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「損益分岐点比率」 80%なら理想的

「損益分岐点比率」 80%なら理想的  私が中小企業の収益性を見るときに、一番重要視する経営指標が「損益分岐点比率」です。「粗利益の中で固定費がどれだけあるか」を示す指標で、「損益分岐点比率 =固定費 ÷粗利益」という式で導き出すことができます。「変動損益計算書」(変動 P/ L)の売上高から変動費を引いた「粗利益」と「固定費」から求められます。  損益分岐点比率の数値が小さければ小さいほど、利益が出やすい体質であることを意味します。これは、「損益分岐点比率」を式で見ればすぐにわかります。  一般に、固定費をできる限り減らして、粗利益をできる限り増やせば、収益性は上がります。「損益分岐点比率」の式でいえば、分子の固定費が小さく、分母の粗利益が大きいことを意味します。すなわち、「損益分岐点比率」が低い会社のほうが、収益性が高いのです。  中小企業の場合は、「損益分岐点比率」は 80%が理想的な数値です。 80%を下回れば優良企業、 90%を下回れば中小企業としては健全です。「最低限 90%を下回る」ことが中小企業の目標としては妥当です。「損益分岐点比率」の目標は 90%、理想は 80%と覚えておきましょう。 ●「損益分岐点比率」の数字で自社の成績を知る「損益分岐点比率」は、自社が健全な企業なのか、それとも未来が危ない企業なのか、それとも優良企業なのかを判断できる指標でもあります。  弊社では、 3000社以上の中小企業とお付き合いしてきた経験とデータをもとに、「損益分岐点比率」での格付け表を作っています(左の図参照)。

 たとえば、「損益分岐点比率」が 60%未満なら、その会社は超優良企業です。中小企業ではなかなかここまでの会社はありません。私たちの格付け表では「 SS」ランクとなります。「損益分岐点比率」が 60%以上・ 80%未満は「 S」ランクです。競争力がある優良企業です。  そして、 80%以上・ 90%未満は「 A」ランクの会社です。競争力があって明るい未来が待っている健全企業です。このように「損益分岐点比率」を見れば、自社の収益性の善し悪しがハッキリとわかります。  中小企業の社長は、毎月、自社の「損益分岐点比率」がどのくらいになっているのか、きちんと月次決算をして押さえておくことが重要です。  そして、この格付け表と照らし合わせ、今の状況を把握し、状況が良ければさらに改善の手を考え、状況が悪ければ問題点を探し出し対策を打つ。その繰り返しをしていただければと思います。  自社の「損益分岐点比率」が 90%台なら、 80%台に持っていけないかと考える。それができたら、次は、もっと低く 80%にできないかと考えて手を打っていくのです。 ●「固定費」は単に削ればいいというものではない  では、実際に「損益分岐点比率」を下げるには、どうすればいいのでしょうか。「損益分岐点比率」は「固定費 ÷粗利益」なので、「損益分岐点比率」を下げるためには、次の2つの方法が、経営にとって良いことになります。 ①分母の「粗利益」を大きくする ②分子の「固定費」を小さくする  一見、当たり前のように見えます。ところが、実はとても奥深く、難しい問題を含んでいます。たとえば、「損益分岐点比率」を下げるために、「固定費」を削減しようとする人がいます。よくあるのが、人件費を削り、未来への投資、開発費や人材採用の費用を削るやり方です。人件費を単なる固定費とみなし、とことん削ろうとするのです。

確かにこうすれば、その時点での「損益分岐点比率」は下がります。分母の「粗利益」が変わらない状態で、分子の「固定費」が小さくなるからです。  しかし、このやり方は明らかに間違っています。会社を成長させたいのであれば、人件費を惜しんではいけません。  中小企業は、大企業や公務員に比べて、 1人当たりの人件費は低くなっています。十分な開発費や人材採用費をとらないことによって、売上を上げるための新しい取り組みや、新商品や新サービスの開発といった、会社の未来を切り拓く取り組みが手薄になりがちです。これでは、そもそも社員がついてきてくれませんし、新しい人も採用できません。  当然、こうした会社は衰退の方向に向かいます。売上は次第に減り、粗利益そのものも減っていきます。分母の粗利益が減るので、「損益分岐点比率」が高くなることが予想できます。 ●「未来への投資」は減らしてはいけない  中小企業が「損益分岐点比率」を下げるためには、むやみに固定費を減らす方向ではなく、粗利益を増やす方向で企業努力をする必要があります。  もちろん、固定費のある部分、特にムダな部分は、できるだけ削減しなければいけません。  しかし、未来を切り拓いたり、会社を成長させる部分には使わなくてはいけないのです。  社長には、未来の成長に資する部分はむしろ増やしながら、「損益分岐点比率」を下げていくバランス感覚が求められます。  固定費の中には、会社の成長にとって重要な〝未来への投資〟が含まれます。いわゆる「未来費用」といわれるものです。  既存の商品・サービスの売上を今以上に増やしたり、より収益性の高い新しい商品やサービスを創り出していくための費用がそれにあたります。  特に、人件費のある部分は未来費用と考え、できる限り頑張っている社員に報いていく意識が重要です。  新卒社員の人件費、力のある中途社員の採用費用もれっきとした未来費用です。また、新商品や技術の開発費、設備投資、広告宣伝費、教育費なども未来費用に当たります。こうしたものを一律に減らしてしまえば、未来の成長は望めません。「損益分岐点比率」の目標を達成した場合も、「会社の未来のための固定費を、使っていないのではないか」というチェックを常に怠らないようにしましょう。固定費のムダと未来費用を明確に切り分ける感覚が必要です。  固定費が思ったよりも少ない場合には、未来費用が足りていないことがあります。  未来費用に計画的にお金を使い、なおかつ利益を出すのが正しい経営のやり方です。  銀行や経営調査会社の経営分析表には、収益性の指標として「売上高経常利益率」や「総資本経常利益率」などがあります。これらの指標は自社のみの比較では使えますが、一般的には使えません。業種によって粗利益率がまったく異なるからです。  正しい収益性の指標は、「損益分岐点比率」です。これは全業種に使えます。社長には勘違いをしないようにしていただければと思います。

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