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「自己資本比率」を高めると財務体質が強くなる

「自己資本比率」を高めると財務体質が強くなる  社長の長期的な目標は、「会社の財務体質を強くすること」です。経営の基盤ともいえる財務体質が脆弱なままでは、会社を成長させることはできません。特に中小企業の社長にとっての最大の KPI(重要業績評価指標)は、財務体質を表す「自己資本比率」です。本章では「自己資本比率の向上」について、深く掘り下げます。  目指すところは、「月次貸借対照表」(月次 B/ S)の「借金の比率を減らして、自己資本の比率を増やすこと」、そして同時に「手元にあるキャッシュ(現預金)の額を増やすこと」です。  わかりやすくいうと、左の B/ Sのように、左側のムダな資産を現金化し「総資産を圧縮する」と同時に、右側の借金の比率を減らしていくイメージです(具体的な総資産の圧縮方法については、本章の最後でくわしく紹介します)。

財産を自前のものにしていくことで、「自己資本比率」は上がります。  毎年、利益が出て手元の現預金が残るようなら、できる限り借金の返済に充てること、また有効利用できていないムダな資産があれば、できる限り売却などで現金化していくことが重要です。 ●「売上・利益が大きい会社」が「財務体質が強い会社」ではない  では、経営の安全性を高めるために、どのように財務体質を強くしていけばいいのでしょうか。少し細かく見ていきましょう。  社長が毎月やるべきことは、主に次の4つに整理できます。 ① 資金繰り(資金の調達と運用) ② 利益管理(売上・粗利益・経常利益の確保) ③ 財務体質の改善(借金を減らし、預金を増やす) ④ 新しいチャレンジをする(新事業、新サービスの開発)  この中で、「自己資本比率」の向上は、 ③「財務体質の改善」に当たります。  世の中の社長には、売上や利益さえ上がっていれば手元のお金は増えていくものだ、財務体質が改善されるものだと信じている人がたくさんいます。  しかし、これは大きな勘違いです。  毎年利益が出ているにもかかわらず会社の財務体質が弱い、というのは実はよくある話です。極端な話、黒字にもかかわらず資金繰りで倒産する企業さえあるのです。  売上や利益が上がっていることと、会社の財務体質が強いことは必ずしも一致しません。財務体質が強い会社とは、売上や利益が大きい会社ではなく、「自己資本比率」が高く、手元に潤沢な現預金を持っている会社なのです。  わかりやすい実例で見ていきましょう。 ◆自己資本比率 30%の A社のケース(借金の返済に追われていない状態)  ここでは、 1500万円の現預金が手元にある A社の例を見ていきます。   A社が4月に 500万円で品物を仕入れ、5月に 800万円の売上を上げたとしましょう。仕入れも販売も、いずれも掛けでのビジネスで、仕入れの支払いは 2カ月後、売上の入金も 2カ月後とします。   800万円の売上高に対して費用は 500万円なので、この取り引きとしては、差し引きで 300万円の利益になるはずです。この場合、何となく現預金が増えるようなイメージを持つでしょう。  ところが、現預金の残高を見ると、実際には、仕入れのための 500万円の(買掛金)の支払い期限が先にきて(この場合は6月)売掛金の入金は後になる(この場合は7月)のが一般的なので、6月の現預金残高は 1000万円に減るのです。

 仕入れの支払いから 1カ月遅れて、7月に売掛金の回収分が 800万円入ってくるので、7月になれば 1000万円の現預金が 1800万円に増えますが、6月のタイミングで見ると、利益がでているはずなのに、現預金が減る現象が生じるのです。  こうした出金と入金のタイミングのズレ、さらにはその時の会社の財務状況(手持ちの現預金の額と自己資本比率)によって、事態は大きく変わります。  この A社の例では、6月にいったん手元の現預金が減って一時的に財務体質が悪化しても、その翌月の7月に売掛金の入金があって事なきを得ました。また、 A社は自己資本比率も 30%と、中小企業としては財務状況も悪くなく、手元の現預金に余裕があり、借金の返済にも追われていなかったので特に問題はありませんでした。 ●自己資本比率が低い場合は倒産の危機も  では、もしこの会社の自己資本比率が極めて低く( 10%程度で借金の返済に汲々としている状況)、さらには手元には現預金が 300万円しかないカツカツの状況で同じことが起こると、どうなるでしょうか。  その場合は、6月にいきなり資金ショートに陥ります。つまり、6月には仕入れの代金 500万円を支払わなくてはなりませんが、手元には 300万円しかありません。この時点で、 200万円の資金ショートになります。  この資金ショート分を銀行に借りたり、手持ちの受取手形を割り引いて現金をつくったり、お金の手当を大慌てでする必要が出てきます。  しかも、自己資本比率が 10%程度と低い場合、同じタイミングで借入金の返済のタイミングが重なる可能性も高いのです。もし、不幸にも手元の現預金が少ない状況で、仕入れ代金の支払いと借入金の返済が重なれば、完全な資金ショートであり、倒産の危機ということになります。  これは短期的な例ですが、年度決算のタイミングで考えると、毎年きちんと利益を「利益剰余金」として積み上げていない場合も、利益は上がっているのに年々財務体質は悪化していく、ということになります。  残念なことに、中小企業の経営者の多くは、その年の業績が好調であったりすると、税金を払うのが嫌だからと、事業経営に必要のないムダなものを買って手元の現預金を減らしています。こうなると、毎年利益が上がっていても、一向に財務体質は改善しないどころか、次第に悪化していきます。  財務体質改善の王道は、毎年きちんと利益を上げ続け、税引後の利益を利益剰余金として積み上げていくことです。こうすれば自己資本(純資産)が増え自己資本比率が上がります。これは同時に借金を減らし、手元にある現金や預金を増やしていくことにほかなりません。  つまり、継続的に利益を上げ、それをきちんとした手順を踏んで「自己資本比率」を上げ、「現預金比率」を高めていくことが、真正面からの財務体質改善法といえます。

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