鬼 100則 59夢の回転差資金ゲット 流通用語に回転差資金というものがある。これは販売資金の現金回収期間と、支払勘定の支払い期間との差から生じる資金のこと。 小さな電器店は回転差資金をプラスにできない販売体系のため、回転差資金は常にマイナス。資金繰りには余裕がなく、新規出店など夢のまた夢であった。対して毎月のように新規出店できる業態に、スーパーマーケットやホームセンターがあった。 不思議に思い、調べてたどり着いた答えは、回転差資金の違いだった。電器屋は仕入れるたびに締め日の翌月支払いが発生し、在庫を抱える。他方、スーパーは、当時支払いが数カ月後、ときには 100日手形まであった。当然、回転差資金はプラスである。それに気づいたときには驚愕した。 スーパーマーケットから得たヒントをもとに、家電店でも回転差資金をプラスにできないかと、目をつけたのが住宅販売。 これが、金物屋でのミニハウスの発見につながった。 ミニハウスといえども住宅である。契約申込みが入れば、信販会社に直ちに申込書を送り、信販会社の審査を通れば入金予定日が確定。その予定日を勘案してメーカーの締め日の翌日に商材を発注する。メーカーの締め日に応じて請求が発生し、支払いを行う。家電店でのミニハウスの販売によって、スーパーと同じ「入金から約 1 ~ 2カ月後に支払い」という回転差資金プラスの仕組みを手に入れたことになる。 これは、それまでの家電販売業ではあり得なかった夢の回転差資金をプラスにするという離れ技であった。全国に 4 ~ 5万店あった町の小さな電器屋の中で、私たちだけが手に入れられたビジネスモデルだったかもしれない。 ミニハウス販売の成功には、もっと大きな意味が2つあった。 一つは、当時の商材としては一番高額な稼ぎ頭の商品を、 1人の営業マンも増やさずに、即ち、従来の家電の営業マンで、誰でも売れるシステムとして構築できたこと。 もう一つは、家電品を他のライバル店で買っていた自分の店に来たことのない顧客を、新たに家電品の顧客層として獲得できたことである。 〝回転差資金〟恐るべしである。
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