鬼 100則 32神の領域を侵すな 人は成功すると有頂天になる。 「俺は何でこんなについてるんだろう。俺は運が良すぎる。いや、こんなにも頑張ったんだからこれは当然かもしれない」 社員や家族の幸せを夢見ていた頃は、あんなにも真摯に、謙虚にただひたすら感謝の思いで働いていたのに……。ライバルを研究し、他社にはない当社だけのとんがりを模索しながら、社員と共にもがき苦しむ中で、一条の光を見つけたときの感動はどこかへ。 気がつけばいつの間にか「自分だけは特別だ、自分をほめてあげたい、こんな自分にはそれ相当のご褒美があってしかるべき」と成果が自信を生み、自信がその人を尊大にしてしまう。 そして、「もしかしたら自分は神様の親戚ではないか。万能の神は何でもできる。よって私にも少々のことは許されるだろう」という具合に、とんでもない勘違いがひどくなる。 かくしていつの間にか他の人が馬鹿に見え、コツコツと働くことに興味を失って、周囲の人への感謝の心さえも薄くなっていく。結果、金遣いが荒くなり、豪快に遊び、欲しいものは何でも手に入れる。成功により何かが少しずつ変わりはじめるのだ。 周囲は、成功して彼は人が変わってしまったと驚き、嘆き、そして少しずつ距離を置きはじめる。気がつけばその人を大成功にまで押し上げてくれた数々の要因、即ち、彼を支えた誠実、謙虚、努力、感謝そして運という、成功のキーワードたちが少しずつ逆回転しはじめる。そしてそれらが彼の下から離れ去っていくのである。 いつの日か、自分は神様かと勘違いしてしまった慢心が、経営環境の変化や、社内の数々の問題にも気づかないほどに目を曇らせ、気づいたときにはもはや取り返しのつかないまでに会社の経営を悪くし、あっという間に倒産の危機。こういう例をいくつも見てきた。これは、 1億円の宝くじに当たった人の大半が、後々悲劇の主人公になったという例と相似する。 こんなことになるくらいなら、むしろ大成功しなければ良かった、という後悔の日が来ないことを祈る。 警告する。神様の領域にだけは手を突っ込むなと。
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