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「労働分配率」で経営の効率がわかる

「労働分配率」で経営の効率がわかる「賃金生産性」に関連する重要な指標が「労働分配率」です。簡単にいうと「会社が社員に対してどれだけ報いているか」を示す指標です。「労働分配率 =人件費 ÷粗利益」の式で導き出すことができ、「賃金生産性」の分子と分母を逆にしたものです。  この「労働分配率」についても、会社の業態や人員構成などによって目標値は変わってきます。中小企業の社長としては、常に人件費を上げる方向で考えていただきたいのです。  中小企業は大企業ほど社員に給料を出せませんが、それでも、優秀な人材を集めなければ未来は開けません。  社長はこの労働分配率という指標を常にチェックして、自社がどれだけ社員に報いている会社なのかを把握する必要があります。

会社の業績だけを考え、「労働分配率」を常に下げようとして人件費を抑え込もうとする経営者がかなり多くいますが、私はむしろ逆だと思っています。ここでは、典型的な例を取り上げてみましょう。 ●「労働分配率」は人件費を抑える目的で使ってはいけない   A社は、社員 1人当たり 300万円の経常利益がある会社で、中小企業としては十分儲かっている会社です。この A社の社長から、あるとき私に相談がありました。「会社で契約している経営コンサルタントから『あなたの会社の労働分配率を見ると、 60%と高すぎます。社員の給料を減らしましょう。適切な労働分配率は 50%です』と言われているのですが、どうすればいいでしょうか?」というものでした。   A社の社長は、「うちの会社は、社員 1人当たりの経常利益は 300万円あります。競合他社と比べても、会社としては十分儲かっているはずです。コンサルタントの提案とは逆に、うちの給料は安すぎるんじゃないか。もっと給料を出してもいいはずなのですが……」と悩みを私に訴えられたのです。  経営コンサルタントと A社の社長、 2人の考え方・方針はまったく逆であり、どちらかが間違っているはずです。  社長の問いに私は「コンサルタントの方の提案は間違いで、社長の考え方が正解です」と答えました。「労働分配率」は人件費と粗利益の割合で決まりますが、この割合はその会社が労働集約的なのかどうかで決まります。   A社は労働集約的な会社でしたが、 1人当たりの経常利益が 300万円も出ている高収益企業です。さらに給料を上げても問題ありません。  私は「弊社のお客さまには、労働分配率が 40%になると赤字になる会社があります。労働分配率で給料の高い低いを決めるのは間違いです」と答えました。  また、一般的には「労働分配率は 50%が妥当であり、 60%になると利益はなくなってしまい、それ以上になると倒産する」といわれることもありますが、これも間違いです。  会社の業態が多くの社員を必要とする労働集約的なものか、それとも少ない社員で回せるスタイルなのかによって、目標とする「労働分配率」は変わるものです。つまり、「労働分配率」の目標値は、業種によって異なるので一律に決められないのです。  一般的な「労働分配率」の指標はありませんが、自社の適正な「労働分配率」は損益分岐点が 80%や 90%のときの人件費と粗利益の割合で決められます(ちなみに弊社では、変動 P/ Lを含む、損益分岐点比率を 85%とし、「労働分配率」が 60%という経営計画です)。  中小企業の「労働分配率」は、粗利益が上がれば下がり、粗利益が下がれば上がるものと考えるべきです。  中小企業の社長においては、「労働分配率」を人件費を抑える目的で使うのではなく、世間相場や同業者以上の給与水準を目標とし、それをカバーする粗利益の獲得を目指すことこそ正しい経営です。経常利益アップと固定費アップをまかなうのは、粗利益のアップなのです。  社長は、自社の商品やサービスを他社と差別化し、競争力を高め、同時に営業力を強化し、高収益型の事業構造を作ってください。これが粗利益アップの唯一の方法です。

弊社ではこの「総資本回転数」を上げることをおすすめしていて、通常 1回転、目標 1・ 5回転、理想 2・ 5回転としています。  たとえば、「売上高経常利益率」が 2・ 5%と低い会社が、「 ROA」を理想値の 10%に近づけるためには、「総資本回転数 = 4」を目指すことになります。  ムダな資産を売却して、売上高の 1/ 4にまで総資産を減らすのです。同じ会社が「 ROA」を目標値の 5%にしたければ、「総資本回転数 = 2」を目指します。  日本は台風、水害、地震など自然災害が多い国です。万が一、自社が自然災害で被災した場合、棚卸資産、設備や機械がダメになり、廃棄費用がかかります。  すなわち、 B/ Sの左側、資産の部に計上されているものは、現預金以外は多くの資産価値がなくなったり、マイナスの財産になったりするのです。  こうしたことに備えて、総資産を圧縮する経営に舵を切って、経営の効率を高める必要があります。「総資本回転数」の目標を決めることによって、売上高に対して総資産の額が決まるので、あと総資産をいくら圧縮すればよいのか、具体的な数字が見えてきます。 ●「 ROA」からは「持たざる経営」の重要性がわかる  さて、「 ROA」の式(経常利益 ÷総資産)を見ると、経常利益を増やし、総資産を圧縮することが重要とわかります。  前者は売上と粗利益を増やし、固定費を下げる努力であり、社長以下全員が取り組むことです。社長が意識すべきは分母の総資産を減らすことです。  大きな設備投資をしてリスクテイクし大きな利益を目指すのは、有望なスタートアップならいいかもしれませんが、中小企業には向きません。  中小企業は不要な資産を持たずに、いかに効率的に稼ぐかが重要です。 「ROA」は、総資産を圧縮して B/ Sをコンパクトにすることで良くなります。  よく似た指標に、「 ROE」がありますが、こちらは「 Return On Equity」の略称で、「自己資本利益率」です。株主視点での指標であり、「株主が持っている資本(自己資本)で、どれだけ利益が出せたか」を示すものです。自己資本の少ない中小企業では、意味のない指標です。

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