリットとしては、住宅ローンをはじめとするローンが組めなくなる、クレジツトカードを使えなくなる、程度のことしか書いてありません。

借金を棒引きしてもらつておいて、それほど大きなデメリットはない、などということが本当にあるでしょうか。弁護士が破産手続きをすすめるのは、簡単に処理できる仕

事だからです。破産から復活して事業を大成功させた事例はほとんどないのです。それほど制度的、精神的にきついものだと認識するべきです。破産してから後悔する経営者は多いのです。

現在、企業がおかれている状況はかつてないほど厳しいものです。「まえがき」でも書いたように、起業した会社のうち、5年後、存続しているのはたった15%程度です。

残りの85%前後はつぶれるか、自主廃業に追い込まれてしまうのです。

でも、どんな苦境に立っても、経営者が「絶対に生き残っていく」と腹を決めていれば、生き残りの道は必ずあると私は信じています。

百田尚樹著『海賊とよばれた男』は、出光興産の創業者。出光佐三をモデルにした小説ですが、書かれていることはほとんど事実に即しているそうです。

私が特に感銘を受けたのは、太平洋戦争終戦後の佐三(小説の主人公の名前は、国岡鐵造)の経営者としての姿勢です。

戦時中、中国や満州で盛んに事業をしていた出光は敗戦でそのすべてを失います。しかし、佐三は「社員は家族だ。苦しいからといって家族は切れない」といって1000人もの従業員を雇い続けたのです。

そのかわり、「仕事ならなんでもする」といい放ち、石油の仕事がない間、まったく経験のないラジオ修理を引き受けたり、旧海軍の燃料タンクの底の残油をすくい出す仕事など、なりふり構わずやったのです。

ラジオ修理は全国の200万台を修理するという大変な作業でした。残油をすくう仕事はすべて入力でしなければなりません。GHQが日本の石油会社が油の取り扱いを再開するための条件として、突き付けた困難で屈辱的な仕事だといってもよいものです。

しかし、佐三は会社をつぶさず、社員を雇い続けるために、これらの仕事を引き受けます。そして、つらい仕事に耐える社員に向かって、

「みんな、国岡商店(小説のなかの社名)は必ず立ち直る。そして日本も必ず立ち直る」と大きな声でいいます。

佐三のように、どんなことをしてでも会社はつぶさない。経営者としての腹の決め方を知るためにも、この本はぜひ一読をおすすめします。

アメリヵでは若者が積極的に起業するのに、日本の若者は自主独立の精神に乏しい、とよく指摘されます。しかし、アメリカと日本の起業力の差は社会の制度の差も大きく関係しているのです。会社を倒産させると、日本ではほとんど再起不能。 一方、アメリカではむしろ再起可能な法制度が敷かれています。

アメリカ大統領に昇り詰めたドナルド・トランプは不動産王として知られていますが、これまでになんと4度も自ら経営する会社を倒産させています。最初の破産は1991年で、その後92年、2004年と続き、最後は2009年。 一時期は9億ドルもの借金を抱えていたトランプは破産後8年で復活、ついに大統領になりました。

もちろん、トランプのすさまじいまでの精神力があってのことですが、再起が可能な国だからこそ、できることです。日本は失敗を許さない制度で、アメリカは失敗を生かして再チャレンジできる制度というわけです。

現状では日本では、会社をつぶしたら万事休す―・だということを、胸にしっかり刻み込んでおかなければなりません。

▼どんな仕事をしてでも生き残る。会社をつぶしたら終わり!

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