財務状況は B/ Sの形で判断できる この節では、財務状態の善し悪しを、「貸借対照表」( B/ S)の形で判断する方法をご紹介します。全部で 8パターンあり、「自己資本比率」の向上という長期的な目標を目指す際の参考になります(次ページ参照)。
◆パターン ① 完全無借金の B/ S まずは、最もよい B/ Sの形です。 理想的な財務の状態を示すものであり、弊社では「完全無借金」と呼んでいます。総資産のうち純資産(自己資本)が 60%以上、つまり「自己資本比率」が 60%以上で、「現預金比率」も 60%以上ある状態です。信用債務と金融債務を合わせても 30%台しかないので、借入金をどんどん返済し、さらに「自己資本比率」を上げていける理想的な状態です。 ◆パターン ② 優良な実質無借金の B/ S 2番目が「優良な実質無借金」です。 負債総額は総資産の 50%程度で、金融機関からの借り入れはお付き合い程度です。仕入れ先からの買掛金や、顧客からの預かり金などの信用債務もあります。しかし、両者を合計した額以上の現預金があり、「現預金比率」は 50%以上です。 ◆パターン ③ 実質無借金の B/ S 3番目は「実質無借金」であり、中小企業が目標とすべき状態です。総資産に対して現預金が 1/ 3以上、買掛金や預かり金などの信用債務が 1/ 3、金融債務が 1/ 3、純資産が 1/ 3というものです。 ◆パターン ④ 当面の危険はないが改善したい B/ S 4番目は、いわば金融機関からの借り入れを、借りられるだけ借りている会社に多い形です。現預金が多いのですが借入金も多く、現預金の出入りが多い会社です。 この B/ Sのタイプの会社は、支払利息がかなりの金額になります。先が見通せないような金融危機のときにはこの形が現れ、返済期間・返済が始まるまでの猶予期間が長い融資を受けられたときは、むしろこの形に誘導することもあります。 ただし、平常時はこの形から脱却して、現預金を使って借り入れも減らすべきです。 また、普段から複数の金融機関から借りられるだけ借りるというスタンスでは、いざ業績が悪くなったときにメインバンクがお金を貸してくれない可能性があります。 なぜなら、メインバンクからすれば「どこかが助けてくれるでしょ。こんなときだけうちに頼らないでください」となるからです。ですから、複数行から借りる場合も、メインバンクをきちんと定めて、節度ある借り方をしておくことが重要です。 ◆パターン ⑤ 中小企業の典型で改善すべき B/ S 5番目は、中小企業で最も多い形です。 現預金が少なく(総資産に対する比率が 10 ~ 15%程度で)、借入金が過多という会社の B/ Sです。 こうした会社では、社長が B/ Sの目標を定めていないケースが多々見受けられます。 B/ Sの目標がないのに、気がついたら現預金が増えていたなどということは絶対ありません。社長が意図して B/ Sを作るようにしなければいけません。 ◆パターン ⑥・ ⑦ 隠れ危険企業の B/ S 6番目と 7番目は現預金が少なく、金融債務がない、あるいは少ないという会社です。現預金をどんどん減らして借入金を返すような会社にありがちな B/ Sです。 支払手形の中には、支払利息と危険負担料が入っています。 こうした B/ Sの会社の社長で無借金を自慢する人がいますが、金融機関からは敬遠されます。「無借金なのに今さらお金を貸してくれなんて言われても……。現預金が少ないから危ない」と金融機関は身構えます。 現金商売の会社に多いのですが、こうした B/ Sにするくらいなら、しっかり借りたほうがいいでしょう。 また、金利がもったいないからと、借入金を返済して支払手形を増やしている会社は最も危険な会社です。銀行などからの借入金の返済はリスケジューリングが可能ですが、支払手形は 1円の不足でも不渡りとなり、倒産してしまいます。 ◆パターン ⑧ 超危険企業の B/ S 8番目は最も悪い B/ Sであり、「超危険企業」の B/ Sです。 倒産寸前の会社といってもいいでしょう。現預金が極端に少なく、借り入れも膨らんでいます。取引先への支払い、金融機関への返済でいつ資金ショートが起きてもおかしくありません。 このように、自社の B/ Sの形を見て、自社の現状の課題を見つけていただければと思います。
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