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財務会計 VS管理会計

財務会計 VS管理会計  第 2章で少し触れた、 2カ月で廃業したカレー屋の話です。知り合いのオーナーがカレー屋を始めるということで、私の元を訪ねてきました。話を聞くと、誰もがうまいと唸るようなカレーをお手頃価格で提供する、そんな最高のカレー屋を開くのだと非常に熱く語っていました。  しかし、実際に蓋を開けてみると開店 1カ月目で大赤字、どうしたものかと数字を見てみると、なんと原価率が 65%もあったのです。この数字を見たとき、私はブイヨンを作るのに松阪牛でも入っているんじゃないのか!?  と思ったくらいです。つまり、それほどカレーを作るためのコストが高かったのです。  そしてあろうことか、それを数百円のお手頃価格で提供しているわけですから、これはもう商売として成立しないなと、私は完全に白旗をあげました。  翌月、私はオーナーに「原価率と粗利益率が最低でも逆にならないと厳しいです」「これは商売ではありません」と伝え、結局、オーナーは 2カ月でそのカレー屋を廃業する決断をしました。原価率 65%のカレーは、趣味として作るのであれば問題ないですが、商売としてやるわけですからどう考えても厳しい。オーナーの撤退という判断は正しかったと言えるでしょう。  経営者であるならば、おいしいカレーを作るだけでなく、しっかりと利益を出すために数字にも目を向けなければならないわけです。  このカレー屋のオーナーのようにならないために、どうしたらいいかと言うと、事業を行う際には「管理会計」を導入して、しっかりと指標を見ながら経営をしていってほしいのです。  会計には「財務会計」と「管理会計」という 2種類の会計があります。  財務会計は、社外の人に自社の財務状況を把握してもらうための会計です。いわゆる決算書や試算表、これらを作る会計のことを指します。  一方で管理会計は、「経営者が自社の経営状況を把握したり将来どのように会社を経営していくかという情報がまとめられた会計」だと考えると、わかりやすいでしょう。  たとえば、銀行が企業に融資をする際に決算書を提出してもらい、審査を行いますよね。銀行がその会社の決算書を作るわけではなく、提出された決算書をチェックして企業の財務状況を審査するわけです。  だから銀行は「管理会計」の観点から企業を見ていると考えられます。  経営者は決算書を作ることを目的として仕事をしているわけではありません。会社を経営して利益を出すことが仕事です。  ですから、財務会計の部分は顧問の税理士や会計士に任せて、そこから上がってきた試算表や決算書をどのように活かしていくかということ(管理会計)に、注力すべきなのです。粗利益率と損益分岐点を把握しよう  管理会計を導入していくにあたり、私がとくに優先して算出すべきと考える項目を2つ、ご紹介します。それが粗利益率と損益分岐点です。  この2つは、経営者であれば絶対に知っておかなければなりません。  まず、粗利益率というのは全体の売上に対してどのくらいの粗利があるのか、その割合を示すものです。  粗利益は、売上から仕入れや外注費など、売上に直接対応する費用を引いた大元の利益のことで、ここから人件費や諸経費が支払われるので、経営する上で非常に重要な指標となります。  もし粗利益率が低いと、必死に頑張って売上をどんどん上げなければ、経費が払えずに赤字になってしまうということです。  次に、損益分岐点は、どのくらいの売上を上げれば費用と釣り合うのかという指標です。事業を行うと家賃や人件費など、さまざまな経費がかかってきます。それらの経費をすべて賄うためにどのくらいの売上がなければならないのか、これを知るための指標が損益分岐点です(損益分岐点は、固定費を粗利益率で割ることで算出できます)。  粗利益率と損益分岐点を知っておくと、いくら売ると損益がゼロになるのかがわかります。たとえば損益分岐点が 1億円で、売上が 1億 2000万円だったとします。そうなると、仮に売上が 2000万円落ちたとしても、損益としてはトントンで赤字にならないということがわかりますよね。  これを管理会計を使ってどう考えるかと言うと、損益分岐点まで 2000万円の余裕があるので、今のうちに利益率の悪い顧客を切って生産性を高める事業に舵を切っていこうとか、多少顧客に切られてもいいからもう少し強気の交渉をして利益率を上げていこう……そんな具合に、会社の中の体質改善を行うことができるのです。  管理会計を理解すれば、現在の会社の経営状況を正確に分析することができるため、今後の経営方針や事業の改善策などを的確に実行することが可能になります。  いくら売れば黒字になるのか、現状の売上であればどのくらい粗利益率がなければならないのか。一見するとそんなに大した指標ではないように感じられますが、それがわかっているだけで、事業の見通しが大きく変わります。

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