「経費節減病」というのは、
多くの会社で繰り返しかかる病気であり、
不景気や業績低下時に重症となる。
無為無策の社長の関心は「経費節約」である。それらの社長は、決算書
を見てもチンプンカンプンであり、損益計算書から低業績あるいは赤字と
知っても、打つ手が分からない。そこでのめりこむのが経費節約である。
経費に焦点を合わせて、これを節減しようとしても、よほど放漫な会社
を別にすれば、経費を五%節減しようとしたら、ほとんどの会社で日常活
動に大きな支障をきたすことはまず間違いない。
「経費節減病」というのは多くの会社で繰り返しかかる病気であり、不
景気や業績低下時に重症となる。しかし経費節減で成功した会社は世の中
にないのである。だから経費節減を試みるなどやめるべきである。
事業の経営というものは、経費をおさえるという消極的な態度ではなく、
売上を積極的に上げ、利益を大きくすることこそ肝要である。
経費をおさえることは極めて難しく、利益をあげる可能性は非常に多い
からである
*
費用は、単に経費という観点から見るのでなくその特性の分析から出発
しなければならない。
そのために、費用をその投入対象にしたがって、日常の繰り返し仕事の
管理に使われる「管理的費用」、「今日の収益」をあげるために使われる「販
売促進費」、「将来の収益」をあげるために使われる「未来事業費」の三
つに分類し、考え方を整理することが大切であり、それぞれの活動に対す
る基本的な方針を決め、推進することこそ、成果をあげる重要な態度である。
そして中小企業の大部分では、管理的費用は過大であり、販売費と未来
事業費はおそろしく少ないのである。このことは、事業の経営は企業の内
部を管理することだと思いこんでいる証拠である。
事業の経営は内部を管理することではなくて、市場と顧客に対する活動
なのであるという、正しい認識をもってもらいたいのである。
一倉定の社長学第5巻「増収増益戦略」より
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