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社長の仕事:浜口 隆則

成功と継続社長の仕事浜口隆則

われわれが無知によって道に迷うことはない。自分が知っていると信ずることによって迷うのだ。ルソー

はじめに 「『社長の仕事』の質が会社の成否を決めている」何千人という社長と接してきて、何千社という経営の盛衰を見てきて、思い知らされたことだ。この事実は、多くの成功者が語ってきたことでもあるし、職位に関係なく、会社に属する多くの者が理解できると思う。また、日々、社会からの厳しいフィードバックを容赦なく受けている実践の経営者ならば、なおさら、強く実感しているはずだ。しかし、実は、そこに大きな落とし穴がある。なぜかと言うと「社長の仕事が会社の成否を決めている」のは、長期的には真実だが、短期的には真実ではないからだ。経営は不思議なもので、短期的に見ると、社長の実力に関係なく成功していることが多い。経営の成功を支える要因が、たまたま揃っていたり、時流やブームに乗ったり、一部の突出した能力が強くて全体の成功を支えていたりすると、成功する。いや、成功してしまう。つまり「たいていの成功は、偶然である」ということだ。しかし、それにもかかわらず、多くの社長は「偶然の成功」で満足してしまう。成功の一部が偶然によってもたらされているとは夢にも思わず、すべてを自らの力で成し遂げた成果なのだと信じてしまう。だから、社長としての実力を高めることをやめてしまう。そういった努力から逃げるようになり、人の話を聞かなくなり、独善的になる。そして、失敗してしまう。環境は常に変わる。それによって自社を成功に導いていた要素も常に変化している。当然、偶然によってもたらされていた要素も変化する。その時、実力のない経営者は、それを再構築することができない。いや、そもそも「何が変化したのか?」「何が必要なのか?」が分かっていない。偶然の成功に酔い、社長としての実力を高める努力をせず、経営に必要な「要素と構造」が分かっていないのだから、当然のことだ。分かるのは、うまくいっていないという事実だけだ。多くの社長が「社長であり続けることができない」という、厳しい現実の大きな原因の一つが、この点にある。「社長の仕事」は、会社を一時的な成功へ導くことではない。会社を「永続させる」ために必要な「すべて」のことをすることだ。それは簡単ではない。「成功するのは簡単だが、成功し続けるのは難しい」のだ。本書は、その難しさと正面から向き合う、覚悟のある社長のために書いた。一時的な成功ではなく、継続的な成功を目指そうとする社長。一時的な成功に酔うことなく、過信せず、実力を高めようとする社長。そういった社長のために書いた。数千人の社長が目の前で見せてくれた現実、成功と失敗から生まれた言葉は、厳しかった。だから、厳しいと感じる表現があるかもしれない。優しい言葉も大切だと思う。しかし、優しい言葉だけが、人を支えられるとは思わない。とても苦いかもしれないが、ぜひ受け取って頂き、明日からの経営に生かしていって欲しい。 ◆

『社長の仕事』は「読んで終わり」ではない。「知っているか知らないか」ではなく「出来ているか出来ていないか」を、自らに問うのが「成功と継続」をもたらす社長の基準である。そういった基準で取り組んでいってもらいたい。忙しい社長業のことを考えて、毎朝 1分で読めるように、一つ一つは簡潔に短い言葉でまとめた。ざっと読んだ後は、一日一つずつじっくり考えながら読んで、「社長の仕事」をチェックできるように工夫した。読むのに 1分、自分をふり返るのに 5分、使って欲しい。それだけでも「社長の仕事」の質を飛躍的に高めることができる。自分を見つめること、自分に向き合うことは、厳しく辛いことでもある。しかし、それこそが「社長の仕事」の大切な第一歩なのだ。さあ、「社長の仕事」を始めよう。

目  次          はじめに   Part Ⅰ  社長力を高める          社長の自戒          社長の心力          社長の技術力          社長の行動力          社長業   Part Ⅱ  経営力を高める          商品力          営業力          管理力          チームマネジメント力          利益力と投資力          リスクマネジメント力          おわりに

1   成功する経営者の第一条件      「雪が降っても、自分の責任」      くらいに考えているか?私たちは、失敗する。必ず、失敗する。理想を目指せば、日々、うまくいかないことだらけだ。それが経営の現実。しかし、それは他の誰の責任でもない。すべては、経営者である私たちの責任だ。失敗するのには、理由がある。うまくいかないのには、理由がある。失敗は、その理由を教えようとしてくれている。「今のやり方は間違っているよ」と教えようとしてくれているのだ。しかし、成功できない経営者は、失敗の原因やうまくいっていない理由を、自分ではない他の誰かや何かの責任にして、その教えから、逃げている。それで経営がより良くなっていくハズがない。自分以外の責任にばかりしていないか?言い訳ばかりになっていないか?自分を冷静に見つめ直してみよう。「雪が降っても、自分の責任」それくらいの覚悟をした経営者だけが、失敗を糧にして、一歩一歩、成功に近づいていく。

2   たいていの成功は偶然      「偶然の成功」に胡坐をかいていないか?経営の成否は、経営者の実力で決まる。長期的に考えれば、それは真実。しかし、短期的には、真実ではない。経営は面白いもので、経営者の実力に関係なく、うまくいくことがある。成功するための要因が、たまたま揃っていたり、時流やブームに乗ったり、ある一部の突出した能力が強くて全体の成功を支えていたりすると、成功してしまう。成功したのか?  成功しちゃったのか?それは 10年以上継続してみないと分からない。たいていの成功は、偶然である。しかし、多くの経営者は、ちょっと経営がうまくいっただけで、自分の実力を過信してしまう。いったん軌道に乗ったかに見えた会社が、失敗していく原因は、ここにある。せっかく手に入れた成功へのステップを自ら踏み外してしまうのは、もったいないし、とても悲しいことだ。偶然の成功に、酔っていないか?「今は、自分の実力以上にうまくいっている。だから、努力し続けよう」そうやって自分に厳しい目を持てる経営者だけが、 10年経っても、経営者で居続けられる。

3   素直さという強さ      耳を、ふさいでいないか?素直でいることは、難しい。なぜなら、人が教えてくれる様々なことを、素直に受け取ってみるのでなく、拒否したほうが「自分を持っている」という「感じ」がするからだ。経営者は「自分」を持っていたい人種だ。それはそれで悪いことじゃない。しかし、その欲求を簡単に満たそうとするから、結局、本当の自分を持てない。自分を持っていたいと強く願う経営者は、その「感じ」を味わいたいから、手っ取り早く「拒否をする」「素直にならない」ということを、手段として無意識に使ってしまう。そうすることで、自分を守ろうとする。しかし、素直さを放棄して、拒否から得られる、「自分を持っている感」は偽物だ。あなたの本来の姿は、今のあなたではない。もっともっと成長できる、あなたがいる。本当の自分は、もっと先にいる。それにもかかわらず、今の自分で簡単に満足するのは、もったいないことだ。それは社会の損失でもある。経営者は成長し続けなければならない。会社のためにも、社会のためにも、関わるすべての人のためにも、そして自分自身のためにも、成長し続けなければならない。そのためには、まず、耳をふさぐのを、やめることだ。そうやって自己満足の殻に閉じこもるのを、やめることだ。本当に「自分を持っている」者は、拒否から得られる「自分を持っている感」など必要ない。だから、実は、素直になれる人こそ、本当の「自分を持っている人」なのだ。耳を、ふさいでいないか?素直さを、弱さだと勘違いしていないか?素直さを、もっと大切にしよう。

4   90点の誘惑       90点で満足していないか? 90点というのは、怖い数字だ。なぜなら、提供者側は、それで満足してしまうことが多いが、受益者側(お客さん)は、それで満足することは絶対にないからだ。人がお金を払う時、 90点で良いとは思っていない。しかし、提供者の多くは、 90点で満足してしまう。この意識の差が、失敗を生む。仕事は、学校のテストとは全く違う。 90点だからなかなか良かった、なんて考えてはいけない。 100点を取っても、喜んではいけない。お客さんは、 100点で【当然】だと思っている。仕事の世界では 100点が当たり前なのだ。お客さんの期待は、対価を払っている限り、 100点なのである。それを分かっていない経営者が多過ぎる。だから、失敗してしまう。 90点で「まあイイか」と思っていないか? 90点で満足していないか? 90点の誘惑に負けていないか? 90点で満足することは、とてもラクだ。しかし、それで満足させられるのは自分自身だけだ。お客さんではない。 90点で満足するのを、今日からやめよう。

5   残り 99%の自覚      自分を上位 1%の人間だと      勘違いしていないか?数千人という経営者を見てきて、分かったことがある。それは、成功できる力を最初からフルで持っている人は、全体の【 1%】しかいないという事実だ。つまり、残りの【 99%】は、その状態のままで経営しても成功することは出来ない。実際、新しく生まれた会社は 10年で約 90%が舞台から去っていく。そして、残った 10%の会社の中で安定した利益体質を持てるのは、 3、 4社しかない。厳しいが、これが現実。しかし、多くの経営者は、この現実を直視していない。そして、自分は上位 1%の人間だと考えている。だから、失敗する。なぜなら、そう考える経営者は必要な努力をしなくなるからだ。自分を変化・成長させようとする強い動機を持たなくなるからだ。そのような経営者が継続できるほど、経営は甘くない。だから、せめて 10年継続できる経営者になるまでは、「自分は未熟である」そういう自覚を大切にしよう。

6   当たり前の基準      あなたの「当たり前」は大丈夫か?本書で問いかけられる項目には「当たり前」のことも多い。しかし、その「当たり前」の受け止め方は、経営者のレベルによって全く違う。成功し続ける経営者は──「当たり前」を「出来ているか否か?」という基準で省みる。そういった厳しい刃を、自らに向ける。しかし、成功できない経営者は──「当たり前」を「知っているか否か?」という基準でしか考えない。そういった自己満足の甘い薬を飲んで、それに酔っている。この両者には、天と地の差がある。あなたは、それに気付いているだろうか?当たり前とは、当たり前に「出来ている」ことだ。当たり前のことだと「知っている」ことではない。しかし、多くの経営者は、このことが分かっていない。だから、いつまで経っても、「当たり前」と認識していることが出来るようにならない。当たり前から、逃げていないか?当たり前を、軽く見ていないか?あなたの「当たり前」に対する態度は大丈夫か?チェックしてみよう。

7   経営力の方向性      力を「正しい方向」に使っているか?ナイフは、人を守るために使える。しかし、人を傷つけるためにも使える。「経営力」も同じ。人を幸せにすることも出来るが、人を不幸にすることも出来る。力は、力の強さだけが大切なのではない。力は、その「方向性」が極めて大切だ。だから、力を持った人間には責任がある。それを「正しい方向にだけ使う」という責任がある。そして常に自分に問わなければならない。「この力を、正しい方向に使えているか?」「この力を、社会がより良くなる方向に使えているか?」「この力を、人を幸せにする方向に使えているか?」真の力とは、「力を正しい方向にだけ使える意志の強さ」を持つということ。あなたの持つ力は、正しい方向に使われているか?力を身につければ身につけるほど、自分に問うことを習慣にしよう。

8   給与は費用ではない      社員の給与を      「人件費」だと考えていないか?社員に支払う給与は「費用」ではない。費用とは、会社が目的を達成するために使ったお金のこと。つまり「手段」のことだ。だから、給与は費用ではない。人は、手段ではない。人は、目的なのだ。経営を長く継続できない経営者は勘違いしている。人は経営資源であり、給与は人件費であり、人は手段だと勘違いしている。経営は、人が、人のために行う、人の活動だ。経営は「関わるすべての人を幸せにする仕組み」だ。だから、人を道具としてしか見られないリーダーの経営に、人がついてくるわけがない。人を道具だと考えていないか?給与を費用だと考えていないか?常識を疑い、頭ではなく、心に聞いてみよう。人がついてこない経営に、未来はない。

9   社長の給与は残り物      自分の給与を「最初に」取っていないか?「社長の給与は残り物」これが成功し続ける経営者の考え方。仕事というのは、自分に与えられた役割をまっとうした時に、報酬をもらう権利が生じる。経営者の仕事とは、経営という「関わるすべての人を幸せにする仕組み」が永続するために必要な「あらゆること」をすることだ。しかし、それが出来ていないのに、報酬だけ取ろうとする経営者が多過ぎる。だから、失敗する。自分の報酬を増やしたかったら、残り物で溢れるくらいの会社にすればいい。それが残り物なら、経営者はいくら給与を取ってもかまわない。年収 3000万円でも、年収 1億円でも、一向にかまわない。残り物がどれだけ大きかろうが、それが、そういう会社をつくった経営者の報酬だ。「社長の給与は、最後に決まる」それは厳しくて大変なことだ。しかし、だからこそ、社長の給与は青天井で、夢もある。

10   公私のケジメ      公私のケジメをキッチリつけているか?良い時には、公私のケジメをつけないといけない。悪い時には、公私のケジメなどあったものではない。経営者は、そんな職業だ。例えば、借り入れをする時や何かの契約をする時、経営者は、連帯保証人として個人保証をさせられることが多い。本来、会社という法人と個人は別の存在である。すべてを個人保証していたら、法人の意味はなくなる。しかし、現実的には、そうではない。経営者は個人として、すべての責任を負わされる。これは、公私混同だ。だからと言って、経営者にとって有利な点で、公私混同をするべきではない。公私のケジメが出来ていない会社には、社長個人はラクかもしれないが、2つの大きなマイナスが生じる。そして、この2つの影響で潰れる会社は多い。   1.社員の士気が落ちる   2.どんぶり勘定になって資金繰りが見えなくなる会社の所有者は、あなたかもしれない。しかし会社は多くの人と関わりを持って存在している「公器」でもある。公私混同をしていないか?会社を「私器」にしていないか?会社は「公器」。それくらいに考えられる経営者が、うまくいく。

11   本当の顧客第一主義      ナンバーワンを目指しているか?「顧客第一主義です」──そう公言する会社は、多い。「ナンバーワンです」──そう公言する会社は、少ない。それは、おかしい。なぜなら、ナンバーワンではない会社は、市場において、お客さんに、ナンバーツー以下の商品を提供していることになるからだ。市場には、自社のものより優れた商品があるのに、自社の商品を提供すること、自社の商品を薦めること、それが、お客さんのためになるだろうか?それが、顧客第一主義だろうか?お客さんのことを本当に一番に考えたら、市場において最も優れた商品を利用してもらうことが、最良のことのはずだ。だから、ナンバーワン以外の商品を市場で提供することは、顧客第一主義に反している。この事実に、気付いているだろうか?しかし、多くの経営者は、その事実を無視したがる。ナンバーワンになることを、あきらめている。あきらめてはいけない。妥協してはいけない。お客さんのことを考えて、必死にナンバーワンを目指そう。それが本当の顧客第一主義。

12   成功はバランスの中にある      バランスをとっているか?「成功はバランスの中にある」面白くもなんともないが、それが、現実だ。しかし、多くの経営者は勘違いをしている。突出した何かだけが「成功要因」だと思っている。確かに、突出した要素を持つことは大事なことでもある。しかし〈突出〉は成功の継続を約束しはしない。成功の継続を約束するのは……〈バランス〉である。多くの経営者が勘違いしてしまうのは、突出したハデな部分にしか目が行かなくなるからだ。メディアなどが成功している会社を紹介する時、紹介する側は興味をそそる必要があるために、突出した要素だけを紹介することが、ほとんどだ。だから、それだけを単純に見てしまうと、「突出した部分 =成功要因」と結論づけてしまう。しかし、残念ながら、経営は、そんなに単純ではない。成功し続ける会社は、結局、バランスをとても大事にしている。バランスを意識しているか?突出した部分ばかりを意識し過ぎていないか?チェックしてみよう。

13   成功する経営者の最終条件      あなたの普段を支えてくれている人に、      感謝しているか?経営は、人が、人のためにやっている、人の活動。だから、長期的には、人を大切にしている人が成功し続ける。ちょっとした成功や意地、間違ったプライドで、周囲の人を「ないがしろ」にしていないか?あなたの「普段」を支えてくれている人たちを、低く見ていないか?水や空気と同じように、大切なものは当たり前になっていく。しかし、それを軽く扱う者は、どこかで、その重さを思い知る。周囲の人を大切にすること。それは、何かを成し遂げようと旗を掲げたリーダーが、決して、忘れてはいけないこと。周囲の人たちがいるから、自分があることを、忘れてはいけない。そのためには、感謝すること。「感謝できる能力」を身につけること。だから今日は、身近な人にこそ、一言、「ありがとう」って言ってみよう。

14   成功の定義      経営の成功とは?成功とは、幸せになること。経営は、人が、人のためにやっている、人の活動。だから、経営に関わる人が幸せにならなければいけない。儲けることも、大きくなることも、有名になることも、経営にとっては大切なことだが、それらは手段でしかない。しかし、多くの経営者は「目的」と「手段」の境界線が、分からなくなっていく。そして、いつの間にか、手段が目的になっていく。人や幸せが経営の中心課題から離れていく……。いくら手段を得ても、あなたと会社に関わる人が幸せになっていなければ、会社を経営している意味がない。経営の目的を見失っていないか?手段が目的になっていないか?深く、考えてみよう。

15   商売の肯定      商売を卑しいことだと考えていないか?「商売 卑しいこと」残念ながら、商売をすることが、そのような文脈で語られることがある。そういった社会の文脈が正しいとは限らない。それは歴史が証明している。しかし、人は知らず知らずの間に、影響を受けている。それは、経営者も例外ではない。実は、多くの人が経営で成功できない根源的な理由は、【商売 =卑しいこと】というマインドセットにあることが多い。いくら経営者が優秀であっても、いくらビジネスが有望でも、自分のやっていることが卑しいことだと感じていたら、その行為を続けることは、難しい。その行為にすべての情熱をぶつけることは、難しい。それは、重たいバーベルを持ちながらマラソンをするようなものだ。すぐに、疲弊してしまう。商売をすることに対する卑しい気持ちや引け目がないか?社会の文脈に流されていないか?自分に聞いてみよう。そして、よく考え直してみよう。そうすれば気付くはずだ。「商売 =人の役に立つこと」「商売 =人に喜ばれること」だと。商売を肯定的に捉え直すことが出来たら、すべてが変わり始める。

16   お金からの逃亡      お金から、逃げていないか?「お金なんて二の次だよ」そんなことを軽々しく言う経営者に限って、お金に、追われている。お金を扱うのは、簡単ではない。お金を稼ぐのは、簡単ではない。だから、多くの経営者は、お金から、逃げようとする。お金を悪者にして、自分を正当化しようとする。そして、失敗する。経営はお金を稼ぐためにあるのではない。関わる人を幸せにするためにある。しかし、その仕組みを継続させるためには、お金のことを徹底的に考える必要がある。お金から、逃げていないか?お金のことを考えるのは、悪いことだと思っていないか?経営をする上で、お金は避けて通れない重大要素。お金と正面から向き合い、お金の本質を知り、お金の重要性を知り、「お金は素晴らしい」と心の底から、そう言える経営者になろう。

17   7つのメンタルブロック      「心のブレーキ」を持っていることに      気付いているか?人は誰でも知らず知らずの間に、たくさんのブレーキを心に装着している。その「心のブレーキ」を「メンタルブロック」という。メンタルブロックは、思い込み。過去に正しいと思って獲得した考え方。しかし、過去に正しかった考えが正しくあり続けるとは限らない。過去に自分を守ってくれた考えが守り続けてくれるとは限らない。それにもかかわらず、多くの人は、過去に獲得した考えに、こだわり続ける。特に大人を邪魔しているのは、思考力が未熟なうちに獲得した考え方。刷り込まれたとも言える考え方。そういった「今では邪魔になってしまった考え」を捨てるだけで、人は一気に成長できる。それは、次元が変わるくらいの変化だ。メンタルブロックの存在を疑ってみよう。経営者であれば〈7つのメンタルブロック〉をチェックしておこう。   1.「商売は悪いこと」だと思っていないか?   2.「儲けるのは悪いこと」だと思っていないか?   3.「お金は汚い」と考えていないか?   4.「私だけ幸せになるのは悪いこと」だと感じていないか?   5.「好きなことをするのは悪いこと」だと思っていないか?   6.「人と違うことをするのは悪いこと」だと感じていないか?   7.「二つ以上を同時に得ることは悪いこと(生贄の心理)」だと思っていないか?

18   社会貢献という強さ      「社会貢献」を真剣に考えているか?自分だけが良くなってやろう。そういう、やり方や生き方は、一見、強そうに見えても、どこかに弱さがある。確かに、エゴはエネルギーになり得る。恐怖や欲望に根差した動機は、強い。しかし、エゴのエネルギーで突っ走り続けると、長期的には壁にぶち当たったり、ガス欠してしまったりする。そうなってしまう理由は、二つ。一つは、人は社会という人との関わりの中で生きていて、ビジネスでも、その「関わり」が大切な鍵の一つだから。もう一つは、人には元々、「他者に想いを馳せる力」があるから。人のために、社会のために、そうやって頑張ろうと思えば、そうやって他者に貢献している自分を思えば、不思議と力が湧いてくる。そして、真剣にそう思い、覚悟して行動を積み重ねている人には、いつも「神風」が吹いている。

19   弱者の自覚      「弱者の自覚」は、あるか?起業に挑戦するような人には、優秀な人が多い。実際、多くの人が優秀な会社で、大きな貢献をした実績を持って起業に挑む。しかし、その多くも失敗してしまう。それは、非常にもったいないことで社会的な損失と言える。一見、有利に見える優秀な人たちが失敗してしまう意外な理由は──「弱者の自覚がない」ということに起因することが多い。「弱者の自覚」が持てない経営初心者は、自分の置かれている今の状況を正確に理解していない。そして、錯覚したまま、これまで実績のあった、大きな会社の戦略、強者の戦略で経営をしてしまう。それでは、うまくはいかない。弱者には弱者の生き方がある。あなたは、優秀だ。きっと、強者でもあるだろう。しかし、あなたが始めた会社は、そうではない。弱者以外の何物でもない。この事実を深く自覚すること。それが成功への大きな第一歩になる。

20   人を知る努力      「人」を知る努力をしているか?経営は、人が、人のために行う、人の活動。だから人のことを、深く理解している人が成功する。しかし、多くの経営者は、経営の表面的な部分だけを追いかけて、「うまくいかない」と悩んでいる。そして、失敗してしまう。人のことを、深く知ろうとしているか?人のことを、知る努力をしているか?「人」に深い愛情を持ち、「人」に強い関心を持ち、理解しようと努め続ける者だけが、ビジネスで成功し続ける。

21   前向きな危機感      「危機感」を「バネ」にしているか?大好きなことをしていたら、成功できる……心地の良いことをしていたら、成功できる……確かに、そういう場合もある。しかし、ヒトに進化した魚は、その進化の過程で、陸に出るのが大好きだから水中から飛び出したのだろうか?心地良かったから水中から飛び出したのだろうか?違う。彼らは変化に必死に「適応」しようとした。「危機感」があったから水中以外の環境に挑戦し、そして、飛躍的に進化した。進化や成長を強力に支えるのは、心地良さではなく、危機感だ。経営は、いったん成功すると、かなり心地良い。だから、多くの経営者は、それに酔う。「うまくいっているのだから大丈夫」と思い、そして、失敗してしまう。しかし成功し続ける経営者は、「明日、会社が潰れるかもしれない」という危機感を、いつも心のどこかに持っている。成功すればするほど危機は訪れるもの。だから、心地良さは「危機へのサイン」でもある。危機感を持っているか?心地良さに目がくらみ「危機へのサイン」を見落としていないか?常に、チェックしよう。「前向きな危機感」を持ち続けよう。

22   優位性の元      誰でも出来ることを、      誰にも出来ないくらい、やっているか?「優位性」を築く。ビジネスの世界では、それがとても大切だ。しかし、自由主義経済の中で、優位性を保ち続けるのは、簡単ではない。では、優位性を保ち続けている会社は、特別なことをやっているのだろうか?確かに、一見、特別なことをやっているように見える。しかし、よく見てみると、本当に変わったことをしている会社は少ない。優位性を保ち続ける会社がやっていることは、誰にでも出来ることだ。しかし、違うのは、それを、誰にも出来ないくらい徹底してやっているということだ。変わったことはしていない。変わったレベルでしているだけだ。どんな会社にも出来ることを、どんな会社にも出来ないレベルでやり続けているだけだ。それこそが「優位性」を築く「元」なのだ。変わったことや特別なことをしないといけない、と思い込んでいないか?誰にでも出来ることを、誰にでも出来るレベルで、満足していないか?普通の会社が 10回やっているんだったら、 100回やればいい。普通の会社が 1年やるんだったら、 10年やればいい。それだけで、たいてい、一番になれる。

23   成長曲線の構造      成長曲線の構造を知っているか?成長は、突然、現れる。語学の勉強やスポーツなどで、「ある日、突然、分かるようになった」「ある日、突然、出来るようになった」という経験はないだろうか?経営の成長も同じだ。「ある時期から、霧が晴れたように分かり始める」「ある時期から、一気にうまくいき始める」そういう時期が来る。成長曲線は緩やかな上昇カーブは描かない。ある臨界点を超えると急激に上昇する。しかしながら、その「ある時期」の直前は、最も大変な時期であることが多い。だから、多くの人は、そこで投げ出してしまう。夜明け前は最も暗い。しかし、夜が明けることを知っていれば、頑張れる。あなたの会社の夜明けは、ひょっとしたら、もう、すぐそこまで来ているかもしれない。だから、あともう少し、頑張ってみよう。

24   ビジネスの設計図      ビジネスを設計しているか?あなたが家を建てる時、「私は設計図を書けません」「私は設計図なしで建てます」建築家が、そう言ったら、あなたは、どう思うだろうか?「設計図なし」で家を建てる人は、いない。しかし、恐ろしいことに経営の世界では「設計図なし」が、ほとんどだ。経営者の多くが「ビジネスの設計図」を描けない。だから、多くの経営が失敗するのは、ある意味、当然と言える。「家の設計図」を書けない【建築家】が家を建てること、「ビジネスの設計図」を描けない【経営者】が経営をすること、どちらも、同じように危険で、怖い。偶然で、生まれる会社もある。偶然で、成功する会社もある。しかし、偶然で、成功し続ける会社はない。継続的な成功は、偶然では生まれない。「ビジネスの設計図」を描けるようになろう。

25   設計者の自覚      設計者としての訓練を日々しているか?「成功する経営者」と「失敗する経営者」の差は、日々のランチで決まっている。成功する経営者は、知らない店でランチをしたら、その店の「客席数」「客単価」「回転率」を計算している。広さと付近の家賃相場から家賃を計算し、必要売上月額を推察している。(※ 1)厨房とホールの社員数を概算して人件費を計算し、月額の固定費を推察し BEP(損益分岐点)を把握する。(※ 2)信じられないかもしれないが、成功する経営者は、一回のランチで、その店の【 7割】を把握している。食事を味わうことも大事だ。人との会話も大事だ。しかし、ビジネスの設計者なら、食事がサーブされる前の 10分で、同席者がトイレに行った 5分で、なぜ、その店が流行っているのか?  なぜ、その店はヒマなのか?  考えよう。売上はどれ位で、費用はどの位かかっていて、儲かっているのか?  考えよう。成功し続ける経営者は、そうやって、日々、訓練している。  (※ 1)飲食店経営の常識として、家賃は 2 ~ 3日の売上で稼がないといけない。          つまり、家賃 2または 3が一日に必要な売上と概算できる。  (※ 2)飲食店の原価率(大体 33%)、飲食店の平均的な給与と労働分配率を知っていれば、           BEPは、すぐに概算できる。労働分配率(%) =人件費 粗利益高 × 100           40%以下が理想的だが、最近は 50%以下であれば OK。

26   プロの技術      「技術」を磨いているか?あなたの大切な人が、とても深刻な病気になった時、親しみやすく、説明もシッカリしてくれる 50%の成功確率( =技術)を持つ医者。ぶっきらぼうで、あまり説明もしてくれない 99%の成功確率( =技術)を持つ医者。あなたは大切な人の大事な手術を、どちらの医者に任せるだろう?そんなのは、決まっている。プロにとって最も大切なのは、まず【技術】である。どれだけ深い愛を持っていても、どれだけ優しくても、「技術」がなければ、人は救えない。だから、プロは、日々、自分を磨き続ける。日々、訓練し続ける。経営者は、社会の顕在ニーズ・潜在ニーズに応えることで人を救っていく。だから、その分野での技術は徹底的に磨かなければならない。あなたの家族や親友、大切な人が、あなたのビジネスを必要とする時、あなたを頼ってきた時、「任せとけ」  ただ一言、そう言えるか?心の底から、しかし、明るく、そう言い放てる存在になるまで、「技術」を磨き続けよう。

27   経営の 3大要素      経営に必要な【3つの力】を持っているか?経営力は、突き詰めて考えていくと、3つの要素から成り立っている。   1.商品力 =売り物を生み出す力   2.営業力 =売り物を売る力   3.管理力 =経営活動のすべてを円滑にマネジメントする力経営力は、この要素の「かけ算」で決まる。【経営力 =商品力 ×営業力 ×管理力】だから、一つの要素が「 0」になると、全体も「 0」になってしまう。この3つの力をチェックするのは、最も簡単に経営力を自己診断できる方法。あなたの会社は、どの要素が強いのか?  アクセルになっているのか?どの要素が弱いのか?  ブレーキになっているのか?ざっと、チェックしてみよう。

28   経営の 12分野      【経営の 12分野】を点検しているか?車には「車検」がある。だから危ない状態で走っている車は、少ない。会社には「社検」がない。だから危ない状態で走っている会社は、多い。車と同じように、会社には、影響力がある。人の役に立つためにつくられるが、人を傷つけてしまうことがある。しかし、法律で会社の危機レベルを点検する仕組みはない。だからこそ経営者は自ら厳しく自社を点検するべきだ。失敗が多い時、伸び悩む時、なぜか分からないがうまくいってしまっている時、【経営の 12分野】をチェックしてみよう。   1.「ミッション」(ミッションはあるか?  明確か?  伝わっているか?)   2.「ポジショニング」(市場における位置が分かっているか?  ユニークか?)   3.「商品力」(商品価値はあるか?  絶対価値と相対価値があるか?)   4.「ブランド力」(会社とお客さんとの接点があるか?  生涯価値が高いか?)   5.「集客力」(知られる努力をしているか?  自社の露出はあるか?)   6.「見込客フォロー」(興味を持ってくれた方へフォローはしているか?)   7.「セールス」(専門的アドバイスで背中を押してあげているか?)   8.「ファン化」(お客さんにファンはいるか?  お客さんのことを好きか?)   9.「経理・財務」(どんぶり勘定になっていないか?)   10.「チームづくり」(仕事観を共有しているか?  チーム意識はあるか?)   11.「仕組み化」(仕組み発想はあるか?  仕組みをつくっているか?)   12.「投資」(未来のための投資をしているか?  自己投資をしているか?)この 12分野をチェックしているだけで、経営は飛躍的に安定する。

29   成長ステージと 3大要素の優先順位      ステージに合った      優先課題に取り組んでいるか?会社の成長にはステップがある。大きく分けて3つの段階があり、3つのステージがある。第 1ステージ──起業期(導入期)第 2ステージ──成長期第 3ステージ──完成期(成熟期)気をつけないといけないのは、ステージによって経営者が取り組むべき「テーマは変わる」ということだ。しかし、失敗する多くの経営者は、ここが分かっていない。起業期に完成期のような事をしてはいけない。成長期に起業期のような事をしてはいけない。完成期に成長期のような事をしてはいけない。会社の成長ステージによって、経営者の優先課題は変わるのだ。自分がどのステージにいるのか?中心課題・優先課題は何か?把握して、ステージに合った取り組みが出来るようにしよう。レストランを例にして見てみよう。[成長の3つのステージ]   1──開店し、一店目を繁盛店にする時期            ( =起業期)   2──一つの繁盛店をコピーして、どんどん店を増やす時期            ( =成長期)   3──ボリュームメリットを生かしつつブランド化する時期            ( =完成期)基本的な成長ステップは、どんな事業でもあまり変わらない。それぞれのステージでの優先課題と優先順位を、「経営の 3大要素」と「財務三表」でチェックしよう。[優先課題]──経営の 3大要素   1.起業期に大切なのは、【商品力】( →[営業力] →[管理力])   2.成長期に大切なのは、【営業力】( →[管理力] →[商品力])   3.完成期に大切なのは、【管理力】( →[商品力] →[営業力])[優先課題]──財務三表   1.起業期に大切なのは、【 C F】( →[ PL] →[ BS])特に預金残高   2.成長期に大切なのは、【 PL】( →[ C F] →[ BS])特に売上   3.完成期に大切なのは、【 BS】( →[ C F] →[ PL])特に自己資本比率  (※) C F =キャッシュフロー計算書、 PL =損益計算書、 BS =貸借対照表

30   コミュニケーション力      「コミュニケーション力」を      磨き続けているか?経営は「関わり」をつくる活動だ。関わる人を増やし、関わる人との関係をより良く築いていくこと、それが、経営だ。この「関わり」を構築していく上で、絶対に欠かせない力がある。それが【コミュニケーション力】だ。コミュニケーション力とは──自分の想いを、人に伝達する力。人の想いを、受け取る力。(※)経営が「関わり」をつくる活動である以上、この力は、絶対に必要だ。しかし、成功できない多くの経営者は、苦手だからといって、逃げている。または逆に、十分にその力があると過信している。だから、経営の基礎を築くことができない。より高い「コミュニケーション力」の上に、より良い「関わり」は生まれていく。大切なことを、伝えるために、大切なことを、受け取るために、「コミュニケーション力」を磨いていこう。    (※)ここで、「想い」とは、感情、意思、思考などの総称として表現してある。          またコミュニケーションの媒介するものは、言葉、文字、態度(行動や身振り)。

31   情報伝達の難しさ      それは、本当に伝わっているか?伝えることは、とてつもなく難しい。しかし、伝えることの難しさを本当に理解している人は少ない。だから、伝えるべきことを正確に伝えられている人は少ない。例えば、あなたが社員に「がんばれ」と言った時、ある人は 100回やるし、ある人は 30回しかやらない、そして、ごく稀に 150回やる人がいる。野球のキャッチボールでは、「投げた球」と「受ける球」は同じだ。しかし、言葉のキャッチボールでは、「投げた球」と「受ける球」は色も形も変わってしまうのだ。経営者は、この事実を深く理解していないといけない。そして、伝えたいことが伝わっていない時には、相手の責任にしてはいけない。そうなってしまったのは「伝える側の責任」と考えないといけない。自分の意図が 100%伝わると思い込んでいないか?曖昧な表現をしていないか?特に社員に対しては、一層、曖昧になりがちなので注意しよう。

32   文字の力      文字にして伝えているか?成功する経営者は「言葉」で伝えようとする。成功し続ける経営者は「文字」で伝えようとする。この二つの違いは何か?【継続性】と【波及性】だ。言葉は、目の前の人にしか伝わらないが、文字は、未だ出会っていない多くの人や未来にも届く。しかし、文字にすることは簡単ではない。だから多くの経営者は、言葉による伝達だけで済ませてしまう。もちろん、言葉も大事。肉声によってしか伝わらない感情や想いもある。しかし、成功し続ける経営を目指すなら、言葉だけでは足りない。あなたが発する言葉は、これから出会いたい人には届かない。あなたが発する言葉は、未来には届かない。文字には、それが出来る。文字にすることから、逃げていないか?文字にすることを、後回しにしていないか?あなたが発している言葉を、文字にしよう。

33   エレベータピッチ      自分の事業を 1分で説明出来るか?成功する経営者は、自分の事業のことを何時間でも話すことが出来る。そして、周囲を嫌にさせる。成功し続ける経営者は、自分の事業を〈 1分間〉で説明出来る。そして、応援者を増やし続ける。自分の事業を 1分以内に説明出来るか? 1分で人の心を動かす説明が出来るか?それが出来ないということは、経営者自身が自分の事業を、よく分かっていないことでもある。自分の事業を深く理解していないと、長々だらだらと説明してしまう。 1分で説明しきれないビジネスを、人が口コミしてくれることはない、紹介してくれることはない、誰かに話すことはない。自分が時間という命をかけてやる事業のことだ。「たった 1分で、人の心を震わせる」それくらいに研ぎ澄ませよう。

34   忙しいという免罪符      「忙しい」を言い訳にしていないか?「忙しいから、出来ない」本当によく聞く言葉だが「忙しいこと」は、「経営を未熟なままにしていい」という前向きな理由にはならない。確かに、社長はむちゃくちゃ忙しい。経営のすべての領域に責任があり、安心して任せられるチームをつくれていない場合がほとんどだから、忙しいのは当然のことだ。しかし、日常業務の「忙しさ」を言い訳にしていると、経営は、いつまで経っても変わらない。いつまで経っても良くならない。そして、忙しいままであり続ける。「忙しい」という言い訳を捨てよう。「忙しい」という盾を捨て去ろう。そして、経営の根っこを伸ばす仕事に向き合おう。経営の根っこに向き合うのは簡単なことではない。だから、多くの経営者は日常業務に逃げ込む。そして、そこから出られなくなってしまう。そうならないためには、まず、「忙しいから」という言い訳をスッパリと捨てることだ。

35   成長し続ける人の特徴      「即時行動」が習慣になっているか?社長は成長し続けなければならない。なぜなら社長の成長がない限り、会社の安定も成長も望めないからだ。それでは成長し続ける人というのは、どういう人だろう?成長し続けられる人の大きな特徴の一つは、「第一歩が、早い」ということ。成長し続ける人は知っている。未来は行動によってしか、つくれないことを……。積み重ねた行動の上にしか自分の望む未来はないことを……。成長し続ける人は知っている。時間は有限であることを……。人生は一回限りしかない片道切符の旅であることを……。だから、すぐに行動する。

36   失敗する人      「失敗する人」になっていないか?世の中には、絶対に出来ないこともある。どんなに一生懸命にやっても、どんなに時間をかけても、出来ないこともある。しかし、ビジネスの成功に必要なことは、基本的には誰にでも出来ることばかりだ。だから、「出来ることを、やらない人」それが失敗する人だ。成功は「出来るか出来ないか」で決まっているのではない。「やるかやらないか」で決まっているのだ。出来ることを無視していないか?出来ることをやらずに悩んでいないか?「やらない」だけのことを「出来ない」と思い込んでいないか?まずは出来ることを徹底的にやろう。本当に出来ることがなくなったら……あなたは、とっくに成功している。

37   一石三鳥の行動術      そのアクションは      2つ以上の意味を持っているか?成功し続ける経営者は効率がいい。同じ努力で数倍の結果を残しているように見える。それは、なぜだろうか?その秘密は、その行動術にある。成功し続ける経営者は1つのアクションで、2つ以上の効果を生み出すような、「ワンアクション・マルチリターン」を常に心がけている。しかし効率の悪い経営者は1つのアクションに、1つの効果しか考えていない。2つ以上の効果を望んでいない。「ワンアクション・ワンリターン」になってしまっている。この差は時間が経つと〈圧倒的な差〉になってかえってくる。「社会貢献活動をしつつ、社員教育にもできないか?」とか、「顧客満足度を上げつつ、会社の認知向上にならないか?」など、そのアクションには、2つ以上の意味があるか?2つ以上のメリットがあるか?  常に考えよう。効率の悪い経営者はワンアクション・ワンリターン。効率の良い経営者はワンアクション・マルチリターン。「ワンアクション・マルチリターン」を心がけて、倍速で成長していこう。

38   効率より効果      効率的にやろうとしていないか?経営において、まず、必要なのは「効果」である。「効率」ではない。なぜなら、効果があって成果が出ていない限り、いくら効率を上げてもムダだからだ。 10万円しか売上を上げられない段階で、いくら効率を上げても、経営に対するインパクトは極めて小さい。だから、まずは、 10万円を 100万円に、 100万円を 1000万円にすることが大事だ。その段階では「効率性」より「効果性」のほうが優先順位は高い。だから、成果が出るまでは、インプットの量を減らしてはいけない。しかし、ラクをしたい経営者は、そこを勘違いする。十分な成果を出す前から「効率的に」と考えてインプットを減らしてしまう。そんなやり方で、本当に必要な成果まで、たどり着くのは難しい。効率を上げようとしていないか?効果を出す前にインプットの量を下げていないか?「成果(効果/アウトプット)のない効率は意味がない」効率的じゃなくていい。泥臭くてもいい。成果を上げていこう。

39   小さな約束      「小さな約束」を守っているか?仕事というのは、誰かから任されること。だから「任せてもいい」と思われる信頼される人だけが仕事を得ていく。会社は、たくさんの仕事を任される場所。だから「任せてもいい」と思われる人の集合体じゃないといけない。当然、そのトップである社長は、「任せてもいい」と信頼される人物じゃないといけない。しかし、経営者になり、また、少しうまくいき始めると、人は「小さな約束」を軽んじるようになる。「小さな約束」を破るようになる。勘違いしてはいけない。私たちは経営者だから、信頼されているのではない。成功しているから、信頼されているのではない。「小さな約束」を守り続けるから、信頼される。信頼は一瞬で出来るものではなく、少しずつ積み上がっていくものだ。しかし、なくなる時は一瞬でなくなる。成功し続ける経営者は、それを怖いほど知っている。だから、小さな約束にも、こだわる。「小さな約束」を守っているだろうか?「小さな約束」を守るために大きな努力をしているか?自分の行動を見直してみよう。

40   迷ったら時間       14時間以上を仕事に注いでいるか?ピンチの時、なかなかうまくいかない時、そういう時期は、誰にでも、ある。成功し続ける経営者にも、そういう時は、ある。そんな時には何をすべきか?  どうやったら解決できるのか?それは誰にも分からない。あなたの課題は、あなたにしか分からない。しかし、たった一つだけ確実に出来ることがある。成功し続ける経営者は、それをする。だから成功し続けることができる。それは……「時間をかける」ということだ。ピンチになった時、迷った時、まず、すべきことは、「圧倒的な時間を使う」ということ。一日、少なくとも 14時間は仕事に注ぐことだ。(※)逆境なしに成功し続ける社長はいない。成功し続けるためには、何度もピンチを越えなければならない。そんな時、いつでも味方をしてくれるのは、時間だ。 14時間以上、仕事をしているか?意味のある 14時間を、経営に注いでいるか? 14時間やると決める。そんな単純なことが、世界を変えてくれる。    (※)効果的な 14時間は人の 2倍。人の倍をやっていれば、たいてい、何かが見えてくる。

41   変化を愛する      「変化」から目を背けていないか?私たちは「変化の時代」に生きている。そして、変化の時代に大切なのは、強いことでも、大きいことでも、優秀なことでもない。大切なのは「適応する」ことだ。だから、私たちが最も身につけるべき力は「適応力」だ。そんな適応力を磨くために、まず必要なのは、「変化を愛する」ということ。変化を嫌っていたら、変化には適応できない。変化を、恐れていないか?変化を、異常だと認識していないか?変化こそが、常態。変化こそが、新しく挑戦する者にチャンスを与えてくれる。変化を愛し、変化を受け入れよう。

42   経営者は見られている      厳しい時に、下を向いていないか?どんなに優秀な経営者でも、長く経営をやっていると、厳しい時代の一つや二つは、ある。何をしたらいいのか分からず、途方に暮れる時、誰を信じていいのか分からなくなり、孤独を感じる時、何をやっても手ごたえがなく、徒労感だけが残る時、そんな時の一つや二つは、やってくる。それでも経営者は、前を向いていないといけない。胸を張って、上を向いて歩いていないといけない。なぜなら、あなたは、見られているから。あなたは、お客さんから、見られている。あなたは、社員から、見られている。あなたは、社会から、見られている。人は、下を向いている人から、商品を買いたくないものだ。人は、元気のない人には、ついていきたくないものだ。社会は、そういう人に、何かを任せたくないものだ。だから、経営者は、まず、上を向くこと。どんなに辛い時でも、我慢して、上を向いていること。それは経営者の「大切な仕事」だ。

43   唯一の成功法則      「成功法則」を探し続けていないか?あきらめよう。経営に「近道」はない。正しい道はあるかもしれないが、近道はない。しかし、近道を探すのに忙し過ぎて成功するヒマがない……そんな経営者が多い。誰もがうまくいく……そんな都合のいい成功法則など、あるはずがない。唯一、あるとすれば、この法則。  ( 1)考える   →( 2)気付く           ↑               ↓  ( 4)失敗する ←( 3)行動する・改良する成功者は、このサイクルを繰り返しているだけだ。近道なんて、していない。近道なんて、探していない。人より速く、このサイクルを回しているだけ。近道を探していないか?近道を探すことに忙しくて、進むことを忘れていないか?あなたの仕事は、近道を探すことではない。成功に向かって一歩一歩、進んでいくことだ。たとえ、それが少し遠回りであっても、全速力で駆け抜ければ、近道を探してさまようよりも、ずっと早くゴールに近づける。「全速力で遠回り」それくらいの気持ちで行こう。

44   社長力の 3大要素      心・技・体を磨いているか?経営の成功は「社長力」で決まる。ビジネスの良し悪しが成功を決めるのではない。経営資源の豊富さが成功を決めるのではない。小さな会社であればあるほど、経営の「成功と継続」は社長にかかっている。経営者は、この単純な現実を、もっと深く理解しないといけない。そして「社長力」を磨き続けないといけない。社長力は様々な要素で構成されているが、大きな要素は「心・技・体」だ。〈社長力の 3大要素〉  (心) E Q、メンタル、考え方、感性  (技) I Q、テクニック、技術、知性  (体) R Q、リソース、体力、資源3つの要素に、偏りはないか?  バランス良く、磨いているか?経営の継続力は 3大要素の最も低い力と、ほぼ等しい。つまり、失敗の種は最も弱い要素から生まれるのだ。だから最初は得手不得手があってバランスが悪くてもかまわないが、最終的には統合型を目指そう。「社長力の 3大要素」がバランス良く高まった時、経営者としての継続が約束される。心を鍛え、技を磨き、体を整え、「社長力」を磨き続けよう。

45   経営の定義      経営の本質を理解しているか?経営は、人が、人のためにやっている、人の活動。だから、それが、どれだけ収益を上げても、どれだけ大きくなろうとも、どれだけ名声を得ても、人のためになっていなかったら意味がない。経営の定義は、「関わるすべての人を幸せにする仕組み」経営は──あなたの会社が提供する商品やサービスを通して、お客さんのお役に立ち、少しでも幸せになってもらう活動。社会の困りごとや社会課題を発見し、ビジネスを通して、それらを解決して、社会を一歩理想に近づける活動。そうやって社会と関わり、社会に貢献していく行為。経営者は、誇りを持って、その本質を追究していこう。

46   社長は幸せの専門家      幸せのことを真剣に考えているか?経営は、関わるすべての人を幸せにする仕組み。だから、社長は「幸せの専門家」じゃないといけない。そして、幸せのことを死ぬほど考えなきゃいけない。しかし、私たちは驚くほど「幸せ」ということに対して無知。だからこそ、幸せについて、真剣に考えよう。勉強しよう。試行錯誤を繰り返そう。「幸せの専門家」になるための第一歩は、まず、自分の幸せを真剣に考えること。そして、自分を幸せにすること。自分を幸せに出来ない者が、人を幸せにすることは難しい。自分を幸せに出来る者だけが、人の幸せにも貢献出来るようになる。経営者は、それを時々、思い出そう。

47   ミッション      ミッションを掲げているか?会社をつくる時に最初にしないといけないこと。それは「ミッション」を掲げること。ミッションは、使命。あなたの会社が社会から何を担おうとしているのか?どのように社会と関わっていこうとしているのか?「社会における、あなたの会社の役割」それを宣言するものだ。仕事とは、任されごと。誰かから「あなたに任せるよ」と信頼されて任されること。だから、何を任せてもらいたいのか?何を任せてもらって社会に貢献したいのか?真剣に考えないといけない。ミッションは、あなたの会社の存在意義そのもの。あなたの会社が社会に存在する理由。まずは、それを明確にして、社会に、より良く関わり、より良い影響を与える存在になろう。

48   事業計画書      「事業計画書」を作成しているか?成功し続ける経営者のほとんどは「事業計画書」を持っている。しかし多くの会社は「事業計画書」をつくっていない。それは、なぜか?つくっていないのではなく、つくれないのだ。事業計画書は、自分の事業を熟知していないと書けない。自分の事業のことを、深く深く考えていないと書けない。つまり、事業計画を立てられない経営者は、自分のやっている事業のことを、よく分かっていない。よく分からないから、事業計画書から逃げてしまう。自分の事業のことが分からずに成功することは難しい。事業計画書をつくることから、逃げていないか?自分の事業のことを深く考えることから、逃げていないか?事業計画書を持とう。

49   望遠鏡と顕微鏡      「望遠鏡」と「顕微鏡」を持っているか?「望遠鏡」しかない時、経営は、足元から少しずつ、崩れていく。「顕微鏡」しかない時、経営は、ある日突然、吹き飛ばされる。望遠鏡か顕微鏡の、どちらか一つしか持っていない……そういう経営者がほとんどだ。だから、成功し続けることが難しくなる。遠くだけを見る者は「近く」に足をすくわれる。近くだけを見る者は「遠く」に叩き潰される。簡単なことではないが、経営者には両方の視点がないといけない。遠くだけを見つめて、足元を見失っていないか?足元ばかりを見て、遠くの危機を見過ごしていないか?チェックしてみよう。〈虫の目〉で足元を見て、〈鳥の目〉で遠くを見つめる。成功し続ける経営者は、虫の目と鳥の目の二つの目を持っている。そして、木も見て、森も見る。

50   幸せな社長の 3条件      3つの自由は、あるか?幸せな社長には「3つの自由」がある。   1.経済的な自由            優れたビジネスシステムを持っていて、安定した収入がある   2.行動の自由            優秀なチームを持ち、好きな仕事を楽しんでやっている   3.社会的ストレス( 人間関係)からの自由            関わる人たちに認められ、愛し愛される関係になっている経営者が未熟なうちは、自由なんて、得られない。しかし、経営者として成熟すればするほど「3つの自由」を味わうことになる。逆に言うと、3つの自由を味わえなければ、経営者として、まだまだ未熟なのだ。お金に困っていないか?やりたいことが出来ているか?人間関係は良好か?自由で、    愛されて、        お金持ち。幸せな社長は、そんな、ちょっと嫌なやつである。でも、だからこそ、幸せを分け放題にできる。そして、多くの人の幸せに貢献できる。

51   社長の失業      自分を失業させているか?起業時、経営者がすべき仕事は──「すべて」である。事業を安定させることが出来るまで、よほどの人材に恵まれない限り、社長はすべての仕事に関わっていなければならない。だから社長は、めちゃくちゃ忙しい。しかし、社長が忙しいということは、仕事がシステム化されていないということだ。任せるに足る人材がいないということだ。そんな会社が成功し続けることは難しい。仕事を抱えて、満足していないか?社員にも出来る仕事を、やっていないか?自分を失業させているか?社長の仕事は、自分をどんどん失業させていくことだ。

52   社長に残される仕事      社長に残される、大切な仕事は?タイタニック号は、不沈船と呼ばれた。しかし、初航海であっさりと沈没した。それは船の構造が悪かったワケでも、乗務員が一生懸命に働かなかったワケでもない。目の前に迫って来る、「氷山」を見過ごしただけだ。社長に「残される」究極の仕事は、氷山を発見し、それを回避するよう、舵を切ること。または、もともと氷山があるような海に出るのではなく、より安全な海へ船を進められるよう、舵を切ること。そのためには未来を見つめないといけない。社会を見つめないといけない。そして、自社にとって最も良い「方向」を決めないといけない。それは本来、片手間で出来るほど、簡単な仕事ではない。「未来を見つめ、舵を切る」これが、社長に残される、最も大切な仕事。

53   3年後に生き残っている理由       3年後に生き残っている理由を      今日、つくっているか?経営者には、2つの時間の使い方がある。  ( A)今の稼ぎをつくるための時間。  ( B)将来の稼ぎをつくるための時間。事業が未熟な時は  ( A) ∨( B)となる。しかし、事業が軌道に乗ってきたら  ( A) ∧( B)にしないといけない。経営者が( A) ∧( B)であればあるほど、成功の持続力は強くなる。しかし、多くの経営者は、このシフトが出来ない。事業が軌道に乗ってきても、油断して、今の稼ぎだけに埋没してしまう。だから、成功し続けることが出来ない。成功し続ける会社の社長は、未来に生きていないといけない。今の稼ぎをつくること、今日、お客さんに喜んでもらうこと、それらは社員に任せていこう。社長の仕事は、 3年後も喜ばれる理由を、今日、つくること。 3年後をリアルに考えているか?今の稼ぎのためだけに時間を使っていないか? 3年後に生き残っている理由を、今日、つくっていこう。

54   意思決定      決めているか?決めること。右に行くのか、左に行くのか、決めること。その決定によって会社の運命、会社に関わる人の運命が変わる。責任は、重い。それでも社長は、決めなければならない。それが、社長の仕事。自分ですべてを決められるのは、羨ましいなあ……社長になったことのない人は、そう思うだろう。確かに、自分で決められるのは、悪いことじゃない。しかし、その決定には多くの人が関わっている。自己満足で決めるわけにはいかない。また、その責任の重さを、他の誰にも押しつけてはいけない。決めることから、逃げていないか?決めることを、他のなにものかに委ねていないか?意思決定は、経営者の大切な仕事。その重さをシッカリ背負って、今日も、決めていこう。

55   慢心と戦う      「慢心」していないか?「このままでいい」「このまま続くだろう」社長が、そう思った時、その会社の凋落は始まっている。一度、軌道に乗った会社の多くがダメになってしまうのは、ほとんどの場合、経営者の「慢心」が原因だ。自信は持っていい。胸を張って仕事をすることも大切だ。しかし〈自信〉と〈慢心〉は違う。自信は、さらなる努力と成長を生むが、慢心は、怠惰と凋落を生む。慢心することは、とてもラクだ。うぬぼれているのは、とてもラクだ。井の中の蛙でいることは、とてもラクだ。しかし、そんな状態が長く許されるほど、市場経済は甘くない。甘くないからこそ、経済は発展していく。社会はより良くなっていく。だから、しんどくても、自分の慢心と向き合おう。慢心と、戦い続けよう。それも、社長の大切な仕事。

56   困りごとの専門家      「困りごと」を常に探しているか?人や社会の「困りごと」を解消する。そうやって人を幸せにしている。それがビジネスだ。だから、すべての経営は「困りごと解消業」だと言える。よって、「困りごと」を発見し、それを解消し続けられる会社が、成功し続ける会社になる。そう考えると、成功し続ける経営者は、人の「困りごと」に敏感じゃないといけない。「困りごとの専門家」じゃないといけない。人や社会の「困りごと」に関心を持っているか?「困りごと」をいつも探しているか?もし、忘れていたら、世の中には、どんな「困りごと」があるのか?自社のまわりには、どんな「困りごと」があるのか? 100個くらい、書き出してみよう。それくらい書いてみると、今まで意識していなかった「困りごと」にも気付くことがある。誰も発見していない、誰も解消していない、困りごとに気付くことがある。それを解消すれば、多くの人に喜んでもらえる。経営は、困りごと解消業。経営者は、決して、それを忘れてはならない。

57   二つの価値の両立      二つの価値を「両立」しているか?ビジネスには「二つの価値」が必要。   1.絶対的価値   2.相対的価値しかし、多くの会社は、この価値の「両立」が出来ていない。自己満足的に自社開発にのめり込み、市場での相対的価値を忘れている経営者。自社商品の絶対的価値創造は棚に上げて、市場での競争に明け暮れる経営者。経営者は、多かれ少なかれ、どちらかの傾向を持っていて、たいてい、どちらかのパターンに、はまっている。そして、そのどちらも中長期的には、うまくはいかない。「絶対的価値」と「相対的価値」このどちらも意識しているか?両方の価値を上げる努力をしているか?自社が提供している二つの価値をチェックしてみよう。

58   最初の商品開発      商品開発が、      最初から成功すると思っていないか?最初の商品開発は、ほとんど失敗する。だから、   1.許容できるリスクの範囲でやること   2.さっさと始めることこの2つが、実は、とても大事だ。ヒットする商品を生み出すことは、そんなに簡単なことではない。机の上や頭の中から「待ってました!」と叫ばれる商品は生まれない。市場の中にしか、本当の答えはない。しかし、多くの経営者は自分の頭の中だけで完璧な商品をつくろうとしてしまう。自分の頭の中だけで商品を完成させようとしていないか?商品開発に時間をかけ過ぎていないか?結局、その商品が良いかどうかは、リリースしてみないと分からない。だから、さっさと市場に聞いてみることだ。最初から完璧だった商品は、この世に、一つもない。だから、改良する余力を残しておくことだ。優れた商品は、お客さんによって磨かれる。優れた商品は、お客さんと一緒につくっていくものだ。商品開発はリリースしたら終わりではない。永遠に続く。経営者なら、それを楽しもう。

59   分かり易さという商品力      あなたの商品は分かり易いか?「分かり易さ」は大事な商品力の要素である。どんなに良い商品でも、分かり難かったら、お客さんは買ってくれない。【商品力】 ×【分かり易さ】 =【本当の商品力】   100   ×       50%   =   50  ( A)     70   ×     100%   =   70  ( B)買われるのは( B)のほうである。自分がお客さんの立場に立った時、「分かり易さ」は大事な購買決定要因になっているはずだ。しかし提供する側になると、多くの経営者は、それを忘れてしまう。「分かり易さ」を商品力の一部だと考えているか?商品の良さが伝わり易い工夫をしているか?お客さんの立場になってチェックしてみよう。「分かり易さ」を向上させるだけで、商品力は飛躍的に向上する。

60   値決めこそ経営      それは      どれだけ考えた上での「価格」なのか?価格は非常に大きな意味を持っている。どれだけ商品力があっても、どれだけ営業力があっても、価格が悪いだけで、ビジネスはうまく回らなくなる。それにもかかわらず、多くの経営者は「てきとう」に価格を決めてしまう。そうやって曖昧に決めた「理由のない価格」でうまくいくほど、ビジネスは甘くない。値決めは極めて大切だ。だから経営者は値決めのプロじゃないといけない。なぜ、その価格なのか?徹底的に考えて「理由のある価格」を設定しよう。

61   ポジショニング      ポジショニングを      徹底的に考えているか?小さな会社は弱者だ。しかし、弱者に甘んじる必要はない。弱者だからこそ、出来る戦略もある。その重要な戦略の一つが、「ポジショニングを徹底的に考える」ということだ。ニーズが多様化・サービス化する成熟した経済社会では、大きな会社には、やり難い分野が、たくさん出てくる。そういった分野に大きなビジネスチャンスがある。優れたビジネスモデルを持つ会社の多くは、【ポジショニング】を徹底的に考えている。

そして、大きな会社が参入し難い場所、競争相手の少ない場所でビジネスを行っている。だから、競争による消耗が少ない。だから、圧倒的に費用対効果が高く収益性が高い。自社が市場の中でどの場所に位置するか?その場所はライバルが少ないか?徹底的に考えよう。

62   ポジショニングとミッション      ポジショニングとミッションを、      「同期」させているか?ポジショニングを深く考えていると、会社が目指すべき「ミッション」に気付く。なぜなら、市場におけるポジションというのは、自分たちが社会から担う「役割」に他ならないから。その役割を、社会性を持って強く意識した時、役割は「使命」(ミッション)になる。そのようなポジショニングとミッションの考え方を持ち、それらを「同期」させている会社は、本当に強い。あなたの会社のミッションが、いくら社会から必要とされているものであっても、同じポジションに多くの会社が存在していたら、競争が生まれる。競争の激しい場所で、日々、戦いながら、生き生きと仕事をしていくことは難しい。だから、ポジショニングとミッションは、ワンセット。これを覚えておこう。

63   売る力      「売る力」を磨いているか?経営は売れないと続かない。どんなに優れた商品を持っていても、どんなにマネジメントが優れていても、売れないと、続かない。だから「売る力」がとても大事。それにもかかわらず、どうやったら、売れるのか?どうやったら、買ってもらえるのか?知らない経営者が多過ぎる。学ぼうとしない経営者が多過ぎる。売れなければ、経営は絶対にうまくいかない。その簡単な事実から、目を背けてはいけない。幸運にも、売る力は、才能だけでは決まらない。磨き上げられるものだ。売る力を、磨いているか?営業力を、高めているか?「売る力」を徹底的に磨いていこう。

64   売上の 3大要素      「売上の 3大要素」を高めているか?売上を上げる方法は、とてもシンプルだ。それは、たった3つしかない。   1.新しいお客さんを増やす(顧客数)   2.一人当たりの販売量を増やす(販売単価)   3.購買頻度(リピート)を上げる(購買頻度)【売上 =(顧客数) ×(販売単価) ×(購買頻度)】売上は会社の生命線の一つだ。だから売上に対する悩みは尽きない。しかし、大切だからと言って複雑に考える必要はない。むしろ単純に考えることのほうが、悩みを解決するためのアクションにつながりやすい。だから売上で悩んだら、まず、この〈売上の 3大要素〉をチェックしてみよう。新しいお客さんは増えているか?一人当たりの販売量は増えているか?購買頻度は上がっているか?そして、それぞれの要素で、すべきこと、出来ることを列挙し、優先順位の高いことから取り組んでいこう。悩んでも、売上は上がらない。行動だけが、売上を支えてくれる。

65   売ることのメンタルブロック      「売ること」を      悪いことだと考えていないか?今日も、多くの会社が舞台から去っていく。その大きな原因の一つは、「売れない」ということだ。では「売れない原因」は何だろうか?そこには意外な原因がある。それは──経営者が【売ること =悪いこと】という、思い込み( =メンタルブロック)を持っているということだ。売れない経営者は、売ることに、どこかで「罪悪感」を感じている。だから、売るという行為に懸命になれない。懸命にやらないで、ちゃんとできるほど営業は甘くない。また、社長が売ることに抵抗感を持っていたら、それは社内にも広がっていく……そして「売れない会社」になってしまう。売れない会社をつくっているのは、実は、社長であり、社長が持つ、売ることに対する否定感なのだ。小さな会社の社長は〈優秀な営業マン〉じゃないといけない。売る努力をする前に、売る技術を磨く前に、売ることを、全肯定しよう。

66   商品力と営業力      売れない理由を      商品のせいにしていないか?売れるためには、2つの力が必要だ。   1.商品力   2.営業力そして、売れるかどうかは2つの力の掛け算で決まる。  〈売れる =商品力 ×営業力〉これは多くの経営者が、分かっているようで分かっていないことだ。特に開発型の経営者は「良い商品をつくれば、勝手に売れる」と思っている。そして、自社の営業力のなさを無視しようとする。残念ながら、どんなに「商品力」が高くても、「営業力」がなければ、商品は売れない。  商品力   ×  営業力   =  売れる   100   ×     0     =     0売れるようになるためには、2つの力の「両方」が必要なのだ。だから、商品力だけに依存するのは極めて危険なことだ。それでは、成功はできても、成功し続けることは難しい。大切なのは、2つの力を「それぞれ」高めていくことだ。商品力に依存しない会社を目指そう。

67   顧客台帳      「顧客台帳」は、あるか?商人が金庫に入れるべきものは、お金ではない。「顧客台帳」だ。昔の商人は顧客台帳を最も大切にしていた。だから店が火事になっても顧客台帳だけは燃えないような細工をしていた。(※ 1)店がなくなっても、蔵がなくなっても、顧客台帳さえあれば、商売を再スタートできると知っていたからだ。商売は、お客さんがいないと成り立たない。この当たり前の事実を、経営者は、もっと深く考えなければならない。あなたの会社に顧客台帳はあるか?顧客台帳の価値を深く理解しているか?(※ 2)なかったら、今日、つくろう。ホコリをかぶっていたら、ピカピカにしよう。顧客台帳は、商売のバイブルだ。そこに、すべてがある。  (※ 1)江戸時代の呉服店などでは「大福帳(だいふくちょう)」という、水に溶けないように、こんにゃくで作った紙で顧客台帳を作っていた。火事になると、それを井戸に投げ入れて顧客台帳だけは守り、火事ですべてを失っても、残った顧客台帳を元にまた商売を始めて復活したのである。  (※ 2)富山の薬売りは「懸場帳(かけばちょう)」という顧客台帳を、とても大切にした。実際、引退する時には、それは高値で売買された。

68   お客さんの段階      すぐに商品を売ろうとしていないか?知り合って間もない異性に、すぐに結婚届を渡す人はいない。しかし、ビジネスの現場では、似た行為をしてしまっていることがある。知り合って間もないころに、商品を売ろうとしていないだろうか?だから、お客さんは逃げてしまう。恋愛もそうだが、すべての人間関係には【段階】がある。お客さんには「段階別対応」が必要で「6つの段階」があり「5つの対応」がある。【6つの段階】  知らない( 1)     →  認知( 2)       →  興味( 3)         →  検討中( 4)           →  成約( 5)             →  ファン( 6)【5つの対応】   1.知らない人に知ってもらう活動   2.知った人により興味を持ってもらう活動   3.興味を持った人に問い合わせをもらう活動   4.問い合わせをもらった人に購入してもらう活動   5.購入してもらったお客さんに継続的にお付き合いしてもらう活動それぞれの段階のお客さんが必要としているものは違うから必要な対応も違う。それぞれ個別に考えて、個別に対応する仕組みをつくろう。

69   お客さんは親友      お客さんが大切な親友だったら?大切にしている親友が、お客さんになるとしたら?どんな商品をつくり、どんな売り方をして、どんな商売をするだろうか?大切な親友に、その商品を売るだろうか?大切な親友に、その売り方をするだろうか?この考え方が原点にある会社は、お客さんと深い信頼関係を築くことができる。信頼のあるところにしかビジネスは生きられない。「お客さんは大切な親友」そう思ってビジネスをしていたら、間違いは少ない。

70   行列      行列をつくっているか?人は、商品を見定めて買っているのではない。人は、人が買うのを見て買っている。成功し続ける経営者は、このことを深く理解している。だから、行列をつくる工夫をする。それを知らない経営者は「あそこの商品はヒットしていいなあ」「うちも、あやかりたいものだ」なんて考えている。行列は商品力によって、勝手に出来るものだと考えている。しかし、行列は、ただ、自然に出来るのではない。そこには、工夫がある。例えば、老舗店などが「包装を丁寧にする」というアクションは、お客さんに丁寧に接しているという印象を持ってもらいながら、レジでのお客さんの滞留時間を長くする、という意味も持っている。老舗は、実に、こういう所がうまい。洗練されている。デパ地下などの優秀な店舗も、実は、ある程度は計算して行列をつくっている。あなたの会社に、こういった工夫はあるか?他の人が買っている姿を新しいお客さんに見せているか?考えてみよう。リアルに購買の瞬間を見てもらえない業種でも、「行列」( =社会的な証明)はつくれる。【お客さんの声】を集めて公開すればいい。ホームページに掲載したり、パンフレットに載せたり、お客さんの目に付き易い場所に載せて、既存のお客さんの「存在」を見てもらう。それが「既に買ったお客さん」がいる証明になる。そして、新しいお客さんを呼んでくれる。だから、最初のお客さんたちは、とても大切だ。最初のお客さんは、実績のない自分たちにかけてくれた、かけがえのない存在だ。だからこそ、最初のお客さんには徹底的に満足してもらおう。そういう気持ちが大事。そして、満足してくれたお客さんが「喜びの声」を発してくれたら、また次のお客さんが集まってくれる。そうやって【良い循環】は生まれていく。

71   会社の顔      会社の顔を洗っているか?顔を洗わないで、商談に行く人はいない。しかし、お客さんや社会との最初の接点であるホームページ( H P)を、洗っていない会社は、驚くほど多い。集客は、会社の生命線。 HPは、その集客における重要な手段の一つであり、非常に優秀な営業マンになりうる。それにもかかわらず、 HPをほったらかしにしている会社は多い。 HPは一度つくったら終わりだと思っていないか? HPが見られていることを、 HPで判断されていることを、忘れていないか?顔を洗わない人が信用され難いように、 HPを洗っていない会社も信用され難い。 HPは会社の顔。定期的に洗って、常に最高の顔を保っておこう。

72   長い道のりへの対処法      軌道に乗るまでの「長い道のり」を      乗り切るには?新しく始めた会社の商品が、実際に売れて軌道に乗るようになるまでには、長い道のりがある。それを乗り越えるのは簡単なことではない。折れそうになることもある。投げてしまいたくなることもある。そして、自分を信じられなくなってしまうこともある。そんな時に、力になってくれることが、2つある。   1.ミッション(あなたの会社が社会から担う役割 =使命)   2.喜びの声(あなたの会社がお客さんから喜んでもらった声)辛くなったら、まず、ミッションを思い出そう。そして、自分が何のために、この仕事をしているのか?なぜ、この商品を売っているのか?自分に優しく問いかけよう。そして、原点を思い出そう。次に「ありがとう」と言われた言葉を思い出そう。それを思い出せれば、自分が社会の役に立っている事実を思い出せる。そして、自分の行動を肯定できる。結果を創る努力を積み重ねていくためには、自分の行動を心の底から肯定することが大切だ。それが揺らいだ時は、ミッションと喜びの声を思い出そう。

73   財務三表      「財務三表」を理解しているか?経営者が経理をする必要はない。領収書を整理したり、仕訳を起こしたり、財務諸表をつくる実務をする必要はない。しかし、それらを読む必要はある。それらを理解する必要はある。財務諸表は会社の体温計のようなものだ。読めないと、平熱なのか?  熱があるのか?  分からない。会社の健康状態が把握できなくなったら、危険な状態であることすら分からなくなってしまう。会計が苦手な経営者は多いが、そんな状態で経営を継続しようと考えるのは、無理がある。「財務三表」だけでも読めるようになっておこう。   1.貸借対照表   2.損益計算書   3.キャッシュフロー計算書

74   資金繰り表      「資金繰り表」を見つめているか?会社は、お客さんが一人もいなくても、大赤字でも、潰れない。会社は、お客さんが十分にいても、黒字でも、潰れる。この点を深く理解していないと、経営は続かない。会社が継続できなくなってしまうのは、お金がなくなった時。だから、自社が保有する資金残高の流れを見ることは、経営管理上、最も大切な活動の一つだ。資金繰り表をつくっているか?資金残高の流れを見つめているか?資金の見通しをつけているか?会社が成長期に入れば、さらに資金繰りの重要度は決定的になる。だから、会社を成長軌道に乗せられる自信のある人ほど、起業時から「資金繰り表」をつくって、少なくとも 3カ月後の資金の状態を想定できるようにしておこう。

75   資金を生み出す手段      資金を「生み出す」工夫をしているか?お金が足りなくなってきた時、成功できない会社は、お金を借りる。成功し続ける会社は、お金を生み出す。お金が足りなくなるのは、入ってくるお金と出ていくお金の収支に差があるからだけではない。入ってくるお金と出ていくお金の時間に差があるからだ。だから、その差をコントロール出来ると、お金を「生み出す」ことが出来る。大企業は、その典型だ。 6カ月後の支払手形を、もらったことのある人も多いだろう。小さな会社は大企業のようにはいかない。それは、信用がないからだ。しかし、普段から必ず期日どおりに支払いを行い、信用をつくってきた経営者には出来る可能性が高い。一日でもいいから、支払いを定期的に遅らせてもらえる方法はないか?(※ 1)一日でもいいから、入金を定期的に早めてもらう方法はないか?考えてみよう。たった一日ずつだか、それが出来れば二日分の資金が生まれる。二日は月の約 7%。(※ 2) 7%の利益とキャッシュフローを出すことは簡単ではないし、出せる会社は少ないが、 7%の資金を生み出すことは出来る。たった一日、されど一日。  (※ 1)あくまで「定期的」にお願いするベースであることに注意。          不定期に支払いを遅らせることは信用を失うことになる。  (※ 2)これは平均化された数字であるから 7%なだけであって、          一日と一日(二日分)のズレは、もっと大きなインパクトになる可能性もある。          例えば、月末に売上の入金と費用の支払いが集中していたとしよう。          売上は翌月末に入金され、費用は当月末の支払いだったとして、          入金を末日の前日、支払いを末日の翌日に変更してもらえたとすると、          二日分ズレて、翌々月の末日での資金の差は、          (月額売上 |月額支払い × 2)(月額売上 |月額支払い)となり、          【 1カ月分の費用】相当の違いが出る。          支払いは、どうしても月末などに集中しがちだから、          一部を分散させるだけでも、資金繰りはラクになることが多い。

76   愛とお金の交換      ラクに資金を調達しようとしていないか?銀行から資金を調達するのは、簡単ではない。あらゆる手を尽くして、自分たちが信頼できる存在であることを「証明」しなければならない。実績が乏しい時に、それをすることは非常に難しい。しかし、だからと言って、友人や家族から借りるという手段を簡単に使う経営者が多過ぎる。愛とお金を交換してはいけない。(※)彼らから借りるのは、最後であって、最初ではない。自らの信頼性や将来性を証明することは難しい。しかし、だからこそ、それをする過程で、あなたとあなたの事業は磨かれていく。安易に、すがるのではなく、はいつくばって、自分を証明することを選択しよう。    (※)友人や家族から借りた資金は貴重で尊いが、お金で大切な関係が壊れることは、よくある。ただ、友人や家族がエンジェル的である場合は別。見返りを期待せず応援してくれるのなら関係を維持できる可能性がある。

77   一円の重み      一円の重みを感じているか?一円は、重い。この「重み」を知っている経営者は強い。一円を使うのは、ものすごく簡単だ。しかし、一円を稼ぐのは、ものすごく難しい。この重みを知っているから、成功し続ける経営者は一円を大事にする。だから、利益を出し続けられる。一円を稼ぐ難しさを、忘れていないか?一円の重みを感じて、一円を使っているか?一円の重さを、いつも感じていよう。

78   売掛金      「売上」だけを見ていないか?入金されていないものは、売上ではない。入金されていなければ、仕事をしたとは言えない。成功し続ける経営者は、そう考える。しかし、売上だけを見て安心している経営者。仕事が終わって満足している経営者。そういう経営者は驚くほど多い。そういう会社は売掛金を溜め込んで、「黒字倒産」の予備軍になっていく。黒字倒産ほど悲しい倒産の仕方はない。しかし、多くの会社は代金回収の問題で倒産する。売上だけを見ていないか?売上が計上された時点で満足していないか?売上は必ず「入金ベース」で見るようにしよう。

79   支払いの価値      支払いを 1秒たりとも      遅らせていないか?経営は【信用】で成り立っている。もっと言うと、資本主義経済そのもの、貨幣経済そのものが、信用によって成り立っている。だから、自分以外の他者( =社会)からの信用を築くことの出来る会社だけが、成功するし、成長し続ける。信用とは【約束を守る】ということだ。ビジネスにおいて最も大切な約束の一つは、価値を受けた代金を、約束した通りにキッチリと支払うということ。それは、基本中の基本で当たり前のことだ。残念なことだが、その当たり前のことをキッチリと出来る社長は少ない。だからこそ、それを大切にし、死に物狂いで支払いを守る姿勢を持つ人は信用される。たとえ、今が苦しくとも、信用がある会社には未来がある。しかし、信用がない会社には未来がない。「あそこは、支払いがキレイだ」そう言われる会社になろう。

80   間接部門      「間接部門」が       15%以上になっていないか?会社が成長するための、〈推進要因〉は、商品力や営業力だが、〈阻害要因〉は、管理力だ。管理力だけが強くても会社は成長できないが、管理力が弱いと会社の成長は止まる。だから、会社が成長している時は、間接部門が「強く」ならないといけない。しかし、間接部門を「成長」させてはいけない。間接部門は肥大化しやすい。そして経営を少しずつ圧迫していく。成長したにもかかわらず収益性が悪くなる会社は、たいてい間接部門が一緒に成長してしまっている。収益性の高い会社は、間接部門を肥大化させない。間接部門の割合は低く、 15%以下になっていることが多いが、間接部門がつくりだす管理力は高い。つまり、成功している会社は、「小さくても強い」間接部門を持っているのだ。間接部門が、肥大化していっていないか?間接人員は、 15%以下になっているか?チェックしてみよう。

81   「仕組み化」発想      井戸を掘っているか?成功する経営者は、水を汲みに行くのが速い。成功し続ける経営者は、井戸を掘るのが早い。この二人の経営者にある決定的な差は、「仕組み化」の発想だ。一旦は成功するが、継続的に成功出来ない経営者は、実は、仕事が出来るからこそ、成功し続けることが出来ない。水なんて、いつでも汲んでこられるさ……心のどこかで、そう考えているから、「仕組み化」するという発想を軽視する。だから、安定的な経営、効率的な経営が出来なくなってしまう。毎日、水を汲みに行くか?井戸を、掘るか?あなたは、どちらを選ぶだろう?

82   自動販売機      「自動販売機」を手本にしているか?「仕組み化」の究極のモデルは自動販売機だ。自動販売機ではビジネスの仕組みにおける大切な要素が、ほとんど自動化されている。   1.お客さんを見つける(集客)   2.商品を紹介する(営業)   3.商品を提供する(販売)   4.集金する(回収)もちろん、商品開発や製造、在庫管理は別のプロセスで行われるが、この4つの仕事が仕組み化されているのは、素晴らしい。物事は「究極」を考えると前に進むことが多い。だから、「自動化なんて無理だよ……」そんな言い訳をする前に、あなたのビジネスを自動販売機にするには、どうすればいいか?必要なパーツと働きは何か?真剣に考えてみよう。「究極」を「真剣」に考えたら、何かが変わる。

83   社長不在の日      「社長不在の日」をつくっているか?仕事が出来る経営者は多い。しかし、仕事の仕組み化が出来る経営者は少ない。仕組み化は会社の継続性に大きな影響を与える。それにもかかわらず「仕組み化」が苦手な経営者は実に多い。だから、一時的に成功する経営者は 50%いるが、 10年以上成功し続けられる経営者は 4%しかいない。仕組み化に慣れ、取り組んでいくためには、まず、仕組み化するという発想に慣れないといけない。そのためにお薦めなのは、強制的に仕組み化の発想を促す方法だ。「社長不在の日」をつくるのである。自分がいなくても回るようにするには、どうすればいいのか?自分がやらなくても済むには、どうすればいいのか?この発想を常に持ち、仕組み化をし続けることが、経営の継続力を格段にアップさせる。また、社長不在は自立型組織を促すためにも非常に役に立つ。社長不在が社長依存の体質を弱め、社員の自立を促すのだ。「私がいないと会社はダメだ」そんな風に考えていないか?社長がいて、生まれるものもある。社長がいなくて、生まれるものもある。「社長不在の日」を、つくろう。(※)    (※)最初は、まず、 1日。その日は会社と連絡も取れないようにする。それが出来たら、次は 3日。我慢できそうになかったら連絡し難い場所(海外など)に出張する。数週間の不在が出来るようになったら、かなり「ビジネスの仕組み化」と「組織の自立化」が出来ているはずだ。

84   チームをつくる      チームを、つくろうとしているか?継続する経営には「総合力」が必要だ。しかし、社長が万能であるハズがない。得意な分野もあれば、不得意な部分もある。人は誰でも、不得手で嫌な仕事がある。そんなことを、どれだけ一生懸命にやっても大きな価値は生み出せない。だからこそ、チームをつくる。あなたにとって、不得手で嫌な仕事は、誰かが得意で好きで 24時間やっても飽きない仕事かもしれない。誰かにとって、不得手で嫌な仕事は、あなたが得意で好きで 24時間やっても飽きない仕事かもしれない。人には違いがある。その違いを組み合わせて最良を生み出していくこと。それがチームビルディングの醍醐味だ。チームをつくろう。それによってメンバーの一人ひとりが輝けるようになる。

85   理想のチーム      理想的なチームとは?経営者が目指すべきチーム。その理想像の一つは、【自立型のチーム】メンバーの一人ひとりが、自ら考え、自ら判断し、自ら行動し、自ら成果を出す。そういうチーム。そうやって一人ひとりが主体的に動きつつ、良い意味で依存関係にある。そういうチーム。社員だって、管理されたいわけじゃない。社長だって、管理したいわけじゃない。簡単ではないが、自立型のチームが出来れば、全員が良い意味での自由を持って仕事が出来る。だから「自立型のチーム」をつくることを目指そう。

86   自立型チームをつくるコツ      仕事観を共有しているか?自ら考え、自ら判断し、自ら行動し、自ら成果を出せる。そんな自立型のチームは、支配力や権威性や仕組みで、つくることは出来ない。自立型のチームをつくる基礎は、「仕事観を共有する」ことだ。そして、最も共有すべき仕事観は、仕事が人生において持っている価値の大きさを理解すること。「仕事は、人生において、非常に大きな意味を持っている」それが腹に落ちたメンバーは、勝手に、そして自然に、仕事を大切にし始める。仕事を大切にする気持ち。それがすべてのエネルギーのもとになる。仕事が人生で持つ意味を、考え続けよう。そして、それを伝え続けよう。それが社長の仕事。

87   チームの自立を阻む存在      自立型のチームをつくれない      「最大の理由」に気付いているか?経営者になると、一度は見る、夢がある。それは、社長自身がいなくても、日常業務が回り、経営が成り立つチームを持つことだ。同時に、悪夢も見る。それは、社長自身がいなくても、日常業務が回り、経営が成り立つチームを持つことだ。社長は自立型のチームが出来ることを、最も求め、最も恐れている。多くの経営者が自立型のチームをつくれない理由は、実は、社長自身の「恐れ」にあることが多い。社長は「社長、社長!  お願いします」と頼られることで、自分の存在価値を、日々、確認している。頼られる社長でいることで、自己重要感を満たしている。社長であるということだけで、日々、自分を癒している。だから、社長は心の底では自立型チームを目指さない。本気で、チームを自立させようとはしない。頼られる存在であることを、手放そうとしない。チームビルディングに取り組む時、最も深い問題であり、最も高いハードルは、社長の、このメンタルな部分にある。まずは、それを知っておこう。

88   社員はパートナー      社員を「パートナー」だと考えているか?経営はオーケストラのようなものだ。バイオリン奏者が、どれだけ上手に演奏しても、クラリネット奏者が、どれだけ上手に演奏しても、指揮者がいなければハーモニーは生まれない。同じように、指揮者が、どれだけ素晴らしくても、指揮者が、どんなに頑張っても、それぞれの演奏者が下手だったらハーモニーは生まれない。より良い結果を導くためには、演奏する者たちと統合する者たちの両方が必要だ。どちらが欠けても、どちらかの実力が不足していても、最高の結果は得られない。この事実を冷静に考えた時、経営者と社員の関係は〈パートナーシップ〉であることに気付く。パートナーシップとは、お互いがベストであれば、対等であるということだ。(※)しかし、チームビルディングに失敗する多くの経営者は、この考えをベースに出来ない。確かに、「社員はパートナー」だと心の底から感じるのは難しい時がある。力の不足している依存型の社員に囲まれているのなら、特にそうだろう。しかし、それに慣れ、パートナーシップの考えを忘れてしまうと、力のある自立型の社員との関係を築くことは難しくなる。つまり、会社にとって最も必要な社員との関係を、築くことが出来なくなるのだ。経営者は、社員より上でなければならないと思っていないか?雇用しているのだから、命令すれば良いのだと思っていないか?優れた者たちは、職位で動くのではない。職位で動かされるのではない。役割で動くのだ。「経営者」も、一つの役割に過ぎない。優れた者たちと優れた仕事をし、最高の結果を得たかったら、このことを絶対に忘れてはならない。    (※)実際は、小さな会社では、経営者のほうが圧倒的に力のある場合が多い。          だから現実的には対等ではない。もし対等な関係が出来るほどの人材がいたら、          それは本当に価値がある。大切にしよう。

89   ナンバーツーの存在      右腕は、いるか?社長の仕事は、会社が永続するための「すべて」である。そこから逃げることはできない。しかし、どれだけ優秀な経営者であっても、一人で、すべてが出来るわけではない。得手もあれば、不得手もある。だから経営上のパートナー( =右腕)がいたほうがいい。そして、その関係性は、「相補完的」であることが望ましい。優秀な人間同士が相補完関係でチームを組むこと。この効果は、本当に大きい。しかし、多くの失敗する経営者は、ラクだからと感じて、自分に近い者や似ている者を選んでしまう。ナンバーツーの存在価値を分かっているか?自分とは違う優秀性を持った人物を選択しているか?チェックしてみよう。

90   育成の責任      部下が成長しないことを      「部下のせい」にしていないか?成功し続けられる会社は、人を育てる。しかし、多くの経営者は、これが出来ない。だから、多くの会社は、安定しない。多くの経営者が人を育てられない根源的な原因は、「育成する能力」にあるわけではない。それは「経営者の自覚」にある。確かに、人を育てるのは難しい。だから、それをスケープゴートにする経営者は、「人を育てるのは難し過ぎる」と言って嘆く。人を育てる覚悟も力量もなく、かつ言い訳を探している経営者は、「うちの社員はデキないやつばかりだ」と言ってボヤく。あなたも、そんな経営者の一人になっていないだろうか?部下が成長出来ない責任を、部下のせいにしてはいけない。部下が成長しないのは、上司の責任。上司が部下を育成できないのは、社長の責任。「人を育てる」という極めて大切な仕事の責任は、すべて、上司にある。社長は、すべての社員の上司。部下の「育成の責任」をキッチリと受け取ろう。

91   1000回伝える覚悟       1000回、伝えているか?「ちゃんと言ったのに……」「きつく言ったのに……」「なぜ、出来ないんだ?」「なぜ、変わらないんだ?」どの会社の社長室からも聞こえてきそうな言葉だ。しかし、そんな風にボヤいてばかりいる社長は、チームビルディングが出来ない。人を育てることが出来ない。だから、成功し続けることは難しい。経営者は深く理解しなければならない。「人は、簡単には変わらない」この事実を深く理解しなければならない。人はすぐに変わるものだと勘違いしていないか?一回言ったら、それで人が変わると思っていないか?マネジメントの強制力で簡単に人が変わると思ってはいけない。その前提を持たないと人を育てることは出来ない。その一方で、多くの人は心のどこかで「変わって成長したい」とは思っている。だから、その手助けをするのが経営者の大切な役割の一つ。部下の成長を支えるために、経営者が出来る最も簡単な方法は「何度でも伝える」ということだ。「一回言ったら、変われよ」そう思っていないか?「何度言ったら、いいんだよ」そう嘆いていないか?同じことを 1000回伝える覚悟を持とう。それが社長の役割。

92   やる気マネジメント      「やる気」を「マネジメント」しているか?経営は、人が、人のためにやっている、人の活動。だから人の「やる気」は重大な意味を持っている。特に、小さな会社では、メンバーの一人ひとりの「やる気」が大きく影響し合う。だから「やる気」になってもらうために、コミュニケーションを増やすという経営者は多い。「もっとがんばれ!」「ダメじゃないか!」と繰り返し言うことで、メンバーの「やる気」に火をつけようとする。確かに、それも大切な方法の一つだ。しかし、そのやり方では、内発的な「やる気」は生み出せない。また、経営者自身の「やる気」の波によって、チーム全体の「やる気」の波が決まってしまう。それでは、いつまで経っても、チームとしての「やる気」は安定しない。人の「やる気」には波がある。だからこそ、まず「やる気をマネジメントする」という発想を持とう。メンバーの「やる気」を下支えする最も効果が高いサポートの一つは、「喜びの声」を集めるという仕組みにある。人がやる気になるのは、人に喜ばれた時。人に喜ばれた時、人は最も嬉しいし、もっと喜ばれたいと願う。「ありがとう」「助かったよ」と言ってもらうと元気が出る。誰かの役に立っている。社会から必要とされている。それを知れたら、自分たちの仕事を肯定できる。それが、やる気につながる。だから、お客さんや関わる人に喜んでもらったという声を聞くことは、「やる気」の下支えになってくれる。お客さんの「喜びの声」は「心の栄養」であり、「やる気」の【源泉】だ。「喜びの声」を積極的に集める努力をしているか?「喜びの声」をメンバー全員にシェアする努力をしているか?それが仕組みになっているか?なければ、早急に準備しよう。メンバーの「やる気」が枯渇してしまう前に。

93   良いチームの第一条件      悪口が蔓延していないか?「チームを変えたい」そう思ったら、最初に取り組むべきことが一つある。それは──「仲間の悪口を言わない風土」をつくることだ。良いチームには、ない。悪いチームには、ある。それが、悪口と陰口だ。悪口陰口文化がチームの中にある限り、チームは良くならない。仲間の悪口を言っていないか?それが恥ずかしいことだと教えているか?悪口陰口は、チームのバロメーター。常に気をつけて悪口陰口のないチームを目指そう。それは、良いチームの第一条件。

94   小さな会社の採用戦略      小さな会社だからこその      【採用戦略】をとっているか?小さな会社であればあるほど、「採用」は重要だ。それは小さな会社であればあるほど、 1人が全体に及ぼす影響が大きいからだ。 1000人いる会社では、 1人が持つ影響力は、たった 0. 1%。しかし、 10人の会社では 10%の影響力を持っている。だから、採用が極めて重要なのだ。しかし、小さな会社は大企業と同じような、採用活動は出来ない……そう思い込んでいる経営者が多い。しかし、大企業と同じ土俵で勝負する必要などないし、してはいけない。小さな会社には、小さな会社にしか出来ない採用戦略がある。「小さな会社の採用戦略」は、小さなことを「売り」にすることだ。大企業のように規模や知名度、福利厚生などで勝負するのではなく、小さな会社ならではの特権を生かして、優秀な人材に呼びかけるのだ。小さな会社ならではの特権を求めている求職者は、確かに、主流ではない。しかし、相当な数の人材がいることも、確かだ。いつの時代にも、チャレンジャーは存在する。大企業とは違う価値があることを意識しているか?小さな会社が持っている価値を訴えかけているか?「小さな会社の特権」を「売り」にして、優秀な人材を募集し、採用していこう。【小さな会社の7つの特権】   1.成長余力がある   2.分かり易い社会正義を語れる/ミッション/使命感   3.挑戦できる環境/自己裁量の大きさ   4.チームとしての一体感   5.風通しの良い社風・仕事環境   6.社長と近くで仕事が出来る環境   7.経営に携われるチャンスがある

95   社長の影響力      あなたの言動は大丈夫か?子供は、親のマネをしたがる。子供は、大人のマネをしたがる。それは、良いことも、悪いことも。会社の社員も同じこと。上司にとっての部下も同じこと。下は上のマネをする。しかし、マネをするのが大変なことは、たいてい、マネされない。どれだけ良いことでも、大変なことは簡単にはマネしてくれない。反対に、簡単なことは、マネされる。それが、悪いことであっても、簡単にマネされる。部下は簡単にできることから、マネしていく。良いことから、マネしていくのではない。上司は、この事実から目を背けてはいけない。上司の上司は、社長だ。だから社長の言動は多かれ少なかれ、下に伝わっていく。下に伝染していく。あなたの言動は、大丈夫か?マネされて困るようなことを、あなた自身がしていないか?あなたの言動が、最も悪い形で拡大解釈されていく……それが会社だということを、肝に銘じておこう。

96   利益公式      【利益公式】どおりに動いているか?利益は単純な公式で成り立っている。【売上 |費用】 =利益経営が継続できるかどうかは、この公式を「プラスにし続ける力」にかかっている。だから経営者が目指すべき方向は、たった2つしかない。   1.売上を増やす   2.費用を減らすこれは誰もが「知っている」ことだ。しかし誰もが「出来る」ことではない。「知っている」だけの経営者は多いが、「出来る」経営者は少ないのだ。だから、成功し続ける会社は少ない。会社が成長して大きくなってきたり、忙しくなってきたりすると、複雑に考え過ぎるようになってしまって、この単純な公式を忘れてしまう。そして、自分が仕事だと思い込んでいることに没してしまう。利益公式に関係ない仕事を増やしていないか?あなたの今日の行動は2つの方向に向かっているか?常に利益を意識して行動しているか?利益は手段に過ぎない。しかし、それがないと経営の目的は果たせない。常に注意して、利益を出し続ける経営者を目指そう。

97   利益の目的      なぜ利益を出さなければならないのか?一時的に喜んでもらいたかったら、価値あるものを、価値以下の価格で提供し、赤字になればいい。それは、とても簡単なことだ。継続的に社会の役に立ちたいのなら、価値あるものを、価値に見合う価格で提供し、適正な利益を出さなければならない。それは、簡単ではない。経営には多くの人が関わっている。だから、継続できなかったら、多くの人に迷惑がかかる。人の役に立つための経営が人の迷惑になってはいけない。だから、経営者は「経営の継続」を第一に考えなければならない。しかし、失敗する経営者は、利益を出すことが、「お客さんに喜ばれること」に反しているように感じる。そういう言い訳をつくって、利益を出す難しさから逃げてしまう。そして、当然、失敗する。利益を出すことから逃げていないか?一時的に喜んでもらうことに逃げ込んでいないか?「お客さんに喜ばれること」と「利益を出すこと」、この【両立】から逃げてはいけない。利益は、会社とお客さんとの素晴らしい関係を継続させるためにある。

98   利益の種類      何種類の「利益」を見ているか?会社にとって、利益は血液のようなもの。なくなると動けなくなる。だから、当然、利益に目を配る必要があるが、多くの経営者は、利益に対する注意が足りない。あなたは自社の何種類の利益を常にモニター出来ているだろうか?利益や利益率には、いくつもの種類があるが、経営者が見るべき利益は少なくとも6つある。「6つの利益」で「6つの力」をチェックしよう。   1.粗利益(粗利率) =「事業付加価値力」(価値をつくり出す力)   2.営業利益(営業利益率) =「事業力」(事業を運営する力)   3.経常利益(経常利益率) =「経営力」(経営全体の力)   4.社員一人当たり粗利益 =「人財一人当たり生産力」(人の生産力)   5.総資産利益率 =「投資力」(経営資源を活用する力)   6.繰越利益剰余金 =「経営継続力」(長期間経営を継続できる力)事業のタイプや規模によって適正な率や額は違うが、それぞれの力を高めていくことは、どんな会社においても大切。あなたの会社の「6つの利益」は大丈夫か?あなたの会社の「6つの力」は大丈夫か?常にモニターするようにしよう。

99   報酬前利益      「報酬前利益」を意識しているか?人は、道具ではない。人は、手段ではない。人は、目的。だから、人件費を削減して利益を出そうとする行為は、おかしい。それは、最後の手段であって、簡単に手を出すべき手段ではない。失敗する多くの経営者は、この手段を簡単に使う。しかし成功し続ける経営者の多くは、この手段を「禁じ手」だと考えている。だから「報酬前利益」を死守しようとする。【報酬前利益】 =「売上」 |「変動費」 |「固定費(給与・役員報酬を除く)」(※)これが会社の本当の利益である。そして、そこから「利益分配」をする。利益分配の中で最も先に分配をしないといけないのは、社員の給与。社員の給与は、その人の貢献度によって決めるべきだが、経営者が意識しないといけないのは、その多さより安定性が大事だということだ。「社員の給与を安定して出せなければ経営者ではない」それくらいに考えて「報酬前利益」を死守しよう。そして、そうやって歯を食いしばって頑張ることが、経営者としての実力を飛躍的に高めていく。    (※)「報酬前利益」とは、通常の会計で表現される利益ではなく、社員・役員の報酬を除く、会社が価値を提供するために要した、すべての費用を売上から差し引いたもの。

100   目標利益率      目標利益率を何%に設定しているか?会社が目指すべき経常利益率は業界や事業規模によって違うが、この質問を考えることによって想像以上に「高い」必要があることが分かる。「あなたの会社の売上が 1年間で下がる可能性のある率は?」小さな会社であれば 30%程度の売上が下がる可能性は十分にある。その場合、 3年間、毎年 5%の利益が出ていたとしても、税金を払うと、残っているお金は 3% × 3 = 9%これは、 4年に一度、悪い年があると、粗利率にもよるが、剰余金はほとんどなくなってしまうということだ。それにもかかわらず、多くの経営者は 5%程度の利益率が出ていれば安心してしまう。そして資金管理も甘くなっていく。だから、数年に一度、悪い年があるだけで、一気に資金繰りが悪くなり、困窮する会社が多い。小さな会社は、 5%の利益率があっても、リスクに対して大した準備は出来ていないのが現実なのだ。 5%の利益率で満足していないか?未来のために、少なくとも【 10%】を目指そう。(※)    (※)必ずしも経常利益率を 10%にする必要はない。利益の絶対額が少ない時は、役員報酬で取っておいて社長個人で会社にいつでも出資や貸付できるようにしておくと良い。上場企業の平均経常利益率は約 3%だが、安定度・資金力が圧倒的に違う。決して参考にしてはいけない。

101   利益の再投資      利益を、どのように再投資しているか?「雪だるま式に儲かっていった……」そんな経験談の一つや二つは、経営者なら聞いたことがあるだろう。確かに、経営がうまくいくと、そういう状態になる時がある。しかし、それを経験出来るのはダルマの「芯」をつくれる人だけだ。伸び悩む多くの経営者は、この芯をつくることができない。芯がなければ、一生懸命に転がしても大きくなることはない。だから、まず、この芯をつくることが大切だ。そして、この芯をつくるために必要なのが再投資だ。再投資は、どんな会社であれ以下の4つが大切。   1.商品価値の向上のための「開発投資」   2.認知力・営業力を高めるための「広告投資」   3.チーム力アップのための「教育投資」   4.生産性を上げるための「設備投資」小さな会社では再投資の額が多くはないから、再投資をする優先順位も大切。優先順位は業態にもよるが、 1 → 4の順が良いことが多い。利益が出たり、キャッシュに余裕が出てきた時には、消費に走りたい衝動をぐっとこらえて、未来のための投資をしよう。それが、やがて「雪だるまの芯」になる。

102   投資のセンス      「投資のセンス」を磨いているか?失敗する経営者は、ある意味「投資」で失敗している。投資を広義に考えると、その分母(インプット)は、お金だけではなく、自分のエネルギーでもあるし、時間でもある。つまり私たちは、日々、常に投資をしている。そう言っても過言ではない。だから、その投資先を間違えれば、うまくいかないのは当然のことだ。成功し続ける経営者は投資先を間違えない。いつも投資対効果の高いものから優先的に投資をしていく。逆に、投資の下手な経営者は、必要のない所にお金を使って、必要な所にお金を使わない。それらは何倍という差ではなく「次元の違う差」になっていく。だから「投資のセンス」を磨かなければならない。投資センスの向上は「すべては投資だ」と考えることから始まる。「そのリターンは何か?」「どれくらいのリターンがあるのか?」お金を使うあらゆる機会で、そう自問すること。そうやって、すべてを「投資」としてお金を使う習慣が、「投資センス」を磨いてくれる。「経営者に消費はない、すべては投資」それを忘れないで、今日も、お金を使おう。

103   最も賢い投資      「最も賢い投資先」を知っているか?経営者にとって「最も賢い投資先」、それは【自分自身】だ。ちょっと考えれば分かることだが、収入を自分で変えられる可能性のある経営者は、自分に投資することが、最もリターンが高い。その利益率は、圧倒的に高い。世界中のどんな投資先をも、はるかに凌駕する。ケタが違う。起業家の自己投資は、 1万円を 1億円にする可能性を持っている。そんな投資先など世界中どこを探し回ってもあるワケがない。しかし、多くの経営者は、それに気付かない。そして、少しでも利回りの良い投資先はないかと探したり、自己投資をケチったりしている。だからこそ、余計に、自分に「教育」という投資をし、学び、それを実行した者は、圧倒的な差をつけて成功していく。「経営者の自己投資」には無限の可能性がある。それを時々、思い出そう。

104   税金      税金のことを忘れていないか?ビジネスが当たって、たくさんのお金が入って来た時。それは、経営者にとって、達成感のある、幸せな瞬間だ。しかし、そこで忘れてはいけないことがある。それは、そのお金は、すべてが会社のものでも、自分のものでもないということだ。成功すれば「税金」が課せられる。(※)しかし、初めて成功した経営者は、税金のことが分かっていない。その重みが分かっていない。だから調子に乗って消費してしまったり、再投資し過ぎたりする。そして、資金難に逆戻りしてしまう。成功しているのに、自らブレーキを踏む。それほど、もったいないことはない。浮かれて消費に走っていないか?  税金のことを考えてあるか?成功した時ほど注意しよう。経営者であれば、税金のことを忘れてはならない。    (※)税金で忘れがちなのは消費税。消費税は預かり金。国の代わりに企業が回収しているだけなので、売上が増えれば、たいてい増える。利益が出ていて経費の中で人件費の占める割合が高い事業なら、特に注意。確実に消費税がかかってくる。事業構造によって違うが、収支が ± 0なら売上の 1. 5%程度を覚悟しておこう。あとは社長個人の所得税。社長の役員報酬を上げれば会社の法人所得税は下がるが、社長個人の所得税は増える。住民税などは前年ベースで計算されるので、収入が多い年があったら翌年に気をつけよう。

105   税知識と勲章      「経営者の勲章」を受け取っているか?経営者の成功度を簡単に知る方法がある。それが「税知識」だ。税金に対する知識は、経営者の成功度によって、まったく違う。失敗する経営者は、税金のことを知らない。成功する経営者は、税金のことに詳しくなる成功し続ける経営者は、税金のことを忘れる。経営が未熟なうちは、税金は、あってないようなものだ。だから、あまり意識する必要がない。しかし、一度、成功すれば、税金は大きな支出の一つであることを知るだろう。支出に対して、経営者が詳しくなるのは当然のことだ。だから、成功した経営者は税金に詳しくなる。税金は、最初、意味のない支出に感じられる。どれだけ支払っても経営の質が上がるわけではないからだ。しかし、払い続けているうちに別の意味にも気付く。税金は成功すればするほど負担するようになっている。そして、そのお金で社会はより良くなっていく。だから税金は「経営者の勲章」とも言える。そのことが深く腹に落ちれば、税金のことを忘れられる。税金のことを深く知り、税金のことを忘れられるようになろう。たくさんの税金を支払って「経営者の勲章」を受け取れるようになろう。

106   理由不明の成功      【本当に危険な】状態を知っているか?「成功している会社」は世の中に多く存在する。しかし「成功している会社」には、全く違う『2つの種類』がある。  ( A)なぜうまくいっているのか?「分かっていない」会社。  ( B)なぜうまくいっているのか?「分かっている」会社。実は、( B)の会社は圧倒的に少ない。そして、( A)と( B)の会社には圧倒的な差がある。経営が危険な状態というのは、経営者が谷底に向かって全速力で走っている時だけではない。成功していようと、失敗していようと、なぜ自社が今その状態なのか?「分かっていない状態」のことを、【危険】と言う。「なぜ自社は今の状態なのか?」「何が今の状態をつくっているのか?」どんな時でも、自社のことを考えるクセをつけよう。失敗の原因を分かっていない経営者も危ないが、成功の理由を分かっていない経営者も同じくらい危ない。

107   100 | 1 = 0      「 100 | 1 = 99」だと      思っていないか?学校のテストでは、 1点間違えると 1点引かれるだけだ。   100 | 1 = 99しかし、現実の社会は、違う。ビジネスの世界では、違う。   100 | 1 = 0そうなってしまう危険性がある。 1点は怖い。成功し続ける経営者は、概ね楽観的で前向きだが、そういった姿勢と同時に、 1点の怖さを知っている。だから、 1点に、こだわる。 1点の怖さを、分かっているか? 1点に、こだわっているか?成功し続けたかったら、 1点を大切にしよう。

108   犯罪を起こさせない責任      犯罪への誘惑を、つくっていないか?会社で【犯罪】が起こる可能性は……「ある」─成功し続ける経営者は、そう考えている。「ない」─犯罪を生んでしまう経営者は、そう考えている。犯罪を生んでしまう経営者は、人のことを深く考えていない。また、面倒なことをしたくない。だから「私は社員を信じる」という、一見カッコイイが、最も安直で罪深い方法を選択する。そして、犯罪を生んでしまう。人は、そんなに強くない。どんなに善人であっても、どんなに信頼できる人であっても、家族が病気でお金が必要だったり、追い込まれたりしたら、犯罪に手を染めてしまうことだってある。そうやって信頼できる社員の心が揺れた時、大好きな社員の心が乱れた時、絶対に犯罪を生ませない仕組みを考えるのが、経営者の仕事だ。「信じてる」と言って何もしないより、犯罪を起こさせない仕組みをつくって、人を迷いから解放させてあげるのが、真の優しさだ。(※)    (※)特に現金を扱う商売では間違いが起きやすい。飲食店は、その典型だが売上と原価を帳簿に付けること、店に必要以上の現金をおかないことなど、少なくとも「お金にシビア」だと思われるようにしよう。「通帳と印鑑を社員に預けている」と自慢げに話す社長が、たまにいるが自己満足なだけだ。お金を任された社員のプレッシャーは半端ではない。自分がそのプレッシャーから逃げただけなのに、自慢するのはおかしいことだ。

109   資本政策      「資本政策」を考えているか?「出資させてくれないか?」事業がうまくいき始めると、そういう人が現れる。そして、そんな成長期に入った会社の多くは、資金を必要としていることが、ほとんどだ。だから、返済の必要がない出資は、とても魅力的に思えてしまう。しかし、そこで簡単に株を売ってしまうと、後で後悔することになる。「資本政策」とは、自社の株をコントロールすること。会社は商法上の意味では、株主が所有者であり、最も多くの株を持っている株主に、会社の行き先を決める権利がある。だから「行き先」を自分で決めたかったら、簡単に株を売ってはいけない。できれば、 67%以上の株を持とう。それによって、経営の自主権をキープできる。

110   専門家チーム      「専門家チーム」を持っているか?知らないと損をする。経営をする上で、そんな細かい知識は意外と多い。しかし、そのすべてを社長が勉強するのには、やはり、無理がある。その道の専門家が 10年かかって得る知識を、すべて自分で得ようとしていたら、もっと大切なことがおろそかになってしまう。それこそが、大きな損を招く。専門家に任せられることにまで、自分の時間を費やしていないか?専門家に頼らずに、経営を危険にさらしていないか?「専門家チーム」を持とう。そして、安心して、社長がやるべきことに専念しよう。

111   最も強い経営資源      キャッシュを蓄える努力をしているか?経営者にとって最も大切な資源。それは、信用。しかし、それは目には見えない。目に見える貸借対照表に表される経営資源で、最も大切なのは、キャッシュ。キャッシュは、最も交換性が高い資源。つまり、変化に強いということだ。生物も会社も、変化が常態の世界で生きる限り、変化に強い者が、生き残る。だから、もっとキャッシュにこだわろう。(※)    (※)月の最低預金残高を月額固定費の 1 → 2 → 3カ月分にすることを目標にするといい。

112   顧客の分散      一人のお客さんに対する依存度が、       26%以上になっていないか?「このお客さんとの関係は永遠に続く……」そう錯覚した時から、会社の凋落は始まっている。お客さんは、永遠ではない。それを前提に経営のすべてを考えている。そういう経営者のいる会社だけが成功し続ける。少数の顧客で成り立っているビジネスは、上げには強いが下げには弱い。中小企業やベンチャー企業が、「突然、売上がなくなる」というインパクトに耐えられるのは、 25%が限界。それ以上の突然な売上の減少があれば、事業を継続していくことは、かなり難しくなる。一人のお客さんに対する依存度が、 26%以上になっていないか?チェックして、お客さんの分散をしておこう。

113   ストック型ビジネス      明日の売上が決まっているか?世の中には、 2種類の商売がある。「明日の売上が決まっていないビジネス」「明日の売上が決まっているビジネス」この2つは、こう呼ばれる。   1.フロー型ビジネス   2.ストック型ビジネスどちらが良いだろう?どちらが安心して眠れるだろう?自分のやりたい仕事がストック型を実現しにくい場合もある。しかし、フロー型が主体のビジネスであっても、多くの場合、ストック型を組み合わせることは可能だ。例えば、フロー型ビジネスでも、会員組織などをつくって、小さなサービスを「継続的に」提供することは出来る。こういったストック型の組み合わせは、安定した売上をつくる意味でも、お客さんとの接点を増やす意味でも有効だ。あなたの会社の明日の売上は約束されているか?ストック型ビジネスを意識しているか?自社の売上構造を一度、見直してみよう。

114   現金商売      「現金商売」をしているか?フロー型ビジネスは不安定だ。だから、失敗しやすい。飲食店は、その典型。しかし、規模とやり方によっては、飲食店は、とても安定したビジネスになり得る。なぜか?それが【現金商売】だからだ。飲食店は、毎日、現金が入って来るのに、仕入の支払などは月末でいいから、資金繰りの効率は圧倒的に良い。街角の小さな飲食店が、何十年も続く理由の一つは、この点にある。だから、成功し続ける会社は現金商売を考える。現代の経済において「現金商売」の意味とは、飲食店や小売店のように、毎日、現金をもらうことではない。「価値の提供」と「対価の入金」の時間を限りなく「 0」にするということだ。現金商売を、意識しているか?対価の報酬を、なるべく早く頂く工夫をしているか?慣習にとらわれず、考えてみよう。お金が流れ始めると、経営は本当にラクになる。

115   クレームの覚悟      クレームを覚悟しているか?クレームから逃げる会社に、未来はない。なぜなら、どんなに成功している会社にも、クレームは発生するからだ。成功すればするほど多くの人に関わるようになる。そして、その一人ひとりは全く違う感じ方をする。だから、ある人にとっての快適は、ある人にとっての不快になる可能性がある。つまり、完全にカスタマイズされた商品を提供しない限り、クレームは必ず発生する。しかし、だからと言って、クレームを放置していると確実に信頼を失う。経営は、信頼を失ったら終わりだ。だから、クレームから逃げてはいけない。クレームと常に向き合わなければならない。経営者は、まず、その覚悟を持たないといけない。クレームの存在を、認めているか?クレームから逃げて、火に油を注いでいないか?クレームを完成させているのは、実は、会社である。クレームは最初、本当のクレームにはなっていない。その対応を間違った時、本当のクレームになる。クレーム対応に追われ続ける経営者は、この事実が分かっていない。だから、火に油を注ぎ続ける。クレームをクレームに完成させているのは、クレームを発した側ではなく、クレームを受けた側なのだ。成功し続けたい経営者は、まず、この事実を知ることだ。【クレームの完成方法】   1.逃げ腰で、ごまかそうとする   2.反発する/反論する   3.報告をしないで時間がかかる   4.解決に取り組まないあなたの会社は大丈夫か?あなたの会社の社員は大丈夫か?チェックして「クレーム対応4つの原則」を守っていこう。【クレーム対応4つの原則】   1.逃げない(しっかりと受け取ること)   2.反発しない(申し訳ないという気持ちで冷静に状況を聞くこと)   3.報告する(状況の報告を頻繁にすること/ほったらかしにしないこと)   4.動く(解決出来ようと出来まいと、とにかく行動すること)クレームには正面から向き合おう。しっかりと向き合えば向き合うほど、クレームは怖くなくなる。

116   お客さんを選ぶ権利      理不尽なお客さんに      「 NO」と言っているか?「二度と来ないで下さい」私たちは、お客さんに、そうお願いする権利がある。お客さんが会社を選ぶ権利もあるが、会社がお客さんを選ぶ権利も、あるのだ。提供者と受益者、会社とお客さんは、「不離一体」の関係だ。どちらが欠けても仕事は成り立たない。提供者には受益者が、受益者には提供者が必要なのだ。だから、本来、提供者と受益者は、仕事を通して対等の関係だ。それを理解せず、理不尽な振る舞い、理不尽な要求をしてくる人は、お客さんではない。そんな人を、お客さんにする必要はない。理不尽なお客さんの言いなりになっていないか?断る勇気を持っているか?「私たちは、お客さんを選ぶ」そんな姿勢を持ち、それに相応しい努力をするなら、そんな会社こそが、お客さんからも選ばれる。だから、本来の関係性を理解していない、ダメなお客さん、理不尽な要求をしてくる、合わないお客さんには、「二度と来ないで下さい」丁寧に、しかし、毅然と、そう伝えられる会社になろう。

117   モニタリング力      新聞を読み過ぎていないか?変化は〈機会〉だ。しかし同時に、変化は〈脅威〉でもある。だから、社長は「変化」に、めちゃくちゃ敏感でなければならない。しかし、すべての変化を把握するのは非常に難しい。なぜなら、社会では、すべてが変化し続けているからだ。変化は、相対的なものだ。だから、完璧に変化をモニターしようと思ったら、すべての変化を把握しないといけなくなる。そんなことは、不可能だ。しかし、多くの経営者は、この点を、本当には理解していない。だから、新聞を一生懸命に読んでしまう。ニュースを欠かさず見てしまう。ビジネス雑誌を何冊も買ってしまう。それはそれで悪いことではない。しかし、それらよりも前に、大切なことがある。それは【自社の変化】を知ることだ。自社の変化から目を背けて、社会の動向に目を向けていないか?自分の点数を見ることから、逃げていないか?社会の動向に目を向け過ぎるのは、自分のテストの点数は見ないで、自分以外の人の点数ばかりを知ろうとするようなものだ。新聞を読む前に、人の変化を知る前に、「自社の変化」を知ろう。

118   数字と現実直視      「数字は苦手」と言っていないか?〈数字〉は苦手。多くの経営者は言う。〈数学〉は苦手。そう言うのなら、理解できる。しかし、経営にとって必要なのは、数学ではない。算数であり、足し算や引き算でしかない。それが出来ないとは、言わせない。だから、数字が苦手と言うのは……要は、面倒なだけなのである。事実と向き合いたくないだけなのだ。現実から逃げている経営者が成功できるほど社会は甘くない。数字から逃げていないか?苦手という保健室に逃げ込んでいないか?経営者は、事実を見つめられる人でないといけない。数字は事実を教えてくれる。それは、時には厳しいことだ。しかし、事実から逃げていては何も始まらない。数字を見つめ、事実を見つめられる経営者になろう。

119   撤退ライン      「撤退ライン」を決めているか?「撤退」を考えることは、経営者にとって、とても悲しいことだ。しかし「未来につながる撤退」だってある。なぜなら「事業」から撤退しても「経営」は継続できるからだ。しかし、そのためには撤退のことを十分に考えておく必要がある。それが「撤退戦略」。(※)撤退戦略で最も大切なことは、撤退の方法をうまく考えるということではない。それを「冷静なうちに」考えておくということだ。追い込まれてしまうと、人は正しい判断が出来なくなる。そんな時に、適正な「撤退ライン」を考えるのは難しい。しかし、多くの経営者は、撤退を「冷静なうちに」「真剣に」考えていない。だから泥沼にはまって、経営だけでなく人生さえもおかしくしてしまう。それこそが社会の大きな損失だ。「撤退ライン」を、今日、決めておこう。    (※)「撤退戦略」という言葉は、よく使われるが、おかしい。なぜなら撤退は戦略ではないからだ。撤退は経営上の戦術であって経営の戦略ではない。しかし分かり易いので、便宜上、この言葉を使ってある。

120   成長の終わり      「成長の終わり」を意識しているか?成長には、終わりがある。それは数々の歴史が証明している。しかし、事業が成長期に入って順調になると、多くの経営者は、その事実を忘れてしまう。「この成功は永遠に続く……」そう思ってしまう。そして、失敗してしまう。残念ながら、良い事業であればあるほど、市場(マーケット)は飽和していく可能性が高い。それには、2つの大きな理由がある。   1.多くのライバルが出現して価値(相対価値)が劣化するから   2.受益者(お客さん)が価値(絶対価値)に飽きるからすべての産業で、この流れは自然であり、これを避けることは難しい。「始まりがあれば、終わりがある」あなたの事業が成長期に入った時、成長企業を築けた時、このことを思い出して欲しい。そうすれば、次の一手を打つことが出来る。そして、成功し続けることが出来る。

121   マネされる覚悟      マネされる覚悟は、あるか?良いビジネスは、マネされる。成功し続けている経営者は、それを痛いほど知っている。しかし成功して間もない経営者は、その怖さが分かっていない。「今の良い状態は、ずっと続く……」と思っている。だから、何も手を打たない。すると、同じようなサービスを提供する会社が次から次へと現れて、先頭を走っていたつもりが、気付くと一番後ろを走っていた……ということになってしまう。そうやって、良いビジネスは良いビジネスではなくなる。あなたが良いビジネスを構築すればするほど、マネされる可能性は高まる。同じ市場に参入してくる会社は増える。成功し続けたかったら、この現実を覚悟しなければならない。ライバルが生まれる可能性を、否定していないか?マネされる覚悟は、あるか?せっかく築いたビジネスの良い状態が続いて欲しい……そう願う気持ちは、よく分かる。しかし、現実は、そうはならない。何もしなければ、そうはならない。マネされる覚悟を持とう。

122   顧客と会社の接点      お客さんと会社の接点を築いているか?一度、成功したビジネスで一生食っていけた。手にした職で一生食っていけた。そんな時代は終わってしまった。私たちは恐らく人類史上初めて、「一度手にした職業やビジネスで一生を過ごせない」という時代を迎えている。それは商品やサービスのライフサイクル(寿命)が、極端に短くなっているからだ。そんな時代の経営は、簡単ではない。なぜなら、たとえ成功するビジネスを構築することができたとしても、商品の大幅リニューアルや新しい商品のリリースという大きなリスクを、定期的に取らないといけなくなってしまったからだ。このリスクは大きい。新しく起業するのと変わらない。そう、私たち経営者は一生に数回は「起業」しなくてはいけないのだ。このリスクを少しでも小さくするには、お客さんとの接点を商品・サービスとだけで築くのではなく、【会社】とも築いておくことだ。お客さんが、あなたの会社のファンなら、新しい商品を受け入れてくれる可能性は高くなる。お客さんとの接点が商品とだけになっていないか?お客さんと会社の距離が遠くないか?お客さんと会社の関係も築いていこう。

おわりに子供のころ、父のようになりたかった。社長である父は、カッコよかった。私にとって、父はヒーローであり、スーパースターだった。「社長の仕事」を楽しそうにやっていた父は、私の自慢だった。日本の社会では、経営や商売をすることは否定的に捉えられていることも多い。そんな社会の文脈の中にあって、私が経営や商売を肯定的に捉えることができたのは、父のお陰だ。「噓はつくな。人に迷惑をかけるな。それさえ守っていれば、人生は自由なんだから、何をやっても良い。でも、社長が一番、やりがいがあるぞ」教師の道を歩みかけていた私が、導かれたように経営者に至ったのは、そう言われて育ったからだと思う。社長という仕事を選択して、本当に良かった。基準を高く求めれば、ラクな仕事ではない。楽しいだけじゃない、大変なことも多い。しかし、やりがいに満ちている。「社長の仕事」は、経営を通して社会の役に立ち、関わる人や社会により良い影響を与えられる素晴らしい仕事だ。これほど素晴らしい仕事は、なかなかないと思う。だから「一人でも多くの社長に、社長であり続けて欲しい」そう願って、本書を書き始めた。社長であり続けるためには、社長としての実力を高め続けなければならない。社長の実力を高める努力をし続けること、そうやって自分と向き合い続けること、それこそが「社長の仕事」なのだと思う。最後に、私の目の前で、「社長の仕事」に挑戦して、多くの成功と多くの失敗を遺してくれた、何千人という経営者すべてに、感謝したい。あなたが得た喜び、あなたが感じた苦悩、後悔。これから挑戦していく社長に少しは伝えられたと思う。きっと、その中から、それらを受け取って「社長の仕事」をまっとうし、素晴らしい経営を行う社長が生まれてくると思う。そういった社長が、これからも社会を変えていく。私も、一緒に、がんばりたい。あの日の、父を目指して。 2011年8月 8日  浜口隆則

【著者紹介】浜口  隆則(はまぐち・たかのり)会計事務所、経営コンサルティング会社を経て、大好きな起業家を支援するため、 1997年に「日本の開業率を 10%に引き上げます!」をミッションとする(株)ビジネスバンクを 20代で創業。起業家向けオフィス賃貸の「オープンオフィス」事業は、レンタルオフィスという新たな業界を生んだ。その後に自身の掲げるミッションへ更に近づくために「オープンオフィス」を事業譲渡。社名を(株)ビジネスバンクグループに変更。起業専門会計事務所、ベンチャーキャピタル会社、起業家教育事業など、起業支援サービスを提供する複数の会社を所有するビジネスオーナーで、アーリーステージの事業に投資する投資家(エンジェル)でもある。会社は第 2創業期を迎え成長を続けている。数千社という起業経営の現実を見てきた「起業の専門家」でもあり、その希有な経験から昇華されたアドバイスは多くの会社を〈成功と継続〉に導いている。主催する勉強会は全国に広がり、独自の経営理論がオーナー社長から若い起業家まで延べ 7000名以上に支持されている。著書に『戦わない経営』『仕事は味方』『誰かに話したくなる小さな会社』『 My Credoマイクレド』『起業の技術』(以上、かんき出版)『エレファントシンドローム』(フォレスト出版)など海外でもベストセラーに。横浜国立大学教育学部卒業、ニューヨーク州立大学経営学部卒業。 http:// hamaguchi. me本書の公式ウェブサイトはこちら www. kigyokashien. com/ books

社長の仕事発行日     2014年1月 24日著  者    浜口  隆則 発行者    齊藤  龍男発行所    株式会社かんき出版           〒 102‐ 0083          東京都千代田区麴町 4‐ 1‐ 4西脇ビル電  話    営業部‥ 03( 3262) 8011 ㈹          編集部‥ 03( 3262) 8012 ㈹ FAX     03( 3234) 4421振  替     00100‐ 2‐ 62304           http:// www. kankidirect. com/      © Takanori Hamaguchi 2014

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