MENU

「自己資本比率」 60%超で、「信用債務」以上の現預金残高があれば盤石

「自己資本比率」 60%超で、「信用債務」以上の現預金残高があれば盤石  第 5章でも述べましたが、中小企業においては、「負債」が 40%よりも少なく、「自己資本比率」が 60%以上となることが理想的な財務状態です。   B/ Sで見ると、右側の「負債」よりも、その下にある「自己資本」のほうが大きいことが、財務体質が良い状態です。  多くの中小企業は、「利益剰余金」が十分積み上げられていませんし、資本金も多くありません。銀行から借り入れをしなければ経営が回らないことが多く、借入金の比率が多くなり、「買掛金」「支払手形」など取引先への「信用債務」もかなり多くなっています。中には「債務」総額が、 B/ Sの左側の「資産」総額とほぼ同じくらいという、「債務超過」寸前の会社も少なくありません。「自己資本比率」が 10%くらいしかない中小企業はとても多いのです。  こうした会社は、金融機関からの借り入れも多く、毎月の返済に四苦八苦しています。財務的には危険な状態です。  危険な財務体質を改善していくためには、「自己資本比率」を常にチェックしてそれを上げるように努力しながら、借入金の残高を徐々に減らしていくことが大切です。  中小企業の社長は、まずは「自己資本比率」 30%超で実質無借金の状態を目指してください。  実質無借金とは、手元にある現預金の額と金融債務の総額、つまり、金融機関からの借入金の合計額がほぼ等しい状況を指します。完全に無借金ではありませんが、金融機関から返済を求められたら返せるという意味で〝実質無借金〟です。  この状態になるためには、まず総資産の 30%の現預金を確保するまで、借入金を増やします。まずは、手元のキャッシュを十分に持ち、経営を安定させるのです。  借入金の残高と同額の現預金を手元に置くことを目指します。  これができたら次は、この「現預金比率」 30%超を維持した状態で、資産の圧縮や利益を出して、借入金を減らしていきます。  こうして負債を減らしながら、「自己資本比率」を上げていきます。

最終的に目指すべき理想は、「自己資本比率」が 60%超で、金融機関からの借入金はゼロ。仕入先からの信用債務よりもずっと多い現預金がある状態です。すなわち、完全無借金状態でかつ、支払い能力が盤石の理想経営です。  完全無借金を否定する経営者やコンサルタントもいますが、世の中には完全無借金で多額の設備投資をして、急成長している中小企業はたくさんあります。  ある完全無借金の企業は、社員数が 430名を超え、自己資本比率は 90%以上で、過去最高の売上高を更新し続けています。 2022年からは、 5年間に未来費用として、システム開発に 12億円投資します。すべて、自己資金による投資です。 ●究極の「自己資本比率」 90%超も可能「自己資本比率」が高く、現預金を潤沢に持っている会社の経営は、当然安定します。大きな経済危機がきて売上が大きく落ちても、しばらくの間は支払いに窮せず、社員とその家族を養っていくことができます。  弊社のお客さまでは、コロナ禍で、一時期、売上高が 6割ほど落ちた会社があります。

しかし、その会社は「自己資本比率」が 90%と高く、資産の内で現預金を 60%も持っていました。危機にもビクともせず、社員の雇用を守り、落ち込んだ売上も、新商品の開発や新サービス、新規市場の開拓によってすっかり回復しました。こうした会社は例外なく、税金をきちんと払って利益を純資産として積み上げてきた会社です。  かくいう、私たち古田土会計グループも純資産 24億円で完全無借金、自己資本比率は 90%以上あります。数字上 100%には足りていませんが、これは事業をするうえで未払いの社会保険料や法人税など一時的な負債が生じるためです。  資産のうち現預金の比率が 60%近くあり、保険積立金を加味すると、 80%の金融資産を保持しています。  経営においては、まず財務を固め、人材が育ってきた段階で、拡大の戦略をとっています。  拡大するのは、 1社でも多くの中小企業に P/ L、 B/ S、 C/ Fの目的を正しく理解し、お金の儲け方と残し方を学んでもらうためです。  そして、儲けた利益を会社で働く社員と、その家族を幸せにするために分配してほしいと思っています。  すなわち、「人を大切にする経営」を日本中の中小企業に広めることが、拡大する目的です。

日本では大災害が 10年スパンよりももっと短く、頻繁に起こっています。そうした被害に遭っても社員を守れるように、蓄えとして利益を積み上げています。さらに、固定資産の半分以上は保険積立金なので、いざというときに換金できます。  弊社では、コロナ禍で苦しむ飲食業等のお客さま数十社の顧問料や決算料などを、 3カ月間半額にしました。こうした即断も、強い財務体質があればこそできるわけです。 ●「現預金比率」の目安は 30%以上  そして、「自己資本比率」とセットで押さえておきたい指標が「現預金比率」です。「現預金比率」は、「現預金」の額を「総資産」で割った比率です。  弊社では、中小企業の目標として「自己資本比率」を 30%以上にするだけでなく、「現預金比率」も 30%以上にしていきましょうとお伝えしています。  左の図のように、 B/ Sの右側は自己資本が 1/ 3、信用債務と金融債務の合計が 2/ 3のイメージです。

 できれば、「買掛金」や「支払手形」などの信用債務も 1/ 3、金融機関からの借り入れである金融債務も 1/ 3とバランスよくするのが望ましい状態です。  これは現預金の合計が、信用債務か金融債務のうちどちらかより多い状況にしておき、どちらかを急遽返さなくてはいけないときに備えるわけです。  これが中小企業の目指すべき財務の状態であり「実質無借金」になります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次