重要な3つの「労働生産性」 先ほどご紹介したのは「固定費」を分母にとった「生産性」ですが、分母を変えると、別の観点からも「生産性」を分析できます。特に重要なのが、次の3つの「労働生産性」です。 いずれも会社の規模や人員構成などによって異なるので、目標の数値化は難しいのですが、前節で示した「生産性」の数字を参考にしながら、自社の目標を設定してください。目指すべきは、分子の「粗利益」を増やすことです。 ① 賃金生産性 =粗利益 ÷人件費 ② 社員 1人当たりの生産性 =粗利益 ÷平均社員数 ③ 労働時間当たりの生産性 =粗利益 ÷社員の総労働時間 どの指標も分子が「粗利益」であることがわかります。つまり、何かを「投入」して、どれだけの「成果」(粗利益)を上げられるかを見ています。 ①「賃金生産性」は、総人件費に対してどれくらいの「粗利益」を上げているかを見る指標です。人件費は「固定費」の中で最も重要な費用なので、よく使われます。 ②「社員 1人当たりの生産性」は、文字どおり、社員 1人当たりどれだけの「粗利益」を稼ぐかを示す指標です。平均社員数は、 1年を通しての平均の社員数です。競合他社の数字や統計データを見ると、業界・業種ごとの適正な「社員 1人当たりの労働生産性」がわかるので、自社の「粗利益」から適正な社員数を計算できます。 ③「労働時間当たりの生産性」は、「粗利益」を社員の総労働時間(社員数 × 1人当たりの労働時間)で割ったもので、働き方の効率を示す指標です。私は中小企業の社長に、よく「生産性を上げてください」と言いますが、これは、こうした分子が粗利益の「生産性」指標を念頭に置いて、「もっと効率よく粗利益が上がるようにしなさい」という意味です。
よく生産性を高めるための議論をする場合、どうしても分母の固定費を小さくすることばかりに目が向きがちです。設備投資による合理化や、人件費の削減、労働時間の短縮、その他の固定費の削減などです。 ところが、こうした分母の固定費の削減は、一時的には対処できますが、継続的に削減はできません。必ずどこかで限界がきます。経営が苦しい中小企業では、どうしても賃金を下げる動きにつながります。しかし、社員の幸せを考えることが経営の根幹であり、賃金を下げようとするのはよほどのことでもない限り、あってはならないことです。 また、 ITツールやソフトなどを導入して、社員の時短勤務を進めて生産性が上がったと喜ぶ社長を見かけますが、社員の仕事の効率が上がっても、粗利益が増えなければ会社としては意味がありません。 結局は「稼げるかどうか」です。粗利益が上がらなければ、生産性は上がったとはいえないのです。 ですから、生産性を高めたいのであれば、まず、どうやって粗利益を上げていくかを考えることです。こういう場合に、これらの「生産性」の指標を駆使していただきたいのです。
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