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「自己資本比率」の目標は 30%超、理想は 60%以上

「自己資本比率」の目標は 30%超、理想は 60%以上「自己資本比率」については、くわしくは第 6章で紹介するので、ここではポイントだけ解説します。「自己資本比率」は、企業の安全性を測るものさしとしてよく使われる指標です。私が財務関連の指標で最も重視するのが、この「自己資本比率」です。「自己資本 ÷総資産」で導き出すことができます。「自己資本比率」は、「貸借対照表」( B/ S)から求めることができます。具体的には、「総資産」( B/ Sの大きさ)に占める自己資本の割合を%で示したものです。  弊社では中小企業の社長に対して、「自己資本比率」の目標は 30%超、理想は 60%以上というめやすを示しています。 ●「自己資本比率」が高い企業は潰れにくい  第 3章で説明した通り、 B/ Sでは左側は会社の財産リスト、右側はその調達方法を示しています。会計の世界では、他者からの借金や債務で調達したものを他人資本、自分がお金を出して調達したものや利益を出して内部保留したものを自己資本といいます。次ページの B/ Sにこれを示しました。

自己資本は「純資産」とも言い、「資本金」や「利益剰余金」などが含まれます。前ページの B/ Sでは「総資産」 1億 8000万円に対し、「純資産」 1億円なので、「自己資本比率」は 55・ 56%となり、理想に近い数値です。  他人資本は、いわゆる「借金」や「債務」を指します。銀行などからの借金(借入金)は「金融債務」です。取引先に後で支払わなければいけない「買掛金」や「支払手形」などは「信用債務」と呼ばれます。「自己資本比率」が高い会社は、他人に返さなければいけないお金が少ないことを意味します。言い換えれば、「安全性が高く潰れにくい企業」です。「自己資本比率」を上げると、次の3つのメリットがあります。 ① 会社経営が安定しやすい ② 金融機関からの融資が受けやすい ③ 会社の売却時に高い評価がつきやすい「自己資本比率」が高い企業は、それだけ自分たちの意志で自由にコントロールできるお金を多く持っていることを意味します。つまり、それだけ会社経営が安定しやすいのです。「自己資本比率」が低く他人資本が多いと、常に返済を意識してお金を使わなければいけません。できることも限られ、経営が思うようにできなくなる可能性が高くなります。  また、「自己資本比率」が高いと、融資が受けやすいメリットもあります。  銀行にとって融資はメインの仕事ですから、お金を貸せる企業には貸したいと思っています。「自己資本比率」が高ければ、第一印象で銀行からの評価が上がります。  さらに、「自己資本比率」が高いと、会社を売却するときに高い評価がつきやすいというメリットもあります。「自己資本比率」が高い会社は財務基盤がしっかりしていると評価されるので、高い値段で売却できる可能性が高くなるのです。  逆に、「自己資本比率」が低いと、それだけ他人資本のお金が多いことを意味します。返済や利子の支払いが膨らむので、資金繰りは厳しくなる傾向にあります。  銀行から見ればリスクが高く、融資に慎重にならざるを得ません。そのため、資金繰りがいっそう厳しくなる傾向があります。 ●自己資本比率と現預金比率の両方を高める  ただし、「自己資本比率」が高い企業がすべて「良い企業」というわけではありません。なぜなら、「自己資本比率」が高くても、現預金が少なければ企業は財務的にリスクのある状態だからです。「自己資本比率」が高くても、現預金が少ないのは危険です。  企業は儲からないから倒産するのではなく、お金が無くなるから倒産します。つまり、「自己資本比率」が高い企業でも、現預金が少なければ、倒産リスクを抱えていることになります。  たとえば、借入金はよくないと考えて借入金の返済ばかりに目がいくと、どうしても現預金が少なくなっていきます。その状態で急な出費が必要になった場合、対応できなくなる可能性があります。  また、借入金が少なくて「自己資本比率」が高い会社でも、資金、つまり手元の現預金が少なかったり、未来に対する投資が適切に行われていないケースがあります。  資金の少ない会社は資金不足で倒産するので、とても危険な企業であると認識すべきですし、未来費用を使わない会社は新しい商品・サービスの開発ができなかったり、未来を担う人材が育ちにくいので事業が先細ったりしていきます。  いざというときのためにも、ある程度の現預金は用意しておきましょう。  取引先への支払い分、つまり「買掛金」や「支払手形」など「信用債務」の額以上の現預金があれば安心です。銀行はいざとなれば「リスケジューリング」を依頼できますが、取引先への支払いは待ったなしだからです。  左の表は、業種ごとの「自己資本比率」の平均値を示しました。自社の「自己資本比率」の目標値を何%にするか、また現状がどうなのかという判断の材料にしてください。「自己資本比率」を高くするにも、取り組む順番や戦略が大切です。「自己資本比率」を高くすることだけに注目するのではなく、現預金や未来への投資とのバランスを見つつ、「自己資本比率」を高める戦略を描いていきましょう。

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